フリーランスになるなら/なったら必ず読みたい“〇〇の話”

第1回『確定申告の話』

個人事業主&フリーランス必見! 2019年確定申告注意点と、注目のイベント情報

 今年も、起業家や個人事業主、フリーランスの方達には大きなイベントの1つである確定申告の時期が近づいてきました。昨年起業した、昨年初めて業務委託を請け負うようになった、またはフリーランスになった……2019年の確定申告について、初心者にもわかりやすいように注意点をまとめました。もちろん独立している方だけではなく、副業を行なっている会社員の方も確定申告の対象者です。

目次

  • 2019年確定申告に向けて、フリーランスと個人事業主が最初に押さえるべきこと
    (1)2019年の確定申告のスケジュール
    (2)そもそも確定申告とは?
  • 2019年確定申告 これまでとの変更点と注意点
    (1)主な変更点と注意点は3つ
    (2)e-tax利用時の簡便化
    (3)減価償却資産の特例が延長
    (4)配偶者控除ならびに配偶者特別控除の控除範囲拡充
  • 確定申告の不明点を誰かに相談したい! フリーランスや個人事業主が相談できる窓口
    (1)確定申告の相談窓口は主に2つ
    (2)税務署への相談方法
    (3)税理士への相談方法
    (4)マイナンバーの必要性について
  • IT系フリーランス人材が注目すべき、2019年に終了するサービスとは?

※この記事は、「Freeconsultant.jp」の2019年1月18日付コラム記事をそのまま転載してお届けするものです。その後の制度改正やサービス内容の変更などにより、現在とは状況が異なる内容が含まれている可能性もあることにご留意ください。

2019年確定申告に向けて、フリーランスと個人事業主が最初に押さえるべきこと

(1)2019年確定申告のスケジュール

 2019年に行なう確定申告では、2018年の1年間の所得を申告します。「所得や経費の申告額によって、独立している個人事業主やフリーランスの納税額が決まる。」それが確定申告です。

 さて、肝心の2018年分確定申告の相談・申告の受付時期ですが、今年は2019年の2月18日(月)から3月15日(金)までとなっています。通常ならば2月16日スタートですが、今年は16日が土曜日にあたるため18日の月曜日からの受付となります。

 税務署の開庁時間は、月曜日から金曜日の8時30分~17時。ただし、一部の税務署では特定の日曜日にも確定申告の相談・申告を受け付けが可能です。対象となる税務署では、平成31年2月24日と3月3日の日曜日に確定申告の相談を受け付けています。土日しか動けないというような個人事業主やフリーランスの方は、日曜日に開催している申告日を逃さないようにしてください。

※お近くの税務署が対象になっているかはこちらのサイトからご確認ください。
http://www.nta.go.jp/about/organization/kantoshinetsu/topics/kakutei/pdf/05.pdf

 所得や経費によって所得税が決定したら、実際にその税額を支払うことになります。この納税期限も、確定申告の時期と同じ3月15日(金)まで。期限までに税金を納めないと、催告書が届き延滞税がかかることもありますので注意が必要です。起業独立している方にとっては当たり前の確定申告ですが、副業を行なっている給与所得者にはあまり馴染みのないものかもしれませんね。そのため、「書き方がわからない」という声もよく耳にします。

 書き方がわからない方も、まずは自分で書き方を調べてから相談することです。「何もわからない」「何がわからないのかもわからない」という状態で誰かに相談しても書き方は身につかないでしょう。書き方を知る最低限の知識は、国税庁のホームページで得ることができます。

※国税庁ホームページはこちら:
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kisairei/2018/index.htm

 さて、独立している多くの個人事業主やフリーランスとして働く方にとっては、すでに支払われている報酬から源泉徴収が引かれているはずです。納めるべき所得税の金額よりも源泉徴収の金額の方が多いケースや経費によって税金が安くなることがほとんどでしょう。この場合、収入以上に税金を多く支払いすぎていることになるので、確定申告を経て差額の払い戻しを受けることができます。

 多くの個人事業主やフリーランスの方にとっては「確定申告=払い過ぎた税金が戻ってくるイベント」となることも多いのです。給与所得者のボーナスに似ているかもしれませんね。だから、経費は常に把握しておかなければなりません。細かい経費も領収書を保管しておくことが大切です。

 独立した個人事業主やフリーランスではなく、会社員として収入がある方でも、退職などによって会社の年末調整を受けなかった場合や、副業で源泉徴収を引かれている方は税金を納めすぎになっている可能性があります。その場合も、申告すれば差額の還付を受けることが可能。こうした申告を「還付申告」といいます。

(2)そもそも確定申告とは?

 給与所得者の年末調整というと「税金が戻ってくるもの」といったイメージが強いかもしれませんが、年末調整というのは1年間の給与総額から生命保険などの控除金額を除いた「所得」を計算し、翌年に支払う税金の金額を確定するものです。給与所得者の計算は給与所得者自身ではなく会社が行ないます。

 一方で、独立している個人事業主やフリーランスの方の場合は、収入の計算も経費の計算も含めてすべてを自分で行ない、税務署に申告しなければなりません。これが「確定申告」です。1年間に得た収入から、仕事のために使った経費総額や控除を受ける用途の金額を差し引くと、1年間の「所得」が算出されます。この額に対して納税額が決まるというわけです。

 税金には大きく分けて所得税と住民税がありますが、確定申告や年末調整で申告・確定を行なうのは所得税です(厳密には、復興特別所得税や消費税、贈与税なども対象となりますが、本記事では所得税のみ触れます)。ただし、個人事業主やフリーランスの方は確定申告や年末調整をすることで税務署への申告内容が自治体にも通知されるため、住民税の申告を別途行なう必要はないということになっています。

2019年確定申告 これまでとの変更点と注意点

(1)主な変更点と注意点は3つ

 確定申告が面倒な理由の1つ、それは毎年のように細かい変更点があることです。2019年の確定申告にもいくつかの変更点があるのが注意点。今回の変更点は、独立・給与所得者に関わらず納税者にとってメリットがあることなので、面倒がらずに押さえておいて欲しいものです。

  • e-tax利用時の簡便化
  • 減価償却資産の特例が延長
  • 配偶者控除ならびに配偶者特別控除の控除範囲拡充

 これらの3つのうち、自分に当てはまるものだけを注意点として押さえておきましょう。

(2)e-tax利用時の簡便化

 個人事業主やフリーランスの方ならばご存知の方も多いでしょうが、e-taxとは税務署に出向かずに確定申告ができる電子版の確定申告です。不明点がなく、青色申告もしくは白色申告を問題なく埋められる方がe-taxを利用すれば、圧倒的な時間の節約になるのでおすすめです。

 さて、これまでe-taxでの申告方法は1通りしかありませんでしたが、2019年より申告方法が2種類になりました。1つが「マイナンバーカード式」、もう1つが「ID・パスワード式」です。

 マイナンバー式はこれまでと大きな変化はありません。唯一の変更点は、e-tax上でIDとパスワードを入力しなくても良くなったくらいです。

 大きな変更点があったのは、もう1つのID・パスワード式。こちらの方法で申告する場合、これまでは必須とされていたICカードリーダライタも必要ありませんし、マイナンバーカードも必要ありません。e-taxのIDとパスワードだけで申告できてしまうのでおすすめです。これまでICカードリーダライタを所持していなかった方でも、e-taxを通じて税務署に行かずに確定申告ができるようになりました。

(3)減価償却資産の特例が延長

 続いては、減価償却資産の特例が延長されたことです。減価償却資産とは、業務上で使用する物品のこと。1つあたり30万円、年間だと300万円を上限として業務に必要なものを必要経費として購入することができますが、この金額の上限が注意点です。

 上限が30万円の商品が必要経費の対象ですから、車などは経費の対象になりません。個人事業主やフリーランスの方にとっては、具合的にはパソコンやプリンターなどが経費の対象となることが多いでしょう。

 青色申告決算書の「減価償却費」に記入することで、購入したものを必要経費とすることが可能。個人事業主やフリーランスの方で昨年パソコンを買い替えたという方などは、申告することをおすすめします。そうすれば必要経費として扱われるため、節税に繋げることができます。節税できるものに関しては何でも節税したほうが賢明です。

(4)配偶者控除ならびに配偶者特別控除の控除範囲拡充

 これまでは配偶者の所得が103万円以下の場合、配偶者特別控除という形で税金が安くなりました。しかし、2019年の確定申告からその枠が少し広くなり、配偶者の所得合計が123万円以下までが配偶者特別控除の対象となります。

 つまり簡単に言ってしまえば、パートなどで働いている配偶者の収入がこれまでよりも高くなっても給与控除として採用されるということです。配偶者の所得次第では、節税に繋がるのでこちらも強くおすすめします。

 ただし、納税者がサラリーマンの場合だとすでに会社側が配偶者手当を支給していることもあり、その場合は対象外とされることもあります。不明点が少しでもあるのならば、相談してから申告すると良いでしょう。相談するべき窓口に関しては次の項目で詳しく紹介します。

確定申告の不明点を誰かに相談したい! フリーランスや個人事業主が相談できる窓口

(1)確定申告の相談窓口は主に2つ

 個人事業主、フリーランス、業務委託として独立したばかりの方は、確定申告に不慣れなことも多いと思います。独立して初めて自己申告をする方が「どこまで経費に含めて良いの?」と考え始めたらキリがありません。誤った申告を行なってしまうと、本来払うべき税額よりも増えてしまったり、反対に過少申告になってしまったりすることもありますので、ここが注意点です。少しでも不安ならば相談できる窓口に助けてもらうべきです。

 主な相談窓口は下記の2つです。

  • 税務署
  • 税理士

(2)税務署への相談方法

 まずは税務署。税金のことですから、税務署へ相談するのがもっとも安心です。無料というのも大きなメリットですね。

 一番手軽な方法の1つとして、申告先となる最寄りの税務署に電話で相談をする方法があります。税務署というと少々とっつきにくいイメージを思い浮かべるかもしれませんが、親切に教えてくれますし、匿名でも相談できます。個人事業主や業務委託で活躍されている方はもちろん、会社員が「副業を会社に知られたくない」と考えている時も相談すると良いでしょう。

 注意点として、電話相談は1年中可能なのですが、確定申告の時期は混雑して繋がりにくくなります。あらかじめ不明点や質問事項をメモしておけばスムーズに相談できますので、そのような相談方法をおすすめします。

 また、確定申告の受付期間であれば、税務署で申告相談を受け付けているところも多数あります。電話越しよりも対面の方がわかりやすいケースは多々あるでしょうから、お近くに税務署があるのならば直接出向いた方が早いかもしれません。

(3)税理士への相談方法

 続いて税理士を利用する方法です。税金の話で強力な味方になるのが税理士の存在です。豊富な知識と経験で、適切な申告方法から現実的な節税までアドバイスを受けられるのは税理士ならでは。

 独立してまもない個人事業主、フリーランス、業務委託の方や副業を行なっている会社員の中には「税理士を利用するとの費用が発生するのでは?」と考えてしまうかもしれませんが、確定申告の時期は 全国各地で確定申告の無料相談会が行なわれています。しかし代行で確定申告をするのが税理士の仕事ではないと知っておいてください。

 確定申告にまつわるセミナー開催や無料相談会は、各地域の税理士会のWebサイトで告知がされていることが多いですので、確認してみてください。その税理士会に電話相談するのをおすすめします。自らのコミュニティに税理士がいる場合は、直接相談しても良いでしょう。書き方から丁寧に説明してくれるはずです。

(4)マイナンバーの必要性について

 2016年1月から税・社会保障に関する手続きでの利用が始まったマイナンバー。今では、e-taxのID・パスワード式以外の確定申告時には必ず「マイナンバーの記載+マイナンバー証明書類の提出」が必要になったことを注意点として覚えておいてください。

 「マイナンバーカード(表・裏)の写し」または「通知カードか住民票の写し(マイナンバーの記載があるもの)+運転免許証などの身元確認書類の写し」を合わせて提出します。

 ただし、e-Taxで確定申告を行なう場合は、これらの書類の提出は不要ですので、事前にご自身がどの方法で確定申告を行なうのかは決めておくとスムーズです。しかし、マイナンバーは個人情報の漏洩に対する懸念から、一部ではその提出を敬遠する動きもみられます。確定申告でマイナンバーを記載せずに申告する対処法はあるのでしょうか?

 結論からいえば、マイナンバー記載なしの申告書類を受理してもらうことは可能です。マイナンバーの記載は法律で義務付けられてはいるものの、違反しても罰則がありません(2019年1月現在)。制度導入からまだ時間がそれほど経っていないことからそのような措置が取られており、以下のように表記されています。

「税務署等では、(中略)制度に対する国民の理解の浸透には一定の時間を要する点などを考慮し、申告書等にマイナンバー(個人番号)・法人番号の記載がない場合でも受理することとしています」(番号制度概要に関するFAQ:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/FAQ/gaiyou_qa.htm

 ただし、後日税務署から連絡を受けることになる可能性もありますし、税務署から自治体に確認するなどして最終的にはマイナンバーが使われることになりますので、初めからマイナンバーを記載する前提で確定申告を進めていくべきだと言えるでしょう。どうしてもマイナンバーを記載したくないのならば、e-taxのID・パスワード式での確定申告方法が良いかもしれません。

IT系フリーランス人材が注目すべき、2019年に終了するサービスとは?

 最後に、個人事業主やフリーランスの方にも影響がありそうな2019年のイベントのいくつかご紹介します。

  • 3月 「Yahoo!ジオシティーズ」サービス終了
  • 4月 新元号の発表予定
  • 8月 「Google+」サービス終了
  • 9月 ポケベルサービス終了
  • 10月 消費税10%にアップ

 注意点としては、いくつかのサービスが終了予定だということ。時代とともにネット上のサービスは常に移り変わっています。IT関係の方は特に注意が必要ですね。

 個人事業主やフリーランス、業務委託の方々は、常に時代の流れに対応することを求められます。確定申告の仕方が変化するように、ビジネスも今のやり方がいつまで続くかは常に未定です。常にそういった意識を持ちながらビジネスと関わっていきたいですね。

※当コラムの情報は、2019年1月18日時点によるものです。確定申告の詳細につきましては、関係各所へお問合せください。

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