vProの匠
VAIOが追求する「ビジネスモバイル」のベストバランス、vProを搭載した理由とは?
見た目と中身が洗練された新VAIOがvPro搭載でさらにパワーアップ
- 提供:
- インテル株式会社
2023年11月20日 06:00
ビジネス製品に採用されるテクノロジーであることから、インテル vPro プラットフォーム準拠のノートPCはどうしても「業務用」色の濃いノートPCが多い。ゲーミングPCのように目立つ必要はないとはいえ、もう少し目を引くような、ユーザーの所有欲を満たしてくれそうなモデルもあって欲しい、と感じている人もいるかもしれない。
「ビジネス向けPC」となれば、コンサバティブな製品になってしまうのも仕方がないのかもしれないが、ユーザーの所有欲を刺激するという点では、やや物足りなさを感じてしまう。しかし、そうした中にあって、洗練された魅力とスペックのビジネス向けノートPCを拡充しているのが、VAIO Proシリーズだ。
そして、この9月に登場したのが13.3型ワイドの「VAIO Pro PG」のvPro搭載モデル。VAIO株式会社として初のvPro搭載モデルであり、しかもVAIOの名が示すとおりの、所有欲を満たす洗練されたデザインと「中身」が特徴だ。また、vPro搭載モデルは、Wi-FiがWi-Fi 6E対応となり、USB Type-CポートもUSB 3.1対応(最大10Gbps)からThunderbolt 4対応(最大40Gbps)になるといったスペックの強化も行われている。
そこで、今回は同製品の企画および開発に携わった担当者に、製品の狙いやポイントを伺った。
「ビジネスモバイルPCのベストバランス」を追求して開発Officeアプリで便利な「16:10」画面、タイプしやすい「チルトアップヒンジ」など
――最初に「VAIO Pro PG」のモバイルPCとしてのコンセプト、特徴などを教えていただけますか。
柴田氏:法人向けモデルであるVAIO Proシリーズでは、「スタンダード」「アドバンスト」「ハイエンド」という3つのポジショニングのモデルをラインアップしています。今回インテル vPro プラットフォーム準拠モデルとして新たに発売するVAIO Pro PGは、そのなかの「アドバンスト」にあたります。
コンセプトは「ビジネスモバイルPCにおけるベストバランス」です。法人のお客様の幅広い用途を想定し、価格と性能のバランスを取りながら、ビジネスシーンでの使い勝手の良さを追求した製品となります。
特徴の1つは今申し上げた使い勝手の部分で、たとえばディスプレイのアスペクト比を16:10としているところです。当社製品はこれまで16:9が主流でしたが、Officeアプリケーションを駆使するビジネスモバイルPCでは、画面が少しでも縦長の方が使いやすいだろうと判断しました。
また、これは他のモデルにも共通した要素ですが、ディスプレイを開いたときに本体の奥側が持ち上がる「チルトアップヒンジ機構」もこだわった点になります。キーボードに自然に角度がつき、手首の負担を軽減することで、長時間のタイピングがしやすくなる工夫です。
パームレストを含むキーボード面には、たわみにくい高い剛性を実現するアルミ素材を採用しています。ここにはプラスチックやマグネシウムなどの素材が使われることもありますが、アルミニウムは頑丈なだけでなく摩擦にも強いなど高い耐久性能を備えているため、長く快適に使えるという意味でも法人のお客様向けと言えます。
――たしかにチルトアップヒンジ機構やフラットなアルミ素材のキーボード面はユニークですよね。他にはどんな特徴があるでしょうか。
柴田氏:2つ目の特徴は信頼性です。「アドバンスト」に位置付けられるVAIO Pro PGですが、その上の「ハイエンド」と同じ品質試験をクリアしています。米国防総省の物資調達基準として知られるMIL規格(MIL-STD-810H)に準拠した品質試験をクリアしていることに加えて、高さ127cmからの落下試験も行っていますので、持ち運んでいるときに誤って落としたとしても耐える堅牢性を備えています。
※信頼性データの収集のため実施しているものであり、落下、衝撃、振動または使用環境の変化などによる無破損、無故障を保証するものではありません
最後の3つ目は、ソフトウェアにおいても「ハイエンド」と同等のものを搭載していることです。たとえば「カメラ設定」に「美肌効果」という機能があり、Web会議などで映し出す自分の肌を滑らかに見せることができます。このようにお客様が安心して持ち運んでいただき、快適に使えるモバイルPCを目指したのがVAIO Pro PGということになります。
――vProではない既存モデルのユーザーにはどういった方が多いのでしょうか。
柴田氏:幅広い業種の企業様に導入していただいており、規模としても中小企業から大企業までさまざまです。導入しやすい価格帯であることから選ばれるお客様もいらっしゃいますし、ディスプレイが13.3型ワイドとややコンパクトなため、これまで14型ワイド以上のものを使われていた方が「より小回りの利くモデルに」と考えて選ばれるなど、いろいろなパターンがありますね。
「vPro搭載モデルが欲しい」という声に応えてラインアップvPro搭載モデルでは珍しい「機能美を追求したデザイン」
――そのVAIO Pro PGに新たにインテル vPro プラットフォーム準拠モデルを追加した理由を教えてください。
柴田氏:お客様のご要望にお応えしたかったのが一番の理由です。お客様とお話するなかで「vPro搭載モデルが欲しい」というご要望はたびたびいただいていました。また、先ほど申し上げた「ビジネスモバイルPCのベストバランス」に求められるものが何かと考えたときには、vPro搭載モデルは欠かせないものであるとも感じていました。
――vPro搭載モデルの企業ニーズが高まっている要因としては何が考えられるでしょうか。
柴田氏:まず社会的な要因としては、テレワークやハイブリッドワークの流れがいまだ続いていることがあると思います。一方で当社の事業が徐々に大きくなり、商談させていただくお客様が増え、そのなかでご要望を伺える機会が多くなってきています。大企業の方々にもVAIO製品の導入が広がり、ニーズを汲み取りやすくなっているところもあるかもしれません。
さらに、セキュリティを高く保てるvProは、企業様が導入PCを選定するにあたっての大きな評価ポイントにもなってきています。「ビジネスモバイルPCのベストバランス」を追求し、お客様に安心して使っていただける製品にするためにも、当社としてVAIO Pro PGにvPro搭載モデルを追加するのは、必然だったと思います。
――他社のvPro搭載モデルと比較して、VAIO Pro PGの製品としての優位性はどういったところにあると考えていますか。
柴田氏:インテル vPro プラットフォームは一定の要件が定められていますので、その部分での差別化できるポイントや優位性は基本的にはないと理解しています。ただ、当社のビジネスモバイルPCとしてのこだわりも含めて見たときには、いくつか差別化できているところがあると思います。
たとえばチルトアップヒンジ機構によるタイピングしやすいキーボードや、剛性・耐久性の高いフラットアルミパームレスト、厳しい品質試験をクリアした堅牢性、ひと目見ただけでVAIOとわかるような機能美を追求したデザインなどですね。そうした使い勝手、信頼性、デザインに関わる部分においては他社製品に対するアドバンテージがあると思っています。
加えてボディカラーについても、以前は法人向けノートPCのカラーはブラックとシルバーを基本としていましたが、最近はカラーバリエーションも法人のお客様が評価するポイントになり重要性が増しています。「ハイエンド」では「アーバンブロンズ」というカラーが人気で、今回のVAIO Pro PGも「ブロンズ」と「ブラック」の2色展開としました。
ロゴ部分についてはハイエンドのVAIO Pro PKなどで展開している「アーバンブロンズ」がゴールドのところ、VAIO Pro PGの「ブロンズ」ではブラック系統にしてビジネスらしいシックな雰囲気にしています。持ち運びの際にはインテル vPro プラットフォームによるセキュリティ面の安心感だけでなく、見た目の満足感も重要と思っていますから、その意味でもVAIO Pro PGは個性的なモデルではないでしょうか。
――最近は本体質量が1kgを切るモバイルPCも珍しくありませんが、VAIO Pro PGはわずかに超える約1.072kgとなっています。
柴田氏:質量はたしかに1kgより少し重いのですが、当社は「軽さは正義」というような考え方はしていません。軽くすることでパフォーマンスや堅牢性が失われ、冷却性能に影響を及ぼすなど、モバイルPCとしてのバランスが崩れてしまうことがあるからです。ビジネスモバイルPCはトータルバランスが大事で、私たちはお客様に寄り添った仕様にすることを一番に考えているつもりです。
vProモデルは基板を一新、スペックも強化
――vPro搭載モデルと通常モデルとでは、ハードウェア面にどのような違いや工夫がありますか。
増田氏:VAIO Pro PGは通常モデルからリリースしましたが、そこにvProを搭載するにあたっては、ハードウェア構成を一部変更することになりました。基板は完全に作り直していて、なかでも大きな変更箇所は電源制御まわりです。
たとえばvProのリモート管理機能であるインテル アクティブ・マネジメント・テクノロジーでは、チップセットが主導権を持って電源の制御を行います。我々の従来の設計では当社独自のエンベデッドコントローラーがその役割を担っていましたので、制御方法を変更するために基板を再設計する必要がありました。ほとんど新機種を開発したのに近い感覚ですね。ただ、バッテリー持ちも含め、設計変更による違いをユーザー様が感じることはまずないと思います。
柴田氏:実はインターフェースにも違いがあります。通常モデルはUSB 3.1(最大10Gbps)のType-Cポートですが、vPro搭載モデルはThunderbolt 4(最大40Gbps)になっていますし、無線LANもWi-Fi 6Eに強化しています。それでも通常モデルとの価格差は1万円程度に抑えていますので、そうしたところで付加価値を感じていただけるモデルにもなっているはずです。
vProの設定はUEFIで完結、「扱いやすさ」を重視
――ある意味「ハイエンド」寄りのモデルになっているわけですね。ちなみにエンジニアとしてインテル vPro プラットフォームに興味深く感じている点はありますか。
増田氏:やはり充実したセキュリティ機能ですね。OSやファームウェアを保護する「インテル トラステッド・エグゼキューション・テクノロジー(TXT)」や、メモリを暗号化する「インテル トータル・メモリ・エンクリプション(TME)」など、安全性を高める機能が多数あります。インテル vPro プラットフォームを搭載することでMicrosoftのSecured-core PCにも対応できます。vProの実装を通じてそのセキュリティの優位性を改めて実感できました。
――vPro関連の設定画面も見せていただきましたが、洗練された、わかりやすいUIに仕上がっているように見えます。
増田氏:vProに関する設定は、全てBIOS設定画面からアクセスできるようになっています。CTRL+Pなどを押す必要はありませんし、BIOS設定画面でも「Intel vPro(R)」という項目でわかりやすく表示していますので、管理者の方にも扱いやすさを感じていただけると思います。
――先ほどテレワークやハイブリッドワークのお話がありましたが、vPro搭載のVAIO Pro PGはそれに対してどのように貢献するのでしょうか。
柴田氏:vProはハードウェア実装となっているのが重要なポイントです。なかでもインテル アクティブ・マネジメント・テクノロジーは、何らかのトラブルでOSなどのソフトウェアがユーザーの操作を受け付けなくなったとしても、リモートから管理者がPCにアクセスして解決を図ることができます。
もしテレワーク中にそういうトラブルがあると、わざわざノートPCを持ってオフィスに出向き、情シスなどに相談することになるので、時間がかかるうえに余計な人的コストも発生するでしょう。しかしvPro搭載モデルであればリモートから対応できるため、不要な出社を減らすことができます。TCO(Total Cost of Ownership:導入から管理、廃棄までのトータルでの総所有コスト)削減に間違いなくつながることも大きなメリットになります。
「ビジネスPC」としてのVAIOの強みは「営業と設計の“距離の近さ”」
――vPro搭載「VAIO Pro PG」の引き合いはいかがでしょうか。
柴田氏:まだ見積りができるようになったばかりのタイミングですが、もちろん引き合いはあり、間違いなく需要はあると実感しているところです。「vPro搭載モデルが欲しい」と名指しで導入検討されることが多く、セキュリティ強化を目的としている企業様が大半のようです。
ちなみに導入に際しては、当社の営業部門と設計部門の「距離の近さ」という強みを感じていただけると思います。お客様からのお問い合わせに対して社内で密に連携することで、企業様の用途において懸念点などがある場合でも、素早く確認・検証を行える体制になっています。
vPro搭載モデルは受注生産ということもあり、今のところECサイトではご購入いただけませんが、デモ機の用意もありますので、大量導入だけでなく小規模な導入でもお気軽にお問い合わせいただければと思います。
――最後に、vPro搭載PCの導入を検討している方に向けてメッセージをいただけましたら。
柴田氏:私たちが目指しているのは、VAIO製品とインテル vPro プラットフォームの掛け合わせによる働きやすい環境です。「カッコイイ・カシコイ・ホンモノ」をVAIOの商品理念としていますが、そうした理念を通じてお客様のビジネスシーンに寄り添った製品を提供し、お客様に最高のコンピューティング体験をお届けしたいと考えています。
在宅勤務やテレワークが広がり、最近はオフィス回帰の動きもあります。そうしたなかで、あらゆる場所のあらゆる人にとって働きやすい環境を実現するためのソリューションの1つとして、VAIO製品とインテル vPro プラットフォームの組み合わせを積極的に提案していきたいですね。
日本の長野県安曇野市の本社で設計し、製品の仕上げ、各種試験、カスタマーサポートまで一貫した体制で提供しているのは私たちの強みだと考えています。たくさんのお客様にお使いいただき、その声にしっかり耳を傾けて、どんどん改善してより良い製品を提供していきますので、ご期待ください。