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集合住宅の既存の電話線で800Mbps、通信規格「G.hn」で実現 ~Ai.ConnectとRuijie Networksが実証実験に成功

 株式会社Ai.ConnectとRuijie Networks Japan株式会社は、通信規格「G.hn」を利用した集合住宅向けインターネットシステムの商用化に向けた共同開発を行い、東京都内の賃貸マンションで行った実証実験が成功したと発表した。集合住宅のMDF室(主配線盤室)と各世帯を電話線で接続し、G.hnによる800Mbpsの通信が実現できたとしている。

 Ai.Connectは集合住宅向けのインターネットサービス「アイネット」を展開しており、2023年1月以降、同システムを採用したサービスを提供開始する予定。

 G.hn(Gigabit Home Networking)は、電話線・同軸ケーブル・電力線を用いた近距離通信の規格で、ITU-Tが「G.9960」「G.9961」「G.9972」として勧告。集合住宅などに敷設された既存の配線が利用できるため、最小限の工事でインターネットの高速化が見込める。また、ユーザー宅の工事も、多くの場合、G.hnの子機を接続するだけだ。

 今回の実証実験は、商用サービスで利用が想定される集合住宅で実施。Ruijie Networks Japanの通信機器を用いて、Ai.Connectがネットワークを構築した。

 具体的には、最大1Gbpsの光回線または最大10Gbpsの「フレッツ 光クロス」回線をMDF室に引き込み、ルーター、G.hnの親機、電話設備、電話線を通して各世帯に設置されたG.hnの子機に接続している。ここで親機と子機の接続は、設置から30年経過した電話線を利用。親機・子機ともにネットワークインターフェースがギガビットイーサネットのノートPCを接続して通信速度を測定した結果、800Mbpsの通信が実現できたという。

商用化サービスイメージ

 なお、G.hnの親機と子機は最大1.7Gbpsで接続できる製品を採用している。Ruijie Networks Japanの実験環境では、ネットワークインターフェースが10GbEのPCで親機と子機の通信速度を測定し、実測1.3Gbpsだった。

 Ai.Connectによると、このほかに同軸ケーブルを用いたG.hnによる接続の検証も終了しており、実証実験も検討しているという。