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Google、「Android 4.4 KitKat」と「Nexus 5」を発表

KitKatはメモリ512MBの端末でも動作、「次の10億人」をターゲットに

 米Googleは31日、最新バージョンのAndroid OSである「Android 4.4 KitKat」と、Androidスマートフォン「Nexus 5」を発表した。

Nexus 5

 Android KitKatにおける最大の発表は、様々な新機能よりも、わずか512MバイトのRAMしか搭載していない古い端末でも快適に動作するようにしたことだ。Googleでは、途上国などの「次の10億人のスマートフォンユーザー」をターゲットにするとしている。

 Googleによれば、特に途上国などで最も多く利用されているのは「Android 2.3」であり、このフラグメンテーション(断片化)問題を解決するため、必要メモリ容量を大幅に削減するプロジェクトを立ち上げた。エントリーレベルのデバイスでも快適に動作する最低限のRAM容量である、512MBを目標に改良を重ねたという。

 改良はカーネル、システム、フレームワーク、アプリにまでいたり、Android OSにとどまらずChromeやYouTubeなどGoogle製アプリも対象となった。

 これに伴い、サードパーティ開発者もまた省メモリアプリを開発できるように、新たなツールや開発者向けオプションも提供されている。

 Googleでは、「幅広いデバイスをサポートすることで、Android 4.4はAndroidエコシステムを前進させることができる。これですべてのユーザーが、自分のニーズに最適のデバイスで、Androidが提供する最高のものを楽しむことができるようになる」とコメントした。

 Android 4.4では、ユーザーが使いやすくなるように基本的なところから改良されている。例えば、最も利用するにもかかわらず基本的な改良が少なかった通話アプリが改良された。連絡先の横断検索、近隣検索、Google Appsアカウント検索などにより、通話相手を容易に見つけられるようになった。

 また新Google Hangoutアプリでは、SMS、MMSメッセージがチャットやビデオ通話と統合された。

 Google Nowは、いつもの「OK Google」と話しかけるだけで、音声検索、メッセージ送信、ナビゲーション、音楽の再生などを簡単に行えるという。Google Nowについては、新しいカードが数週間以内に利用できるようになる見込みだ。お気に入りウェブサイトやブログのアップデートを通知してくれるとしている。

 それ以外にも、アプリをフルスクリーンで動作させることができるフルスクリーンイマーシブモードや、ユーザーインターフェイスの遷移を美しく魅せる「Transition Framework」、さらにはChromiumを活用した全く新しい実装となるWebViewブラウザコンポーネントなど、美しく使いやすいアプリを開発するための機能が導入された。

 また、アプリから印刷機能を簡単に利用するためのフレームワークや、ローカルとクラウドを問わず、ドキュメントを見つけやすくするためのストレージフレームワークも導入されている。

 さらに、ハードウェアセンサーを省電力で使用するための仕組みや、アプリのチュートリアルやマーケティング用動画を作成するために便利なスクリーンレコーダーも導入された。

 これらたくさんの新APIについては、Android開発者向けページで概要と詳細なドキュメンテーションが提供されている。またYouTubeのAndroid Developerチャンネルにも、API別に紹介動画も公開され始めている。

 Googleは、このAndroid 4.4の機能を完全に利用できる最新のスマートフォンをいつも通り公開した。これがNexus 5であり、韓国のLGによって製造された。GoogleはNexus 5について「これまでで作られた最も薄く最も速いNexusフォンだ」と主張している。

 Nexus 5は4.95インチのフルHD、1920×1080ディスプレイ(445ppi)で、重さは130グラム。連続通話時間は17時間、連続待ち受けは300時間、WiFi連続使用時間は8.5時間(LTEは7時間)だ。プロセッサは2.26GHzのQualcomm Snapdragon 800、2GBのRAM、16GBまたは32GBの内部ストレージ、デュアルバンドWi-Fi(2.4GHz/5GHz)802.11a/b/g/n/ac、NFC、Bluetooth 4.0。またカメラは前面カメラが1.3メガピクセル、背面カメラは光学式手ぶれ補正機能付きで8メガピクセル。センサーとして、GPS、ジャイロスコープ、加速度計、コンパス、近接センサー/調光センサー、気圧計、磁気センサーを搭載している。

 日本での販売価格は16GB版で3万9800円、32GB版で4万4800円で、今日からGoogle Playで販売される。その他の販売国は、米国、カナダ、英国、オーストラリア、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、韓国で、インドでの販売も予定されている。

 またAmazon、Bestbuy、Radioshack、またSprintとT-Mobileでの小売販売も間もなく行われるとしている。

 Android 4.4 KitKatへのアップグレードについては、数週間以内にNexus4、Nexus7、Nexus 10、Samsung GALAXY S4、HTC One Google Playエディションで利用できるようになるとしている。

(青木 大我 taiga@scientist.com)