EUではIE抜きのWindows 7を販売、米Microsoftが決定


 米Microsoftは11日、EUにおいては、Windows 7にInternet Explorer(IE)をバンドルせずに販売することを決定した。同社副社長で代理ゼネラルカウンシルのDave Heiner氏が公式ブログで明らかにした。Windows 7のEU版が発売されることになる。

 今回の決定は、1月に欧州委員会が発表した予備的見解を受けてのものだ。MicrosoftがWindowsとIEをバンドルすることが、欧州競争法に違反しているとの見解が示されていた。

 Microsoftでは、EUでもWindows 7を世界各国と同時期に出荷したい意向を持つ一方で、EUで進行している法廷闘争と、それに伴う巨額賠償金のリスクの双方を検討する必要があった。今回の決定は、少なくとも欧州委員会が指摘しているバンドル問題を解決しつつ、同時にEU地域の顧客に対してWindows 7を提供できるメリットがある。

 欧州委員会の議論では、Windows 7に代替ブラウザを同梱したり、代替ブラウザの一覧を表示してユーザーが選択インストールできるようにするなどの方法も提案されていた。しかし、いずれの意見もPCメーカーやブラウザベンダーの意向が反映しているもので、複雑な利害が関係することから、Microsoftが一方的に決定することは最善策ではないとしている。

 EU版では、Windows 7の製品名の最後に「E」の文字が付加されることになる。例えば「Windows 7 Home Premium E」といった具合だ。このバージョンのWindows 7は、他の地域で発売されるWindows 7とほとんど同等の機能を持ち、ただIEが除外されている点が異なる。なお、「E」バージョンでもWindowsアプリケーションは問題なく動作するとしている。

 PCメーカーは、IEを含む他のブラウザを選んでインストールして出荷できる。既にPCメーカーには通知されているという。また、ユーザーも好みのブラウザを自由にインストールできるとしている。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2009/6/12 11:34