民主党政権公約に「ネット選挙解禁」「日本版FCC設置」など


 民主党は27日、次期衆院選のマニフェスト(政権公約)を発表した。マニフェストの詳細が記載されている「民主党政策集INDEX2009」には、インターネット選挙運動の解禁に加えて、米連邦通信委員会(FCC)を参考にした「通信・放送委員会」の設置など、情報通信や放送関連の政権公約も盛り込まれている。

ネット選挙運動解禁、「なりすまし」への罰則も

 インターネット選挙運動の解禁は、政策本意の選挙・カネのかからない選挙の実現、候補者と有権者との対話促進などが目的。具体的には、政党や候補者に加え、第三者もホームページ、ブログ、メールなどインターネットのあらゆる形態を使って選挙運動ができるようにするという。

 インターネット選挙運動の導入に伴い予想される不正行為に対しては、1)誹謗・中傷を抑制するために、ホームページなどを使って選挙運動をする者の氏名とメールアドレスの表示を義務付ける、2)「なりすまし」に対する罰則を設ける――などのきめ細かい対応策を講じるとしている。

日本版FCC設置で通信・放送行政を総務省から切り離す

 情報通信・放送分野の政策では、「NHKの改革」「通信・放送委員会(日本版FCC)の設置」「通信・放送行政の改革」「電波の有効利用」「情報格差の解消」「地上デジタル放送への円滑な移行」「インターネットを用いたコンテンツの二次利用促進」などを掲げている。

 「通信・放送委員会(日本版FCC)の設置」に当たっては、通信・放送行政を総務省から切り離し、独立性の高い独立行政委員会に移す。これにより、国家権力を監視する役割を持つ放送局を国家権力が監督するという矛盾を解消するとともに、放送に対する国の恣意的な介入を排除するとしている。

 また、技術の進展を阻害しないよう通信・放送分野の規制部門を同じ独立行政委員会に移し、事前規制から事後規制への転換を図る。さらに、通信・放送の融合や連携サービスの発展による国民の利益の向上、日本の情報通信技術(ICT)産業の国際展開を図るため、現行の情報通信にかかわる法体系や規制のあり方などを抜本的に見直すとしている。

 「通信・放送行政の改革」では、現代の通信・放送の融合時代に対応した法制のあり方を検討する。同時に、表現の多様性を確保するクロスメディア所有(同一の者が新聞、テレビ、ラジオなど複数のメディアを所有すること)の是非も含めたマスメディア集中排除原則のあり方も検討するという。

 「情報格差の解消」では、情報ネットワークの構築が遅れている地域に情報格差が生じないよう、条件不利地域などに対する整備支援策などを通じて、必要な環境整備・支援を行うとしている。

地デジ円滑移行や番組のネット配信促進にも言及

 「電波の有効利用」では、既存利用者の効率利用と新規需要への迅速な再分配を図る。具体的には、1)電波利用料に電波の経済的価値を反映させることによる電波の効率利用促進、2)適当と認められる範囲内でオークション制度を導入することも含めた周波数割当制度の抜本的見直し――などを行う。

 「地上デジタル放送への円滑な移行」では、1)自治体との連携などによるデジタル放送受信に関する相談体制の強化、2)安価なチューナーの開発促進および経済的弱者に対するチューナーの購入支援、3)電波が届かない過疎、離島地域などでの中継局設置に対する支援、4)都市部などで高層ビルなどが障害になり電波が届かない場合の共同アンテナなどの設置に対する支援、5)環境に配慮した地上デジタル放送対応機器への買い換え促進策導入――など必要な環境整備・支援を行う。

 「インターネットを用いたコンテンツの二次利用促進」では、著作権の保護に配慮しつつ、著作権処理の円滑化に向けて抜本的な検討を進めると説明。特に、権利処理が困難な過去のテレビ番組(コンテンツ)については、再利用を円滑化するための措置を早急に検討する。

 このほか「NHKの改革」では、受信料不払者の存在から来る不公平感の解消と、収入に対して比率の高い受信料徴収コストの削減を検討する。NHK子会社の設置基準を見直して整備を進めるとともに、NHK本体と子会社の契約のあり方も見直す。また、NHKの各チャンネルの位置づけを再度明確にした上で、BS放送波の削減についても検討する。


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(増田 覚)

2009/7/28 17:58