楽天2009年度決算、EC事業好調で過去最高益を達成


楽天代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏
楽天の2009年度通期連結決算概要

 楽天は12日、2009年度通期(2009年1月~12月)の連結決算を発表した。売上高は2982億円(前年度比23.4%増)、営業利益は566億円(同20.1%増)、経常利益は548億円(同23.3%増)、純利益は535億円(前年度は549億円の損失)。営業利益、経常利益、純利益とも過去最高を更新した。

 事業別では、「楽天市場」「楽天トラベル」などのネットサービス事業の売上高が1608億円で、前年度比29.5%の増加となった。楽天代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は、「ネットショッピングの普及率は、欧米に比べれば高くなく、成長余地はまだある」として、「ネットショッピングも景気は良い方がいいが、悪いときでもそれなりに成長できる、抵抗力があると感じている」と説明。ユーザーの1回あたりの平均購入金額は減少傾向にあるものの、購入者数や平均購入回数は増加しており、高成長を継続できているとした。

 「楽天KC」「イーバンク銀行」「楽天証券」などのネット金融事業の売上高は1150億円で、前年度比25.6%の増加となった。クレジットカード事業の取扱高が増えるとともに、イーバンク銀行がグループ化から1年で黒字化を達成。イーバンク銀行は5月4日に「楽天銀行」と商号変更することで、楽天グループとしての位置付けを明確化し、グループ各社とのシナジー効果を追求していくと説明。また、子会社化が完了したビットワレット(edy)についても、「黒字化はそれほど難しくないが、それだけでは面白くない。リアルとネットをつなぐサービスに期待してほしい」として、近日中に事業戦略を発表したいという意向を示した。

 2010年の重点施策としては、「多国展開の推進が可能な組織力の構築」を挙げ、中国市場への進出に向けてBaiduと合弁会社を設立することで合意したことに続き、「今年度中には10カ国以上への進出にめどを付けたい」という意欲を語った。

 また、Edyや銀行などの「決済サービスの新たな展開」を目指すほか、「パーソナライズ、ソーシャルメディアマーケティングなど、ネット企業のみが可能なサービスを提供」することや、「世界レベルでの技術開発体制の強化」も重点施策だと説明。楽天のサービスでのパーソナライズを推進するほか、独自のクラウド技術も活用していくとして、楽天技術研究所の規模も100人規模まで増やしていきたいとした。

 中国市場については、Googleがサイバー攻撃を受けて撤退を検討と伝えられるなど、リスクについてどのように考えているかという質問に対して、「情報収集とコミュニケーションはしっかりやっていくが、我々とGoogleではビジネスが違う。中国には都市部と地方の格差の問題があるが、我々のビジネスは地方経済の発展にプラスになるということを確信してもらうことが重要」と答えた。

 また、社員にTwitterを勧めた理由を尋ねられると、「よく英語でもつぶやいているが、海外の従業員に対するメッセージという意味もある。エンドユーザーの声を拾っていくことも重要。また、楽天も会社が大きくなってくると、インターネットが大好きという人とそうでない人が出てくる。しかし、楽天の社員はやはりインターネットが好きでないといけない。他のツールでもいいのだが、一番簡単なツールとしてTwitterを勧めた」と語った。


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(三柳 英樹)

2010/2/12 19:47