グーグルが“店内ビュー”撮影開始、360度パノラマ表示の「おみせフォト」


 グーグルは、レストランや小売店、ホテルなどの店内写真を無料で撮影するサービス「おみせフォト」を開始し、店舗オーナーからの申し込み受け付けページを12日に開設した。撮影した「おみせフォト」は、「Google マップ」の検索結果などにリスティングされる店舗ごとの詳細情報ページ「プレイスページ」に掲載される。当初の対応エリアは、東京、京都、大阪、神戸。

 グーグルのカメラマンによる撮影チームが店舗を実際に訪問し、店舗内を360度撮影する。特に大掛かりな照明機材などは持ち込まず、デジタルカメラと三脚により撮影するため、通常の営業時間内でも撮影可能。規模にもよるが、1時間半程度で完了するという。

 ただし、従業員や客が写り込む可能性があるため、撮影チームは、撮影中であることを示す看板を立てる。また、オーナー側でもあらかじめ従業員や客向けに告知するよう呼び掛けている。写り込んでしまった人物の顔には、グーグルの最新鋭のぼかし技術によりぼかしを入れるという。

 なお、撮影した写真は当初は1枚の写真として表示されるが、今後、写真をつなぎ合わせた1枚のパノラマ写真に加工される予定だ。


おみせフォト

 「プレイスページ」は、店舗や事務所、公園、美術館をはじめとした文化施設などの住所や電話番号、地図、画像などを表示するページ。その店舗に対するクチコミサイトのレビュー記事などもリンクしており、いわば店舗ごとのまとめページといえる。

 グーグルでは従来より、「プレイスページ」に登録する情報を店舗などのオーナー自身が編集できる機能「Google プレイス」(旧名称「ローカルビジネスセンター」)を提供していた。レストランのメニューや営業時間などの正確な情報を伝えられるほか、店舗の外観や内部、料理や商品の写真なども掲載できる。

 新たに提供開始した「おみせフォト」は、こうした写真をグーグルのカメラマンが代わって撮影するサービスだ。「プレイスページ」上での表示のされ方は、オーナーが撮影・アップロードしたものと特に変わりがあるわけではないが、最初から同ページでの掲載が前提のため、検索ユーザーへの訴求効果を踏まえて撮影してもらえることが期待できるほか、360度パノラマ画像を作成してもらえることなどもメリットだという。もし、撮影してもらった写真が気に入らない場合などは、「Google プレイス」の機能を使ってオーナー側で用意した写真に差し替えることも可能。


Google プレイス

 すでに「おみせフォト」は過去数カ月にわたり実験的プロジェクトとして進められており、日本、米国、オーストラリアの一部の都市で撮影が行われていた。日本でも撮影現場の目撃事例が個人ブログなどで報告されており、パノラマ画像を撮影していた様子から、「ストリートビュー」の撮影範囲が個々の店舗の中にまで拡大したのではないか推測する向きもあった。

 グーグルによると、今のところ、「おみせフォト」の360度パノラマ画像は「プレイスページ」に掲載することが決まっているのみ。ただし、利便性の面で効果があると判断すれば、グーグルの他のサービスと連携していく可能性はあるという。

 実際、米Googleは4月下旬より、「ストリートビュー」の画像内に写っている店舗にアイコンを表示し、そこから店舗名や営業時間などの詳細情報ページを参照できる機能の提供を開始している。

 同様に、「ストリートビュー」内を散策して見つけたレストランに入店するように、そこから「おみせフォト」による“店内ビュー”に移行できるような連携も十分に考えられそうだ。


「ストリートビュー」での店舗情報表示例(Google LatLong公式ブログ2010年4月26日付記事より画像転載)

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(永沢 茂)

2010/5/13 17:29