フリービット決算説明、バックグラウンド動作の次期iPhone用ServersManも披露


フリービットの石田宏樹社長

 フリービット株式会社は8日、2011年4月期第1四半期(2010年5月~7月)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比12.1%増の36億1700万円と増加したが、営業損失が1億5500万円、経常損失が1億1100万円、四半期純損失が1億3500万円の赤字となった。第1四半期の赤字については投資などによるもので期初予想通りで、赤字幅は予想より改善したとしている。

 決算説明会では石田宏樹代表取締役社長が、8月に発表した中期経営計画「SiLK VISION 2012 Ver.2」を説明。2009年6月に発表した「SiLK VISION 2012」から、株式会社フルスピードの買収と中国関連事業の拡大に伴い業績目標を変更したが、IPv6と仮想化によるクラウドプラットフォーム提供で世界ナンバーワンを目指すという目標に変更は無いと説明した。

 コンシューマー向け事業のDTIについては、「まずお詫びしなければならないのは、メールサービスの『Cluod Mail』で36時間に渡り障害を起こし、ユーザーにご迷惑をおかけしたこと。代表者として深く反省している」とコメントし、この問題への対応を進めていくと説明。事業としては、VPSサービスの「ServersMan@VPS」が無料の試用期間から有料サービスへの移行率が90%となるなど、接続サービス以外の会員が順調に増えているとした。

フリービットの2011年4月期第1四半期連結業績ServersMan@VPSなど接続サービス以外の有料会員が34%に

 今後の事業展開については、日本でのISP事業やインターネットマーケティング事業を安定収入基盤として、今後の成長が見込めるクラウド・IPv6サービスやユビキタス家電、中国での事業に投資していくと説明。「ServersMan」のサービスでは、iPhone向けアプリ「ServersMan@iPhone」の開発中の次期バージョンをデモとして披露し、バックグラウンド動作によりiPhoneが常にサーバーとして動作している様子を紹介した。iPhone向けアプリの次期バージョンについては、近日中に公開を予定しているという。

 ユビキタス家電事業では、中国Aigoとの製品開発協力によりServersManと連携したユビキタス家電の開発を進めており、2011年度に5~10億円の売上を目標とすると説明。製品例としては、中国の大手SNSとの協力により、SNSのソーシャルグラフ情報を利用して、友人関係にあるユーザーの音楽をネットワーク経由で再生できる音楽プレーヤー製品の開発を進めていることを紹介した。また、中国事業では、フリービットの合弁パートナーBIIが、チャイナテレコムとIPv6技術の実証実験を開始したことを発表した。

 8月に買収が完了した株式会社フルスピードについては、SEO/SEMなどのインターネットマーケティング事業を新たなフリービットのコアコンポーネントとして位置付けるとともに、子会社のベッコアメ・インターネットの事業を引き継ぐと説明。一方、フルスピード子会社のアパレル事業についてはフリービットの事業領域とは異なるため、早期の売却を予定しているとした。

ISPやインターネットマーケティング事業を安定収入基盤として、クラウド・IPv6事業や中国事業への投資を進める「ServersMan@iPhone」の次期バージョンでは、サーバーのバックグラウンド動作に対応予定
中国でもユーザーが急増しているSNSとユビキタス家電を連携SNSのソーシャルグラフを利用して、機器同士をメッシュに接続する「信頼されたP2P」型の製品を実現していくと説明

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(三柳 英樹)

2010/9/9 06:00