震災前の街並み、残されたがれきの山……投稿写真1万枚以上をヤフーが公開

「東日本大震災写真保存プロジェクト」


 ヤフー株式会社は1日、「東日本大震災写真保存プロジェクト」のサイトにおいて、投稿された被災地などの写真1万以上を公開した。現在はPC版のみで、近日中にモバイル版も公開する予定。

「東日本大震災写真保存プロジェクト」のサイトで公開された投稿写真

 同プロジェクトは、東日本大震災で失われる前の街並みや風景、震災直後の様子、被災地に残された思い出、今後の復興の過程など、震災の記録を写真で残すために4月8日に発足したもの。4月20日から写真の投稿を受け付けていた。

 6月1日正午現在、投稿されている写真は1万1633枚で、刻々と増えている。市区町村名またはスクロール地図による撮影場所の絞り込みのほか、具体的な日時や震災前・震災後といった撮影時期、人・風景・物といった被写体別、キーワードなどで検索できる。

スクロール地図からの写真検索。緑色のアイコンが震災前、えんじ色が震災後、紫色はその地点に複数の写真がある場合

 ヤフーによると、写真だけでなく、例えば「がれきの中に一冊のアルバムがありました。開かれていたページには結婚式の写真が貼ってありました」「3月11日に舞浜駅で撮りました。液状化による被害です。東北の津波や放射能であまりにも大きな被害が出たため、液状化の被害が希薄化しがちですが、大きな損害を受けたことは間違いありません」など、投稿者のコメントが添えられている写真も多いという。

 ヤフーでは、引き続き写真の投稿を受け付けている。また、一般社団法人日本写真著作権協会(JPCA)と連携、国内のプロカメラマンからも幅広く協力してもらい、できるだけ多くの写真を保存・公開することで、今後の防災研究などにも役立てていければとしている。

 なお、非営利の復興支援目的または学術目的に限り、ヤフーでは、投稿された写真を無償提供していく。ニューヨークで開催される医療関連製品の展示会・国際会議「MD&M EAST 2011」に出展する福島大学に、すでに投稿写真の一部を無償提供したとしている。


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(永沢 茂)

2011/6/1 13:54