Google、ユーザーデータの移転を容易にする「Data Liberation」の活動を紹介
GoogleのBrian Fitzpatrick氏 |
グーグル株式会社は29日、Googleのサービスに保存してあるユーザーのデータを、容易に移動できるようにするための技術を開発しているプロジェクト「Data Liberation Front」についての説明会を行った。
「Data Liberation Front」は、Googleのシカゴオフィスにいるエンジニアによってスタートしたプロジェクトで、GmailやBlogger、Googleドキュメントなど、各種のサービスに保存してあるユーザーのデータを取り出し、ダウンロードや他社のサービスへの移転を容易に行えるようにする機能を開発している。
Googleのエンジニアリングマネージャーを務めるBrian Fitzpatrick氏は、「アパートを引っ越す際に、家具や本、写真、衣類などは全部置いていってくださいと言われたらどう思うでしょう」と語り、「データも自分のものであり、動かせないのはおかしい」とData Liberation Frontの活動を4年半ほど前に始めた理由を説明した。
例えばブログサービスのBloggerにおいては、他のサービスからブログをインポートする機能だけでなく、ブログを他のサービスにエクスポートできる機能を提供している。こうしたユーザーのデータをエクスポートするための機能は、「どうしても開発の優先順位が後回しにされることが多い」なか、プロジェクトでは各サービスのエンジニアと協力してこれらの機能の提供を進めている。
Fitzpatrick氏は、「Googleはなぜオープンにこだわるかと言うと、そもそも我々はオープンでなければ存在できないから」として、「ユーザーを囲い込んでロックインできるなら、サービスを改良しようという努力はあまり必要ない。しかし、Googleの検索を使っている人は、Googleの検索だけを使う2年契約を結んでいるわけでもなければ、Google検索しかできない機械を持っているからでもない。ユーザーをつなぎとめることができるのは、絶えずサービスを改良していくイノベーションだけだ」と、ユーザーの囲い込みを行わない理由を説明。「現在でもユーザーをロックインするための様々な仕組みはあるが、インターネットにさらに新しいロックインを作る必要はないというのが我々の主張だ」と語った。
データのエクスポート機能の提供にあたっては、「可搬性のある形で自分のデータを取り出せるか」「データの取り出しにどのくらいのコストがかかるか」「データの取り出しにどのくらいの時間がかかるか」という点を意識して開発を進めていると説明。データの取り出しにあたってはユーザーに追加の費用を請求すべきではないと考えており、単にデータを取り出せるだけでなく、写真サービスのような大量のデータもまとめて簡単に取り出せることが重要だとした。
また、各サービスではデータの取り出しが容易になったが、Googleでは多数のサービスを提供しているため、それらに対して1つずつエクスポート作業を行うのは大変だとして、6月には複数のサービスのデータをまとめて取り出せる「Google Takeout」の提供を開始。今後、GoogleのすべてのサービスをGoogle Takeoutに対応させるよう努力していくと語った。
データの取り出しを容易にすることは、他社に対して有利になるのではないかという点について、Fitzpatrick氏は「オープンは利他主義ということではない」と説明。データを容易にエクスポートでき、また他のサービスからのインポートも容易だというユーザー体験があれば、一度離れてしまったユーザーにまた戻ってきてもらう際にも有利に働くとした。
Googleの各種サービスに保存されているデータをまとめてダウンロードできる「Google Takeout」 | Data Liberation Frontのロゴマーク |
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(三柳 英樹)
2011/11/29 15:40
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