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次回国勢調査でネット回答全面導入へ、調査員の回収も併用

 政府は平成27年秋に行う次回国勢調査から、インターネットによる回答を原則とする方針を固めた。これまで調査票の回収が困難だった若者や学生からの回答を容易にする狙い。ただ、パソコンに不慣れな高齢者に配慮し、国勢調査員が世帯ごとに配布された調査票の記入を促し、回収する従来の方式も併用する。

 前回調査では愛知県東浦町で居住実体のない調査用紙が大量に見つかる「人口水増し事件」も起きた。同省は今後、各世帯に事前に個別のIDとパスワードを配布し、再発行は認めないといった「なりすまし」防止策をとる方針。これにより調査票回収時に起きていたような人為的な不正を防ぐ効果も期待できる。

 国勢調査は総務相から任命された調査員が世帯ごとに調査票を配り、回収後、市町村の審査などを通じて国に報告が上がる仕組みを取っている。だが不在のケースも多く、調査員が繰り返し催促することで、ほぼ100%の回収率にこぎつけていたのが実態だった。

 このため前回からは郵送での回答も認め、東京都では試験的にネット回答も導入。その結果、ネットの利用者は都内全世帯の8・3%に当たる約53万人と、総務省の予想を上回った。

 ネット回答であれば入力ミスがあってもパソコン上でそれが指摘され、すぐに再入力ができるため、より正確に人口状況を把握できるメリットがある。調査員はネットで回答のなかった世帯のみを回れば済み、回収の効率もアップする。

[産経新聞社]