コンピュータ著作権協会(ACCS)は27日、京都府警察本部ハイテク犯罪対策室と五条警察署が同日、ファイル交換ソフト「Winny」を利用して著作権者に無断でゲームソフトや映像ソフトを不特定のインターネットユーザーに送信できる状態にしていたとして、愛媛県松山市の無職男性(19歳)と群馬県高崎市の自営業男性(41歳)の自宅をそれぞれ著作権侵害の疑いで家宅捜索し、この男性らを逮捕したと発表した。
松山市の19歳の男性は、任天堂の「スーパーマリオアドバンス」やハドソンの「ボンバーマンストーリー」など、ゲームボーイアドバンス用のソフト57タイトルを圧縮して1つのファイルにまとめ、「(GBA ROM エミュ)0001-0100(J)」という名称で送信可能な状態にしていた。一方、高崎市の41歳の男性は、アメリカ映画の「ビューティフル・マインド」などの映像ソフトを送信可能な状態にしていたという。
ACCSによれば、著作権侵害行為を捜査していた京都府警が逮捕された2名を特定し、ACCSに調査を要請してきたという。これを受けたACCSが、2名のユーザーが実際にWinnyを使ってファイルを送信可能にしていたことを確認するなどして、捜査に全面的に協力したとしている。ファイルに含まれていた他のゲームソフトについても捜査が進められるという。
ファイル交換ソフトによる著作権侵害行為としては2001年11月、「WinMX」を利用して、著作権者に無断でビジネスソフトなどを不特定多数のインターネットユーザーに送信し得る状態に置いたとして、同じく京都府警察本部ハイテク犯罪対策室などが東京都と埼玉県の男性2人を逮捕した例がある。その後開発されたWinnyでは匿名性が強化されており、Winnyによる著作権侵害行為で摘発されたのは今回がはじめてとなる。なお、Winnyの開発者が開設していたWebサイトは現在、閉鎖された模様だ。
ACCSでは、WinMXを使って個人情報が記載された電子ファイルが公開された事件で今年9月、「プロバイダ責任制限法」に基づき、電子ファイルを送信できるようにした人物の氏名・住所の開示をプロバイダに命じる判決が東京地裁から言い渡されていることを挙げ、「今回のような著作権侵害事案においても、プロバイダ責任制限法の活用も検討しながら、著作権保護の実現に寄与していきたい」としている。
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.accsjp.or.jp/news/031127.html
Winnyの開発者が開設していたWebサイト(閉鎖中)
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley/2949/
関連記事:「ファイル交換ソフト」による著作権侵害で世界初の刑事摘発
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2001/1128/accs.htm
関連記事:ファイル交換ソフトによる著作権侵害で刑事処分~罰金40万円
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2002/0326/mx.htm
関連記事:ファイル交換ソフトの利用者が185万6,000人に~ACCSが実態調査
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0618/accs.htm
■関連記事
・ ACCS、Winnyユーザー逮捕への経緯詳細を説明(2003/11/28)
・ WinnyやWinMX利用者の58%がADSLを利用している~ネットアーク調査(2003/09/01)
( 大津 心/永沢 茂 )
2003/11/27 20:38
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