国際レコード産業連盟(IFPI)は30日、デンマーク、ドイツ、イタリア、カナダに在住する247人に対して、違法にファイル交換を行なったとして提訴したと発表した。他の国においても数カ月以内に同様の訴訟を起こす考えだ。
IFPIは、レコード業界の利害を代表する国際団体。世界76カ国に1,500以上の音楽プロデューサーや音楽企業を会員に持つとともに、46カ国に加盟団体を持つ。全米レコード協会(RIAA)とも提携関係にある。
今回の訴訟は、会員のレコードレーベルを代表してIFPIが起こしたもの。デンマークでは、違法ファイル交換活動を止めて補償金を支払わなければ法的な措置を執ることを明記した手紙が送られた後、120人が提訴された。彼らはファイル交換サービスを利用して、合計で5万4,000件の音楽ファイルを公開していたとされる。ドイツでは、68人が300から数千のファイルをインターネットでファイル交換していたという証拠が検察官に提出されている。イタリアでは30人が著作権侵害の疑いを持たれており、ミラノの検察庁は1月に家宅捜索を開始。地元警察が25台のコンピュータと30台のハードディスクとストレージシステム、5万件のファイルを証拠として押収した。カナダでは、650から3,600の音楽ファイルをファイル交換サービスを利用して公開したとして、ISPによる身元確認の後、29人が著作権侵害訴訟に直面することになっている。
今回の訴訟対象となった4カ国の人々は、ファイル交換サービスのKazaa、DirectConnect、WinMX、eMule、iMeshを使用していた。各国の法にもとづいて刑事あるいは民事裁判で裁きを受けることになり、それぞれが支払う罰金は最大で数千ユーロに上ると推定されている。
大規模な訴訟を開始し、今後もさらに他の国でも訴訟を行なう意向を示した理由としてIFPIは、ここ5年間で世界的に音楽売上が大規模に減少していることを挙げている。IFPIの発表によると、2002年には世界で音楽売上が7%減少、2003年の数字はまだ確定していないが、7%以上減少していると推定されている。また、主要な音楽市場における第三者の調査結果として、違法なファイル交換が直接音楽売上を減少させるとの調査結果を得ており、IFPIの主張を裏付けているとも指摘している。
訴訟の対象国となったカナダではここ5年間で音楽売上が30%減少、ドイツでは3年間で30%減少、デンマークでは3年間で50%減少、イタリアでは2001年から2003年の間に5,000万ユーロの売上減少が記録されたと説明している。
関連情報
■URL
ニュースリリース(英文)
http://www.ifpi.org/site-content/press/20040330.html
IFPIのJay Berman会長兼CEOのコメント(英文)
http://www.ifpi.org/site-content/press/20040330m.html
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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2004/03/31 12:13
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