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千本倖生代表取締役社長兼CEO
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イー・アクセスは17日、2004年3月期の決算を発表した。通期では創業5期目にして黒字化を達成、ADSL加入者数は150万回線を突破した。今後はAOLジャパンのISP事業営業譲受により、ISP事業にも乗り出す。
2004年3月期におけるイー・アクセスのADSLサービス加入者数は149.6万回線で、2003年3月期の95.4万回線から54.2万回線の増加となった。3月単月の加入者数が過去最高の8.2万回線を記録、単月シェア28%を達成したこともあり、第4四半期は過去最高の加入者を獲得したという。イー・アクセスでは加入者の伸びについて「ISPとの共同販促」「量販店での販売活動」「ダイヤルアップユーザーへのテレマーケティング」が効を結んだと説明した。
2004年3月期の通期実績は、売上高が前年同期比178.7億円増の381.4億円、営業利益が84.9億円増の41.4億円、経常利益が80.2億円増の27.2億円で、通期での黒字化を達成。また、設備投資額は旧型設備を有効利用する1Mbpsサービスなどの効果で、前年同期から117.1億円減の91.8億円となった。
2005年3月期の通期業績予想は、引き続き増収増益を見込む。売上高は34%増の510億円、営業利益は45%増の60億円、経常利益は84%増の50億円、当期純利益は112%増の50億円を目指すという。
取締役体制も大幅に変更される。米国FCC元委員長のウイリアム・ケナード氏、元富士銀行頭取および会長の橋本徹氏、慶應義塾大学環境情報学部教授の國領二郎氏など、国内外7名が社外取締役として就任、社内取締役は千本倖生代表取締役社長兼CEO、種野晴夫代表取締役COO、エリック・ガン代表表取締役CFOの3名に絞られた。現取締役CTOの小畑至弘氏は、専務執行役員兼CTOに就任する予定。これらは6月の株主総会の承認を持って決定される。
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2004年3月期の通期実績
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7名の社外取締役候補。株主総会の承認後に正式就任する
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種野晴夫代表取締役COO
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AOLジャパンのISP事業に関する営業譲受については、従来のホールセール事業に加えてISP事業を持つことでフルラインのサービス提供能力を持つというメリットを説明。また、中小のISPから要望のあるアウトソーシング業務にも今後は対応できるという。
AOLジャパンのISP事業営業譲渡は、AOLジャパンとNTTドコモとの関係が切れたのちにイー・アクセスへ申し入れがあったという。イー・アクセスの千本倖生代表取締役社長兼CEOは「米国のAOLは世界最大のISPというだけでなく、Time Warnerというコンテンツも保有している」とコメント。種野晴夫代表取締役COOは「ISP事業を直接運営することでAOLとの関係が密になり、コンテンツ事業への足がかりが築ける」と説明した。
イー・アクセスが取り組むTD-SCDMA(MC)方式に技術を用いた高速インターネット接続サービスについても説明が行なわれた。IMT-2000技術調査作業班ではTD-SCDMA(MC)を含む各方式を上部委員会へ報告することが確定しており、イー・アクセスでも実験開始に向けて準備を進めている最中だという。当初は2,000MHz~2,005MHzの5MHz帯で実験を開始、その後15MHzへの拡張を予定する。実験場所はイー・アクセス本社の1局で開始、その後3局へ拡大する予定。最長1年間の実験期間中に電波特性やサービス性能を評価、検証していく。
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営業譲受の概要
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営業譲受の仕組み。米国設備も一部利用しているため、米AOLのテクニカルサポートも受ける
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関連情報
■URL
平成16年3月期決算短信(PDF)
http://www.eaccess.net/company/press/2004/040517-1.pdf
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( 甲斐祐樹 )
2004/05/17 20:23
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