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基調講演を行なう総務省大臣官房技術総括審議官の鬼頭達男氏
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独立行政法人情報通信研究機構(NICT)は2日、研究開発用として2004年4月から運用を行なっている超高速ネットワーク「JGNII」について、新たに日米間に10Gbpsの回線を整備し、8月1日から運用を開始したと発表した。
JGNIIは、超高速のネットワーク技術やアプリケーション技術などの研究開発を目的として、ギガビット単位の高速回線によって日本国内に構築されたネットワーク。今回、NICTでは新たにJGNIIの国際回線として、JGNIIの拠点である東京・大手町と米国のシカゴを結ぶ10Gbps(OC-192)の回線の運用を開始した。回線はイリノイ大学シカゴ校に設置されている研究開発用ネットワークの国際的な接続ポイント「StarLightプロジェクト」に接続され、米国や欧州などの研究用高速ネットワークとの接続も可能となっている。
回線の運用開始を記念して2日に行なわれた記念式典では、総務省の大臣官房技術総括審議官を務める鬼頭達男氏による基調講演が行なわれた。鬼頭氏は、2010年にユビキタスネットワーク社会の実現を目標とする政策「u-Japan構想」において、基盤技術の研究開発や実証実験の場としてJGNIIは重要な役割を果たすと述べ、日米間回線の構築によりさらに今後は国際共同研究や実証実験などを促進していきたいと語った。
講演に続いては、JGNIIの運用に携わる研究者などによるパネルディスカッションが行なわれた。JGNIIの国際共同研究グループのリーダーを務める東京工業大学特任教授の池田佳和氏は、JGNIIは多様性を許容するネットワークのテストベッドであり、グローバルな共同研究プラットフォームの提供、ユーザー自身によるネットワーク設定・制御機能、ユーザーを巻き込んだ形でのトライアルなどが求められているとした。
パネリストとして参加した東京大学教授の青山友紀氏は、JGNIIは開かれたネットワークであり、ユーザーにはネットワークの研究者が想定しないような使い道をぜひ考えて欲しいとし、またそうした要望があればぜひ応えていきたいと語った。また、アジア太平洋地域の高速ネットワークのプロジェクトAPANの議長を務める早稲田大学教授の後藤滋樹氏は、日本はアジアのネットワークにおいて米国への接続回線の拠点となっているだけでなく、研究開発の分野においてもアジアの中で拠点としての役割が求められているとし、現在ではネットワークの研究者だけでなくあらゆる分野の研究者が高速回線を必要としており、超高速の国際回線が果たす役割は大きいと述べた。
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JGNIIのネットワーク構成
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パネルディスカッションの模様
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関連情報
■URL
独立行政法人情報通信研究機構(NICT)
http://www.nict.go.jp/
Japan Gigabit Network(JGN)
http://www.jgn.nict.go.jp/
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( 三柳英樹 )
2004/08/02 19:49
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