7月28日に「Windows Vista」とともに発表された「Internet Explorer 7.0(IE7) beta 1」が、早くも開発者の間に多くの話題を提供している。同ブラウザのWindows XP版が、米MicrosoftのテクニカルベータプログラムやMSDNを通して配布されているためだ。
まず、IE7 beta 1が公開されてほどなくして英テクノロジー誌の「Register」が、IE7 beta 1ではGoogleツールバーとYahoo!ツールバーが消えてしまう問題を指摘し、Microsoftがライバル企業に打撃を与えるようとしているのではないかとの憶測記事を掲載した。この問題は他の多くの環境でも発見されたらしく、ブロガーたちが競ってこの話題を書くようになった。
これを受けて翌29日にIE公式ブログでは、Microsoftにそのような意図はまったくないと全面否定。その中で「我々はGoogleとYahoo!、そしてどのグループのツールバーもbeta 1でサポートしており、最終リリースでもそうするつもりだ」と開発チームの立場を明確にした。また、MSNだけをデフォルトサーチプロバイダーにするという一部の憶測も否定し、検索ボックスにはAOL、Ask Jeeves、Google、MSN、Yahoo!の5社がドロップダウンリストに掲載されていると説明した。
IE7 beta 1はその名の通りベータテスト中であるため、バグが発見されるのは当然のことであり、GoogleとYahoo!ツールバーが消えてしまったのもそのようなバグの1つであると考えられる。IE開発チームでは、どのような環境でこのバグが発生したのかをぜひとも報告して欲しいと開発者たちに呼びかけている。
別の問題として、IEに見られた多くのCSS関連のバグがIE7 beta 1では修正されるのではないかとの期待があった。しかし残念なことに依然として多くのバグが残されていたことから、IE7への落胆が各所で表明された。これについてもIE公式ブログで開発チームリーダーのChris Wilson氏が声明を発表。今回のbeta 1ではセキュリティ向上が優先順位の第一であり、CSSの実装はその中に含まれていないことを率直に認めた。次のbeta 2では多くのCSS関連のバグが修正されるほか、HTML 4.01やCSS 2.1の一部、PNG画像のアルファチャンネルサポートなどが含まれると発表した。
これと関連してWilson氏は、IE7は最終リリースでも「Acid 2 Test」にはパスしないことを明らかにした。Acid 2 TestはCSSなどを含むW3C標準規格をブラウザが満たしているか試すテストページだが、Wilson氏はこのテストがHTML 4.01とCSS 2.1だけでなく、Acid 2開発者たちが希望する余分な機能まで含んでいることを指摘。それらの機能はIEの開発にとっても非常に有用ではあるものの、このテストを通過しなければならない課題とみなしてはいないとの立場を示した。その一方で、Microsoftが標準規格推進団体のWeb Standards Projectと共同で行なっているタスクグループの活動を重要視していることを改めて強調している。
IE7 beta 1は多くの問題を含んでいるのは事実であるようだが、あくまでもベータ版であることを認識しておく必要がある。最近はGoogleやYahoo!などがベータ版のサービスを長期間にわたって継続する傾向があり、実際、ベータ版であっても安定して使用できるソフトやサービスは多い。しかし、MicrosoftはIT業界の伝統的慣習に倣い、ベータ版をテストと明確にとらえており、問題が存在するのは当然のこととみなしている。開発者たちがさまざまな環境におけるでバグをMicrosoftに報告・公開し、Microsoftがこれらのバグを修正した後にリリースする正式版によって、IE7の正当な価値が評価されることになる。
関連情報
■URL
IE公式ブログ(英文)
http://blogs.msdn.com/ie/
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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2005/08/01 13:44
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