KDDIは21日、2006年3月期上期(2005年4月1日から9月30日)の連結決算を発表した。営業収益は前年同期比0.2%減の1兆4,688億円とほぼ横ばい。営業利益は同2.6%増の1,667億円、純利益は同30.3%増の1,014億円と増益を達成した。
今回の決算内容についてKDDI代表取締役社長兼会長の小野寺正氏は、「モバイル事業を中心に、利益面・事業展開面とともに着実に結果を出せた。特に、利益はいずれも過去最高で、純利益は初めて半期で1,000億円を達成した」と振り返った。au事業が引き続き好調に推移する一方で、固定通信事業の営業利益は、メタルプラスの拡販により295億円の赤字を計上した。
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KDDI代表取締役社長兼会長の小野寺正氏
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連結決算
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● 固定通信はメタルプラス拡販の影響で大幅減収
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au事業
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事業別の売り上げは、au事業の営業収益が前年同期比10.4%増の1兆1,178億円、営業利益が29.0%増の1,852億円で増収増益を達成した。純増シェアについても54.5%と好調を推移しており、WIN契約者は9月末で555万と着実に増加したという。
au事業全体の契約者数は2,070万4,000契約で、内訳はWINが555万、CDMA 1Xが1,399万7,000、cdmaOneが115万6,000。2006年3月期下期の課題として、「着うたフルやナビなどau独自のサービスと、定額制料金をセットで訴求すること。モバイルナンバーポータビリティ(MNP)に向けて、『家族割りワイドサポート』により、幅広い年代層の獲得を強化すること」などを挙げた。
固定通信事業では、営業収益が前年同期の2,968億円から2,862億円へと大幅に減少。営業収益については、メタルプラス拡販の影響を受けて295億円の赤字となった。9月末の回線数は、販売エリア拡大の遅れから68万回線に止まっており、「若干ペースが遅れている」という。
2006年度末までのCG開局予定数については、当初1,800を予定していたが1,400に修正。下期は着実に販売エリアを拡大することで、メタルプラスの早期開通に努め、早期売上計上に注力するという。また、パワードコムとの合併、および東京電力とのFTTH事業統合サービス提供に向けた準備を行なうとした。
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固定通信事業
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メタルプラスの販売状況
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● ツーカーからauへの移行は「想定の倍以上」
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今後の課題
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ツーカー事業に関しては、営業収益が前年同期比から179億円の減収となる1,013億円、営業利益が前年同期比から7億円の減益となる106億円。減収減益となったが、進捗率では営業収益が49.6%、営業利益では75.4%と好調に推移していることを強調した。
KDDIでは、10月1日にツーカーグループ3社を合併。これにともない、ツーカーユーザーがauへ契約変更する場合、同じ電話番号のまま移行できるサービスの受付を行なっていたが、「想定の倍以上の申込みがあり」(小野寺社長)、サービスを一時的に中断している。早々にシステム改善を実施して、受付を再開したいとコメントした。
中期的な経営戦略としては、ツーカーグループを合併したことにより、現在のモバイル市場シェア27%を早期に30%超へと拡大する。固定通信事業については、光プラスとメタルプラスの直収サービスへの転換を促進。東京電力との統合サービスもできる限り早く提供するという。
また、固定電話と携帯電話を融合させる「FMC(Fixed-Mobile Convergence)」サービスについても言及した。小野寺社長は「モバイルと固定の両面について、コアネットワークのIP化の流れが進んでいる。現状では固定と移動の料金のバンドル化にすぎず、携帯の利益を固定に移すということになりかねない。コスト競争力のあるインフラ構築とシームレスなFMCサービスの提供を目指す」と語る。
● NTT東西の光ファイバは引き続き開放が必要
会見では、モバイルナンバーポータビリティ(MNP)や光ファイバの開放ルールなど、規制環境についても触れた。MNPについては、auの新規加入者数に対する影響はほとんどないとしており、MNPが導入されるまで他社キャリアへの移行をためらうユーザーも多いと分析した。
総務省がNTT東西地域会社に課している光ファイバ開放の義務については、リーズナブルなFTTHサービスを提供するためには、引き続き開放が必要であると強調。東京電力とFTTH事業で統合したことをNTTが指摘して、開放義務の見直しを訴えていることについても、「NTTと東京電力の光は性格が全く違う」と語気を荒げる。
続けて小野寺社長は、「NTTの光は、NTTが今まで銅線の時代に築いた電柱や販路などをすべて利用しているだけ。これを開放したといっているが、顧客からFTTHを引きたいと依頼されても、NTTと同じスピードで提供できなくては勝負にならない」と訴え、NTTが光ファイバの開放義務の撤廃や値下げを求めるのであれば、資本分離してJRと同じような形態になるべきだと主張した。
● ボーダフォンの「LOVE定額」は「反響が大きければ導入も検討」
このほか、ボーダフォンが11月1日から開始する定額プラン「LOVE定額」や、NTTドコモがFOMAの「902i」シリーズ発売に合わせて開始する通話サービス「プッシュトーク」についての所見も述べた。
月額315円で特定の1人に対する通話かけ放題、メールが送り放題になるLOVE定額に関しては、「auでも導入できるが、音声系サービスに注力することがいいことかは疑問に感じる。音声ではなく、EZWebなどデータ関係のサービスを利用してもらわないとARPUは上がらないからだ。ただ、LOVE定額の反響が大きければ導入を検討する」と語った。また、トランシーバーのような形で会話できるプッシュトークについては、「開始時期は未定だが、KDDIでも同様のサービスの準備を進めている」という。
関連情報
■URL
KDDI
http://www.kddi.com/
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( 増田 覚 )
2005/10/21 20:03
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