国民生活センターは8日、商品やサービスに対する苦情などの情報を受け付ける「消費者トラブルメール箱」の受信件数の推移を発表した。2004年4月1日から2005年10月31日までに、オンラインゲームに関するトラブル情報が1,932件寄せられている。
トラブル情報の受信件数の推移としては、2004年12月までは月平均5.7件と少数だったが、2005年1月の198件を皮切りに急増。送信者の属性では、20歳代が61.2%で最も多く、次いで30歳代(22.4%)、20歳未満(13.2%)と続いている。性別では男性が99.4%で圧倒的に多かった。
同センターによれば、「利用規約で禁止されている行為をしている利用者がいるのに運営業者は管理をしない」「運用業者の消費者対応が悪い」など、運用業者に対する苦情が多数を占めた。ソフトを用いて自動的にゲーム上のキャラクターを操作する「BOT行為」や、ゲーム内の通貨やアイテムを現実通貨で取引する「RMT」に関する苦情も多かったとしている。BOT行為では24時間休みなくキャラクターを育成できるため、ゲーム内の武器や通貨を入手しやすくなるという。
また、BOT行為とRMTは密接な関係にあり、BOT行為で敵を倒して容易に多くのアイテムや通貨を得ることで、RMT専用サイトやオークションサイトで販売しているのではないかという苦情も寄せられたという。そのほか、「接続障害でゲームを利用できない」「突然、運営業者からアカウント停止処分にされた」という苦情も寄せられている。
国民生活センターでは、主な事例として「BOT行為をする利用者が多額のゲーム内通貨を得るため、ゲーム内の世界に流通する通貨の量が増え、インフレを引き起こしている」「業者はRMTを黙認しており、現在でもRMT専用のサイトが存在し、RMTが行なわれている。サービス対価を支払っているのに、業者が管理しないのは問題」といった情報を紹介している。
オンラインゲームの多くは、利用規約においてBOT行為やRMTを禁止行為としているほか、禁止行為を行なった場合は、運営業者が利用を停止するとも定めている。国民センターでは、苦情の多い運営業者数社に管理体制の強化を申し入れてきたが、苦情は減少していないという。
国民生活センターは、問題点として次のような点を上げている。1)運営業者がBOT行為を行なう不正ツールに対してシステム的な対策をしても、すぐに不正利用者に破られてしまい抜本的な対策が取れていない、2)不正利用者を監視する体制が十分でない、3)RMTは法的に禁止されていない上、ゲーム外で行なわれることが多いため、運営業者の管理が行き届かない、4)利用規約に違反した不正利用者のアカウントを運営業者が停止しても、再度アカウントを取得し、禁止行為を繰り返すことがある。
こうした状況において、国民生活センターでは利用者に対して、「ゲームの運営状況を確認する」「運営業者のWebサイトのお知らせなどで不正利用者の管理状況などを収集する」「実際の利用者の声を聞く」などのアドバイスをしている。
関連情報
■URL
ニュースリリース(PDF)
http://www.kokusen.go.jp/cgi-bin/byteserver.pl/pdf/n-20051207_2.pdf
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( 増田 覚 )
2005/12/08 19:06
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