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機密データの持ち出し・公開に「懲戒解雇」を科す企業が5割


 財団法人労務行政研究所は17日、企業における「インターネット等の私的利用に関する実態調査」の結果を発表した。インターネットやメールの私的利用についてルールを設定している企業は半数に及ばないことがわかった。また、講じている対策や、私的利用をした社員に対して科す処分の内容もまとめている。

 調査は2月6日から3月3日まで、全国の上場企業3,708社と非上場企業349社を対象に実施し、回答のあった139社を集計した。これによると、インターネットやメールの私的利用について、就業規則や管理規定などによるルールを「定めている」としたのは48.9%で、「定めていない」とした51.1%を下回った。ただし、企業の規模によって異なり、1,000人以上の企業ではルールを定めているところが72.4%に達した一方で、300~999人では51.7%、300人未満では32.7%だった。中小企業の対応の遅れを指摘している。

 インターネットの私的利用を防止するために対策を実施しているとしたのは全体の84.8%。これも会社の規模が小さくなるほど低い傾向があり、1,000人以上の企業では96.4%に達した一方で、300人未満では69.2%と、特に対策を講じていない企業がまだ3割あることがわかった。

 対策の内容としては、「Webサイトの閲覧状況等の履歴の保存」が37.7%、「職場の責任者に管理を任せる」が32.6%、「Webサイトの閲覧を制限」が26.8%、「インターネットの利用状況をシステム上でモニタリング(監視)」が21.0%、「インターネットが利用できるパソコンを制限」が18.8%、「その他」が0.7%。

 対策内容についても規模別で見ると差が現われており、1,000人以上の企業で最も導入が多かったのは「Webサイトの閲覧状況等の履歴の保存」と「Webサイトの閲覧を制限」で、64.3%に達した。一方、300人未満で最も多かったのは「職場の責任者に管理を任せる」の36.5%だった。

 メールの私的利用への対策については、対策を講じているとした企業は全体の81.9%。内容は、「電子メールの送信・着信履歴の保存」が42.0%と最も多く、以下は「職場の責任者に管理を任せる」の34.8%、「利用状況のモニタリング(監視)」の17.4%、「電子メールが利用できるパソコンを制限」の10.1%、「電子メールの送信・着信を制限」の7.2%といった順。

 調査では、PCや携帯電話の不正利用があった場合に、本人に対してどのような処分を科すかも調べている。「情状の最も重い場合」について各企業に尋ねているが、「アダルトサイト等の閲覧」(45.6%)、「私用メールの多様」(48.2%)、「パソコンを使って度重なる業務に関係のない私的文書の作成」(43.9%)、「会社貸与の携帯電話の頻繁な私的利用」(48.6%)については、それぞれ「譴責・注意処分」が最も多い。これに対して、「社内機密データの持ち出し・公開」に対しては、「懲戒解雇」とする企業が51.7%と最も多かった。ただし「判断できない」との回答も多く、いずれの項目でも3割弱から4割程度ある。実際の状況に応じて処分を検討するものと思われるという。


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URL
  ニュースリリース(PDF)
  http://www.rosei.or.jp/press/pdf/200605.pdf

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( 永沢 茂 )
2006/05/18 14:42

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