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銀行・保険会社の半数以上で個人情報の漏洩・紛失を経験、内閣府が調査


 内閣府国民生活局は、「個人情報の保護に関する事業者の取組実態調査」の結果を公表した。個人情報の漏洩・紛失が発生したことのある事業者が15.8%あることがわかった。業種別で見ると、銀行業と保険業でその割合が5割を超えている。

 調査は、野村総合研究所が3月に実施したもの。全上場企業を含む20,000事業者を対象にアンケート調査を実施し、2,335件の回答を得た。その結果が7月28日に開催された国民生活審議会個人情報保護部会の会合において報告された。

 これによると、個人情報の「漏洩(紛失も含む)」と「滅失・き損(全部もしくは一部のデータが管理者の意志に反して消えてしまうこと)」のいずれも発生したことがあるとした事業者が3.5%あった。また、漏洩のみは12.3%、滅失・き損のみは1.7%だった。いずれも発生していないのは79.0%で、無回答が3.5%だった。合計で15.8%の事業者が個人情報の漏洩を経験していることになる。

 漏洩を経験した比率が高かった業種は、銀行業(信用金庫・消費者金融等含む)、保険業、通信業、電気・ガス・水道だった。漏洩と滅失・き損のいずれも発生したことがある事業者と、漏洩のみ発生したことがある事業者の合計は、銀行業で57.7%、保険業で55.5%と半数を超えている。このほか、通信業では46.9%、電気・ガス・水道では35.0%だった。

 個人情報保護法が全面施行された2005年4月以降に漏洩を経験した369事業者に、発生回数も聞いている。1回が44.2%、2回が16.3%、3回が10.3%、4回が2.7%、5回以上10回未満が6.5%、10回以上が6.5%、無回答が13.6%だった。2回以上を合計すると、42.3%の事業者で漏洩が複数回発生していることになる。なお、業種別では、保険業、医療、通信業、旅行業・宿泊業で複数回発生した事業者の割合が多いという。

 同じく2005年4月以降における漏洩の原因(複数回答)としては、「従業員等が置き忘れ、施錠忘れなどの過失を犯したこと」が31.2%、「事業所等が盗難にあったこと(外出中に“車上荒らし等”に遭遇することも含む)」が26.0%、「委託先から漏洩したこと(運送業者含む)」が17.1%と多かった。このほかには、「従業員等にインターネット利用上の過失があったこと(メールの誤送信、HPへの誤掲載等)」が8.9%、「従業員等が個人情報を持ち出し、売却・譲渡・漏洩等をしたこと」が5.7%などだった。

 漏洩または滅失・き損を経験した409事業者において、それらの個人情報に対して「アクセス権の制限(IDやパスワード等による管理)」による対策をとっていたとする事業者は51.3%、「物理的な隔離(特定の部屋等における管理)」は45.2%、「情報の暗号化」は23.7%だった。


関連情報

URL
  第20次国民生活審議会個人情報保護部会
  http://www5.cao.go.jp/seikatsu/shingikai/kojin/20th/20bukai-index.html
  「個人情報の保護に関する事業者の取組実態調査」要旨(PDF)
  http://www5.cao.go.jp/seikatsu/shingikai/kojin/20th/20060728kojin3-1.pdf

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( 永沢 茂 )
2006/08/09 17:08

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