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協議会の議長を務める三田誠広氏
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日本文藝家協会など著作権関連16団体からなる「著作権問題を考える創作者団体協議会」は22日、著作権の保護期間を現在の「死後50年」から「死後70年」に延長することを求める共同声明を発表した。協議会では声明を文化庁に対して要望として提出し、法整備を求めていくとしている。
協議会に参加しているのは、日本文藝家協会、日本脚本家連盟、日本シナリオ作家協会、日本児童文学者協会、日本児童文芸家協会、日本漫画家協会、日本美術家連盟、日本美術著作権連合、日本写真著作権協会、日本写真家ユニオン、日本音楽作家団体協議会、日本音楽著作権協会(JASRAC)、音楽出版社協会、日本芸能実演家団体協議会、日本レコード協会、日本歌手協会の16団体。
協議会の議長を務める日本文藝家協会の三田誠広副理事長は、「欧米諸国などほとんどの先進国は著作権の保護期間を著作者の死後70年までとしており、日本もこうした動きに足並みを揃える必要がある」と共同声明の趣旨を説明。「日本政府は知財立国を目指すとしているが、日本だけ著作権の保護期間が短いということは、それだけ日本の財産が失われることになる」とした。
また、日本においては、第二次大戦中に日本が連合国側の著作権を保護していなかったという理由から、連合国側の著作物について約10年間の保護期間を加算する「戦時加算」の制度がある。協議会では、こうした戦時加算制度は極めて不適切な措置であり、廃止を求めていくとして、そのためにも著作権の保護期間を欧米と同様の死後70年に揃える必要性があるとした。
一方で、保護期間の延長により著作物のパブリックドメイン化が遅れることの影響について三田氏は、「例えば文学では『青空文庫』という、ボランティアの方々により著作権の切れた作品をネット上に公開するという取り組みがあります。これは作家にとっても大変ありがたいことで、作家がなにより求めているのは、1人でも多くの読者に出会いたいということ」と語り、こうした取り組みに対しては十分に配慮していきたいとした。
具体的には、著作権者側と利用者側の調整機関を設けることや、著作権者のデータベース化などを進めることで、著作物を利用したいという要望に対して円滑に応えられるようにしていきたいと説明。三田氏は「著作物を利用しようと思っても、許諾を求めるためのコストの方が、著作権の使用料よりも高くなってしまうというケースもある。そのために早くパブリックドメインにして利用できるようにしてほしいという主張もあるだろうが、我々としてもコンテンツを利用してほしいという気持ちは同じ。著作権がコンテンツ利用の妨げにならないようにしたい」と語った。
協議会では要望を文化庁に提出し、文化庁の著作権分科会で延長問題を来年度の議題としてもらうことなどにより、法改正を求めていくとしている。
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( 三柳英樹 )
2006/09/22 19:57
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