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「iPodがMDの代替機器として普及」私的録音補償金管理協会が調査報告

「私的録音録画小委員会」第6回会合が開催

 私的録音録画補償金制度の抜本的な見直しに向けた検討を行なうために、文化審議会著作権分科会に設けられた「私的録音録画小委員会」の第6回会合が、17日に開催された。今回の会合では、私的録音補償金管理協会(SARAH)と私的録画補償金管理協会(SARVH)が、デジタル録音録画機器の利用実態をまとめた調査結果が報告された。


携帯音楽プレーヤーへの保存楽曲数はCD-R/RWやMDの3倍

 私的録音補償金を管理するSARAHでは、デジタル録音機器を保有する15歳以上を対象に、7月にWeb調査を、8月に郵送調査を実施。有効回答数はWeb調査が3,000件、郵送調査が1,004件。それによれば、携帯音楽プレーヤーの保有率は、Webでは55.3%、郵送では38.7%に上るという。

 携帯音楽プレーヤーへの保存楽曲数は、Webでは平均372.2曲、郵送では平均327.8曲。CD-R/RWに録音した楽曲数(Webでは102.4曲、郵送では95.4曲)や、MDに録音した楽曲数(Webでは89.1曲、郵送では94.1曲)と比べて、3倍以上に達している。

 PCに音楽を保存している人は、Webでは75.5%、郵送では47.6%。PCに音楽を保存した理由で最も多かったのは、Webでは「携帯音楽プレーヤーで聴くため」が52.2%、郵送では「CD-R/RWで聴くため」が53.3%で、ともに半数を超えた。

 SARAHは、「携帯音楽プレーヤーの著しい市場進出に伴い、デジタル録音に使用される機器・媒体が、従来のMD中心から変化しつつある。MDの代替機器として、iPodなどの携帯音楽プレーヤーが普及しているという見方が正しい」として、携帯音楽プレーヤーを私的録音補償金制度の対象にすべきであるとの考えを示した。


私的録音録画補償金制度の認知度は3割、「同制度が必要」は3割

 私的録画補償金を管理するSARVHでは、デジタル録画機器の利用実態調査の結果を発表。調査は、郵送調査とWeb調査を併用し、デジタル録画機器の保有状況を把握する一次調査と、同機器の利用状況を把握する二次調査を実施した。有効回答数は、郵送調査の一次調査が33,182件(他団体が実施した調査結果を利用)、二次調査が991件。Web調査は各3,000件。

 それによれば、デジタル録画機器の普及率は約27%。インターネット利用世帯に限定すると、普及率は約69%に達した。テレビチューナー付きPCの普及率は約6%だった。同機器の所有者のうち、過去1年間でテレビ番組を録画した人は約96%。録画頻度は、「ほとんど毎日」が約32%で最も高く、週に1度以上録画するという人は約82%を占めた。過去1年間にデジタル録画機器でテレビ番組を録画した理由では、「外出等の理由」が9割、「見たい番組の重複」が8割程度。「保存用の録画」という回答も約82%と高かった。

 私的録音録画補償金制度の認知度では、全体の約28%が知っていると回答。同制度を認知している人に、補償金の対象機器・媒体を尋ねたところ、DVDなどの録画用記録媒体を挙げる人が約60%で最多。次いで、DVDレコーダー(HDD内蔵型)の約39%、DVDレコーダー(HDD非内蔵型)の約34%、D-VHSの約27%、VCR(デジタル・ビデオ・カセットレコーダー)の約27%となっている。

 また、私的録音録画補償金については、全体の約48%が必要と回答。補償金の支払い方法としては、約72%が「録画のために購入する機器や媒体の価格に比例したお金を払う仕組み」を好ましいと答えた。一方、「支払いは僅かまたは不要とする代わりに、録画を厳しく制限される仕組み」を肯定する人は28%にとどまった。補償金の支払いは不要とした人の理由では、「私的使用は本来自由であるべきだから」が全体の約67%で最も高く、「権利者側の必要に応じて技術的に複製が制約されているから」が約16%で続いた。

 コピーワンスの認知度は全体の約38%。コピーワンスの必要性については、「不便になるが、不正利用を防ぐためにはやむを得ない」が約56%で半数を超えたが、「とても不便であり困る」は約32%だったという。


関連情報

URL
  著作権分科会 私的録音録画小委員会(第6回)の開催について
  http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/kaisai/06092219.htm

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( 増田 覚 )
2006/10/17 20:35

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