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ファイル交換ソフトによる著作権侵害、発信者情報の開示手続きを迅速化

プロバイダー責任制限法の運用で業界団体らがガイドライン案

 通信業界団体や権利者団体などで構成する「プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会」が10日に公表した「プロバイダ責任制限法 発信者情報開示関係ガイドライン(案)」では、インターネットにおけるプライバシー侵害や著作権侵害などについて、ISPが発信者情報の開示に応じる手順や基準が示されたが、BBSなどWebサイト上での権利侵害だけでなく、P2Pファイル交換ソフトによる権利侵害についても言及されている。

 これまでも同協会では、権利侵害情報の削除依頼を受けた場合について、依頼に応じてもよいと考えられる場合の基準を示したガイドラインを策定済み。この中では、ISP側で削除措置をとることが可能なWebサイト上での権利侵害が主に想定されていた。これに対して今回のガイドラインは発信者情報の開示に関するものであり、BBSなどに加えてファイル交換ソフトも扱われている。

 ただし、URLやスレッド名、書き込み番号などをもとにISP側で該当情報を確認できるWebサイトとは異なり、ファイル交換ソフトの場合は権利侵害情報が公開されている事実をISP側で確認することが難しい。ガイドラインでは、被害者が発信者情報の開示請求を行なうにあたって提示が必要となるデータとして、権利侵害ファイルを送信可能状態に置いていたユーザーのIPアドレスとタイプスタンプのほか、これらのデータを取得した方法についての技術資料の提出が求められる。

 現在もプロバイダー責任制限法では、権利侵害が明らかであれば、その被害者がISPなどに対して、発信者の身元情報の開示を請求できるとされていた。しかし、権利侵害の明白性については判断基準が明確化されておらず、ISPが判断することは難しかったという。そのため、実際のところは発信者情報の開示が行なわれるまでには、裁判所の判断を仰がねばならかった。

 例えば、日本でファイル交換ソフトによる著作権侵害に対して発信者情報の開示を求めた事例としては、日本レコード協会の加盟会社が、ファイル交換ソフトで権利侵害ファイルを公開していたユーザーの身元開示をISPに求めたケースがあるが、裁判を経なければなられなかった。権利者側にとっては、発信者に対して損害賠償請求などの行動を起こすまでに時間がかかった。

 また、コンピュータソフトウェア著作権協会では、著作権侵害の恐れがあるファイルを公開している「Winny」ユーザーのIPアドレスを調査し、それらのIPアドレスをISPに提示した上で、ISP側から該当するユーザーに注意喚起メールを送信するという手段をとっている。

 今回のガイドラインにより、発信者情報の開示の迅速化が期待され、損害賠償請求を行なうにせよ、警告メールを送信するにせよ、被害者や権利者側から発信者に対して直接の行動とりやすくなる。


関連情報

URL
  プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会のニュースリリース
  http://www.telesa.or.jp/consortium/provider/2007/20070110.htm
  総務省のニュースリリース
  http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/070110_1.html

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( 永沢 茂 )
2007/01/10 20:55

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