米Googleは2月28日、広告主に対して実際に損害を与えているクリック詐欺の割合について、実質的にはほぼ初めてと言える同社の社内データを公表した。
それによると、実際に広告主に対して損害を与えているクリック詐欺の割合は全クリック数の0.02%以下であると主張。なお、広告主に損害を与えていないクリック詐欺の割合は10%以下で推移していると説明している。
この数字を理解するためには、Googleがクリック詐欺を防ぐために採用している手法に注意を向ける必要があり、Googleはこれを説明している。
クリック詐欺を防ぐためにGoogleは3段階の方法を採用している。ほぼ自動的に実行される最初の2段階と、広告主の要望に応じて発動される第3段階に分かれている。
第1段階は、クリック詐欺が行なわれた瞬間にリアルタイムに探知し、自動化されたアルゴリズムによってスパムフィルターのようにフィルタリングされる段階だ。すべてのクリックに対して行なわれており、そのクリックはカウントされない。この中には、ダブルクリックのようなよく行なわれる操作ミスも含まれている。第2段階は、第1段階をすり抜けたクリックに対して行なわれ、アルゴリズムによる解析と人間による分析が組み合わされる。この段階はAdSenseネットワークを中心として調査が行なわれ、この段階で調査されるクリックの数は第1段階と比べるとかなり少ない割合となる。
第3段階は最初の2段階とは異なり、広告主からの依頼があって初めて行なわれる調査のことを指す。この段階で依頼される調査はすべてGoogleのクリック品質チームによって調査されるという。
Googleでは、全クリックのうち、クリック詐欺を含む無効なクリックは10%以下であると推定。これはGoogleがAdWordsを2000年に開始して以来変わっていない数値だとしている。そしてこれらのクリックは自動的にフィルタリングされているため、広告主に対する請求は発生しない。問題となるのは広告主から調査の依頼があったクリックだと説明する。
Googleによると、調査の依頼があり、Googleが実際に調査を行なった結果、自動的アルゴリズムでは発見できなかった詐欺的行為は全体の0.02%以下であるとしている。これらのクリックは、もしGoogleが詐欺と認定しなかった場合には広告主に対して請求が発生するため、実際に損害を生じる可能性があるクリックだったということになる。これらの根拠をもって、Googleは実際に損害を生じる可能性があるクリック詐欺は全クリック数の0.02%以下であると推定すると主張している。
さらにこの数字に関しても、広告主によってはかなり控えめに見積もっていると考えているようだ。というのも、Google AdWordsを利用している業者の広告キャンペーンを邪魔するために誰かがその業者だけを対象にクリック詐欺で狙い撃ちにした場合を考えてみる。その場合、その特定の広告主に対するクリック詐欺の割合だけ非常に高い数値となる。しかしすべての広告主に対して同じような行為が行なわれるわけではない。それでいて集中的クリック詐欺が一度誰かに対して行なわれれば、Googleネットワーク全体におけるクリック詐欺の割合は増加することになるからだ。
調査依頼があったクリックのうち、Googleが詐欺と認定したものだけをもってクリック詐欺の割合とするというGoogleの考え方に関してはすでに異論も出ている。クリック詐欺にあったことすら気が付かない場合を含め、10%以下の数値のどこかに妥当なクリック詐欺の割合があるという考え方もあるだろう。
クリック詐欺は広告主だけでなく、広告ネットワークを運営しているGoogleにとっても重要な問題であり、同社はそれをよく認識していることを再三説明している。
関連情報
■URL
Google AdWords公式ブログの該当記事(英文)
http://adwords.blogspot.com/2007/02/invalid-clicks-googles-overall-numbers.html
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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2007/03/02 11:13
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