社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は30日、私的録音録画補償金制度に関する見解についての説明会を開催し、この問題については文化審議会の小委員会での議論は不十分であり、コピー制限が施されている地上デジタル放送などには補償は不要であるという主張を改めて訴えた。
● コピー制限があるなら補償金は不要、コンテンツに対する二重徴収も問題
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JEITAの著作権専門委員会で委員長を務める亀井正博氏
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JEITAでは、文化審議会著作権分科会の私的録音録画小委員会がこれまでの議論をまとめた中間整理を公表し、パブリックコメントの募集を開始したことに合わせて、16日にこの問題に対する見解を発表。小委員会では補償の必要性に関する議論が尽くされておらず、制度の維持や対象機器の拡大を前提としたような議論となっている点が問題だとして、コピー制限が施されているデジタルコンテンツについては補償の対象とする必要はないと主張している。
JEITAの著作権専門委員会で委員長を務める富士通の亀井正博氏は、デジタル環境下のコピーすべてについて補償が必要なわけではなく、補償が必要となるのは「重大な経済的損失」がある場合だと中間整理にも明記されていると指摘。地上デジタル放送のようにコピー制限が施されているコンテンツの場合には、著作権者などの意思でコピー回数などをコントロールができる以上、コピーに伴う重大な経済的損失はないはずで、補償の必要はないとした。
こうしたことから、2011年には地上テレビ放送もデジタルに移行し、録画ソースがコピーコントロール下に置かれる以上、少なくとも録画についての補償金制度は2011年で廃止すべきだと訴えた。
また、録画しておいた番組を後で見るといった「タイムシフト」の用途や、購入した音楽CDを録音して電車の中で聴くといった「プレイスシフト」などの用途についても、それらの行為によって重大な損失を招くとは言えないと主張。さらに、レンタルCDや有料放送などについても、すでにユーザーとの契約によって対価を徴収している上に、さらに補償金も徴収するのは二重徴収になるとして、JEITAとしてはいずれも補償は不要だと考えていると説明した。
● パブコメで流れが変わった2年前のiPod課金、消費者の声を
小委員会での議論については、「まず補償の必要性について議論した上で、対象となる機器などについて議論するという流れは正しいと思うが、一番最初の必要性に関する議論が不十分なまま議論が進められていることが問題」として、十分な議論を尽くすよう求めていくとした。
また、中間整理でも両論併記となっている項目が多いように、小委員会などの場で議論を尽くすことは難しいのではないかという質問には、「パブリックコメントに対して、どのくらいの方が興味を持って意見を出されるかというのがポイントになると思う」とコメント。「2年前の小委員会では、iPodを対象機器とすべきかということについて議論していたが、パブリックコメントの意見を受けて流れが変わったと思う」として、今回のパブリックコメントに対しても多くの意見を寄せてほしいと呼びかけた。
関連情報
■URL
JEITA
http://www.jeita.or.jp/
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( 三柳英樹 )
2007/10/30 19:48
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