中国ネットワークインフォメーションセンター(CNNIC)は17日、中国におけるインターネットの利用状況をまとめた「第21次中国互換網発展状況統計報告」を発表した。
● ネット人口は2億1,000万人、うち1億6,300万人がブロードバンド
2007年12月末時点のインターネット利用者は2億1,000万人で、半年前に行なった前回調査より4,800万人、年間では7,300万人増加した。このうちブロードバンド利用者は前回調査より4,094万人増加し、1億6,300万人。これは全体の77.6%にあたる。携帯電話による利用者は5,040万人に達した。
普及率は中国の全人口の16%と、世界平均の普及率19.1%より3.1%低い。だが地域別では、北京や上海などで45%を超えるなど、普及率の高い地域も存在する。インターネット利用者の一番多い省は広東省の3,344万人で、全体の15.9%を占めた。
農村部でのインターネット利用者が急増した。前年同期の統計では2,311万人だったのが今回は5,262万人と、じつに2倍以上の増加。中国の経済成長に伴い、これまで貧しいがためにインターネットを利用できなかった層が利用し始めていると、CNNICでは分析している。
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中国のインターネット利用者数の推移(CNNICの報告書より)
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中国のインターネット人口普及率の推移(CNNICの報告書より)
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● 全体の86.6%にあたる1億8,186万人がネットで音楽を聴いている
インターネット利用者のうち67.3%が自宅から、33.9%がインターネットカフェから、24.3%が会社や学校からアクセスしている(複数回答可)。自宅からアクセスする利用者の平均接続費用は1カ月74.9元(約1,130円)。一方、インターネットカフェからアクセスする利用者の平均接続費用は51.6元(約775円)で、これも都市部と農村部で差があり、都市部では月平均で59.2元(約890円)、農村部では45.9元(約690円)だった。
全体の57.2%が男性で、18歳以下ではほぼ男女比は1対1だが、インターネットが普及していない60歳以上では男性の普及率が女性の普及率を大きく上回る。職業別では、約半数が企業などに属する社会人で、残りの28.8%が学生、10.6%がフリーランス、11.9%が無職だった。
年齢別では、30歳以下の利用者が全体の7割弱を占めるという。この数字のみからでは変化は見られないが、CNNICの分析によれば、18歳以下と30歳以上の利用者が特に増加して普及率を引き上げる原動力となったという。
各種サービスの利用率(複数回答)は、多い順より「音楽聴取」が86.6%(1億8,186万人)、「インスタントメッセンジャー」が81.4%(1億7,094万人)、「動画視聴」が76.9%(1億6,149万人)、「検索」が72.4%(1億5,204万人)、「オンラインゲーム」が59.3%(1億2,453万人)、「メール」が56.5%(1億1,865万人)、「電子政府」が25.4%(5,334万人)、「ブログ」が23.5%(4,935万人)、「オンラインショッピング」が22.1%(4,641万人)、「オンラインバンキング」が19.2%(4,032万人)、「オンライントレード」が18.2%(3,822万人)、「eラーニング」が16.6%(3,486万人)、「オンラインペイメント」が15.8%(3,318万人)、「就職、転職支援サービス」が10.4%(2,184万人)。
CNドメイン数は、前年同期の180万3,000件から900万2,000件と、前年比5倍の伸びを記録。2007年にCNNIC主体で行なった、CNドメイン取得1年目1元(約15円)キャンペーンが効果を上げた。種類別では「.cn」が569万5,000件で最も多く、続いて「.com.cn」が253万5,000件。これに伴いサイト数も急増しており、前年同期の84万3,000サイトから150万4,000サイトと、前年比78.4%増の伸びを示した。また、総Webページ数も89.4%増を記録し、84億7,000万ページとなった。海外バックボーンの総容量は、前年同期比43.7%増の368,927Mbpsだった。
● 音楽や動画のアップロード経験者の比率も調査・公表
報告書では、今回のみ行なった調査の結果も掲載している。以下に紹介する。
まず、メールの利用率について職業別で見ると、学生のインターネット利用者の58.2%がメールを利用。技術職では72.0%、事務職では69.8%が利用していた。その一方で無職のインターネット利用者は39.8%しかメールを利用しないという結果が出た。
中国で人気のインスタントメッセンジャーの利用率は、18歳以下で85.0%、18~24歳で96.3%、25~30歳で90.2%。それより上は、年齢層が上がるごとに利用率は減少し、50歳以上では39.9%という結果になった。
現在、人気が地方に波及しているオンラインショッピングについて、その利用者の2007年下半期における半年間のオンラインでの購入額は、「100元(約1,500円)以下」が23.9%、「100~200元(1,500~3,000円)」が15.5%、「200~500元(3,000~7,500円)」が25.2%、「500~1,000元(7,500~15,000円)」が16.4%、「1,000元(15,000円)以上」が19.1%となり、平均は466元(約7,000円)だった。
小卒、中卒から大卒、大学院卒までの学歴別のインターネットの各種サービスの利用実態についても調査した。学歴が高いほど、検索サイトやメール、オンラインショッピングを利用する割合が高かったほか、動画共有サイトでは視聴するだけでなくコンテンツをダウンロードをする割合も高かった。逆にオンラインゲームで遊ぶ割合は低くなるという。
Webメディアのニュース記事やブログについての信用度についても調査している。ニュース記事については、「とても信用できる」が3.0%、「どちらかといえば信用できる」が48.3%、「どちらともいえない」が7.3%、「どちらかといえば信用できない」が38.4%、「とても信用できない」が3.0%。信用している人の方が信用していない人よりも若干多いという結果になった。
一方、ブログの信用度については、「とても信用できる」が1.2%、「どちらかといえば信用できる」が31.4%、「どちらともいえない」が6.7%、「どちらかといえば信用できない」が57.4%、「とても信用できない」が3.3%。信用していない人の方が多い。なお、インターネット利用者における年齢別のニュースサイトの利用率は、18歳以下は49.8%だったが、25歳以上ではいずれの年齢層も利用率が80%以上に上った。
コンテンツをアップロードして公開したり掲示板に書き込んだりするという、自主的に何かを発信する経験についての調査(複数回答可)では、「掲示板に書き込みをしたことがある」が35.4%、「画像をアップロードして公開した」が31.8%、「音楽をアップロードして公開した」が21.3%、「映画をアップロードして公開した」が12.7%、「映画・ドラマ・テレビ番組以外の動画ファイルをアップロードして公開した」が10.4%、「ドラマをアップロードして公開した」が7.9%、「テレビ番組をアップロードして公開した」が4.8%という結果となり、その一方で34.3%はそういった経験がないと回答している。
関連情報
■URL
ニュースリリース(中文)
http://www.cnnic.com.cn/html/Dir/2008/01/17/4966.htm
第21次中国互換網発展状況統計報告(中文、PDF)
http://www.cnnic.com.cn/uploadfiles/pdf/2008/1/17/104156.pdf
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( 山谷剛史 )
2008/01/18 16:05
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