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Google-Yahoo!提携によるキーワード価格上昇議論にGoogleが反論


 GoogleとYahoo!が計画しているインターネット広告分野における提携によって、Yahoo!の広告価格が上昇するとの議論について、米GoogleのチーフエコノミストであるHal Varian氏が16日、公式ブログで反論した。

 この議論は、World Association of Newspapers(世界新聞協会)が15日に発表した共同声明の中でも使用されており、同協会がこの提携に反対する大きな理由の1つとなっている。

 Googleによると、この議論はマーケティング会社の米SearchIgniteが7月に発表したレポートに基づいているのではないかとし、同社のレポートの不備について指摘した。このレポートでは、GoogleとYahoo!の提携によって、Yahoo!のキーワード価格が平均22%上昇するとしていた。

 Googleは5つの点においてこのレポートに反論する。

 1つめに、広告価格はYahoo!やGoogleではなく、オークションによって決められる点を指摘。広告主は希望価格を入札できるため、そこで決定される価格は最終的には広告主の価値に見合った価格に落ち着くはずだとする。このオークション手法は提携後も変更されることはないと説明する。

 2つめに、SearchIgniteのレポートでは、Yahoo!が、Yahoo!とGoogleのうちどちらの広告価格が高いかを見ることができ、その後でどちらの広告を配信するかを決められるとしていた。しかしGoogleは、両社ともに双方の価格を見ることができないことで合意していると反論する。

 3つめに、レポートではYahoo!ができるだけ多くのクエリーに対してGoogle広告を配信すると推測している。これに対して、Yahoo!は適切に表示できる広告の数が少ない場合に、Googleの広告を配信すると自ら発表していると指摘。さらに、Yahoo!は広告から売り上げを得ているため、できるだけたくさんの広告を配信するインセンティブがあると指摘する。Googleから配信される広告に関しては、Yahoo!は一部の売り上げしか受け取ることができないからだ。

 4つめに、レポートではクリック当たりのコスト(CPC)に注目させるばかりで、最も重要な広告投資効果を考慮に入れていないと反論。Googleの広告は、コンテンツとの関連性が高いため、商品購入に結び付く割合が高いとしている。もし購入率が高ければ、広告主はそれに見合うだけの広告費用を支払うだろう。これは、ユーザーにとっても、広告主にとっても良いことだと説明する。

 5つめに、レポートの調査手法にも問題があると指摘した。例えば、Yahoo!ではGoogleよりも多数の広告が1つのページに表示される。広告の表示位置が高ければCPCは高くなるため、表示される広告数が多いほど、全体のCPC低下に繋がるはずだと指摘した。また、レポートの中で使用されている用語の定義もあいまいだと指摘している。

 世界新聞協会は共同声明の中で、SearchIgniteのレポートのデータに基づきGoogleとYahoo!の提携に反対し、規制当局に阻止を呼びかけていた。それだけに提携によって本当にYahoo!の広告価格は上昇するのか、また、今後GoogleとYahoo!の提携がどのような仕方で進展していくのかが注目されるところだ。


関連情報

URL
  Google Public Policy公式ブログの該当記事(英文)
  http://googlepublicpolicy.blogspot.com/2008/09/searchignite-study-on-ad-prices-and.html

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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2008/09/17 12:46

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