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中国のインターネット利用者、3億人が目前に


 中国ネットワークインフォメーションセンター(CNNIC)は13日、中国におけるインターネットの利用状況をまとめた「第23次中国互換網発展状況統計報告」を発表した。


中国のネット人口は2億9800万人、ブロードバンドが9割

 2008年末時点のインターネット利用者は2億9800万人で、半年前に行った前回調査より4500万人、2007年末からの1年間では8800万人増加した。総人口に対するインターネット利用率は、半年前に比べ3.5%高い22.6%で、世界平均(21.9%)を初めて上回った。

 ブロードバンド利用者は1年間で約1億700万人増加し、2億7000万人に達した。インターネット利用者の90.6%がブロードバンドを利用していることになる。携帯電話によるインターネット利用者は2007年末に比べて2倍以上となる1億1760万人。増加の背景には「山寨機」と呼ばれる安価なノンブランド携帯電話の急速な普及があるという。なお、中国で携帯電話でのインターネットはWAPが主流。


ネット利用者数と増加率(単位:万人、CNNICの報告書より)

 地域別で見ると、増加率で「沿岸部<内陸部」という簡単な図式ではなく、地域によってまちまちだ。同じ内陸でも前回比で利用者数が2倍前後の伸びとなった貴州省や雲南省といった地域もあれば、吉林省や江蘇省などでは20%程度しか伸びのない地域も見られた。経済発展をしている地域での普及率は、北京市で60.0%、上海市で59.7%、広東省で48.2%だった。

 農村部では半年前の前回調査時より2000万人強の増加となる8460万人がインターネットを利用。男女比は、都市部では限りなく1対1に近いが、農村部では男性がずっと多い傾向となっている。

 インターネット利用者を年齢別で見ると、10代が急増、40代以上も増加した反面、20代、30代は微増にとどまった。インターネットを利用したい若い社会人には既にほとんど行き渡っているのかもしれない。一般により浸透したことから、平均学歴は低学歴化、平均収入は低所得化した。学生は全体の33.2%となる9900万人弱だった。

 インターネットを利用する場所(複数回答可)は、「家庭」(78.4%)が最も多く、以下「インターネットカフェ」(42.4%)、「職場」(20.7%)、「学校」(11.3%)と続いた。前回調査時と比べ、家庭やインターネットカフェで利用する人の割合が増え、会社や学校で利用する人の割合が減った。また、インターネットを利用するための端末は、「デスクトップPC」(89.4%)が「ノートPC」(27.8%)を大幅に上回った。


ネット利用者の年齢別比率(CNNICの報告書より) ネット利用者の収入別比率(1元=約13円、CNNICの報告書より)

 なお、今回の報告書では数年ぶりに香港とマカオのインターネット利用状況の統計報告も含まれている。香港では総人口531万人のうち、68.7%にあたる365万人がインターネットを利用。総戸数229万8000戸の83%にあたる191万戸がインターネットを利用し、そのほとんど187万戸がブロードバンドを利用している。


ドメイン名の登録数は1682万件、2年間で4倍、「.cn」が1357万

 ドメイン名の登録総数は1682万件で、うち「.cn」ドメイン名が全体の約8割となる1357万件。CNNICが2007年3月から2008年12月末まで行っていた、「.cn」ドメイン獲得1元(約13円)キャンペーンの影響が大きい。2006年末の時点で総数は410万件だったが、キャンペーンがきっかけで2年間で4倍近くに増加した。

 Webサイト総数も2007年、2008年の2年間で急増。2006年末の84万3000サイトが、2008年末には287万8000サイトまで増加した。Webページ総数も同様に急激な伸びを見せ、2008年末時点で160億9000万ページとなった。海外バックボーンは増強を続け、総容量は640,287Mbpsと、半年前の前回調査(368,927Mbps)よりさらに大幅に増加した。


ドメイン名登録数の推移(CNNICの報告書より) Webサイト数の推移(CNNICの報告書より)

Webページ数の推移(CNNICの報告書より) バックボーン容量の推移(CNNICの報告書より

バブル崩壊と金融危機で、オンライントレードの利用者数が減少

1週間あたりの平均ネット利用時間。古くからのネットユーザーほど長い(CNNICの報告書より)
 報告書では、インターネットの利用用途についてもまとめている。そのうち、コンテンツダウンロードやインスタントメッセンジャーなどのサービスは、前年比で利用者数は増加したものの、ネット利用者全体から見た割合は減少という結果になった。すなわち、これまで中国のインターネット利用者のほとんどが若者だっただけに、2008年は中高年がインターネットを利用しはじめたことで、中国の極端なほどに娯楽性の強いインターネット利用傾向に軌道修正がかかったものと思われる。

 具体的には、音楽聴取がネット利用者全体の83.7%(前年比2.9%減)にあたる2億4900万人(同6700万人増)、動画視聴が67.7%(同9.2%減)にあたる2億200万人(同4100万人増)となったことが挙げられる。「Youku」など動画共有サイトが人気と言われる一方で、これらを利用しない中高年インターネット利用者も増加した結果、利用率は減少したわけだ。

 このほか、情報検索が全体の68.0%(同4.4%減)にあたる2億300万人(同5100万人増)となったほか、インスタントメッセンジャーの利用者が75.3%(同6.1%減)にあたる2億2400万人(同5300万人増)となった。ただし、娯楽でもオンラインゲームについては、全体の62.8%(同3.5%増)にあたる1億8700万人(6200万人増)と、利用率・利用者数ともに増加した。

 オンラインゲームと同様に、利用率・利用者数ともに増加したのは、ニュース閲覧、電子メール、オンラインショッピングだ。ニュース閲覧を行うインターネット利用者は、全体の78.5%(同4.9%増)にあたる2億3400万人(同7900万人増)。北京五輪や四川大地震などが利用者増加の原動力となった。電子メールの利用者は全体の56.5%(同2.3%増)にあたる1億6900万人(同5000万人増)、オンラインショッピングは24.8%(同2.7%増)にあたる7400万人(同2800万人増)だった。

 一方、利用率・利用者数ともに減少したのが、バブル崩壊と金融危機が影響したオンライントレードだ。利用者は、全体の11.4%(同6.8%減)にあたる3400万人(同400万人減)となった。中高年のインターネット利用を牽引してきたオンライントレードだが、ここに来てオンライントレード以外の目的で中高年がインターネットを利用しようという動きが出てきたと言える。

 ブログを所有しているのは、ネット利用者全体の54.3%にあたる1億6200万人だが、ブログを更新しているのはネット利用者全体の35.2%にあたる1億500万人だった。SNSの利用者は全体の19.3%にあたる5800万人、旧来から人気がある掲示板の利用者は全体の30.7%にあたる9100万人だった。


関連情報

URL
  ニュースリリース(中文)
  http://www.cnnic.net.cn/html/Dir/2009/01/12/5447.htm
  第23次中国互換網発展状況統計報(中文、PDF)
  http://www.cnnic.net.cn/uploadfiles/pdf/2009/1/13/92458.pdf

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( 山谷剛史 )
2009/01/15 18:54

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