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JASRAC
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日本音楽著作権協会(JASRAC)は28日、2月27日付で公正取引委員会から受けた排除措置命令に対して、命令の全部の取り消しを求める審判請求を申し立てたことを発表した。公正取引委員会の命令に対して不服がある場合には、審判を請求することができるとされており、これにより今後は排除措置命令の妥当性を巡って、裁判と似た手続きによる審判手続きが行われることとなる。
公正取引委員会が下した排除措置命令は、JASRACがテレビ局などの放送事業者との間で締結している包括契約の算定方法などが、私的独占に該当するというもの。公正取引委員会では、放送事業者が番組内で利用した楽曲に占めるJASRAC管理楽曲の割合が使用料に反映されておらず、放送事業者がJASRAC以外の管理楽曲を使用すると使用料の総額が増加してしまうため、こうした点が私的独占に該当するとして、JASRACに徴収方法の変更を求めている。
JASRACでは、「排除措置命令は、著作権および著作権管理事業の本質ならびに我が国の著作権管理事業者が置かれている現状を理解しないまま、私人間の交渉事項(市場)に介入するものであり、大局的な目で見れば、権利者のみならず利用者の利益をも害するものと考えられる」と主張。審判によりJASRACの考え方を説明し、公正な判断を求めていくとしている。
JASRACでは、審判請求で述べた主張の概要として、以下の7点を挙げている。
- 代替可能な商品・役務とは異なり、音楽の著作物は基本的に代替性を欠くこと
- 放送事業者が放送使用料の追加的な発生を回避するために、他の管理事業者の管理楽曲を利用しないということはなく、利用しないと考えることに合理性がないこと
- 包括契約および1曲1回の個別契約の双方にそれぞれ存在理由があり、また、包括契約は諸外国のほとんどの著作権管理団体で採用されていること
- 包括徴収する使用料に他の管理事業者分が含まれていないこと。また、このことは管理事業法の施行または他の管理事業者参入前後で変わりないこと
- 包括契約の対象となる協会の管理楽曲数は一定ではなく、年々増大していること
- 我が国の放送使用料は、国際的に見て極めて低い水準にあり、諸外国の著作権管理団体からの求めにより、その改善に取り組んでいる最中であること
- 協会は、本件について、排除措置命令という方法ではなく、公正取引委員会との協議を通じて実行可能で効果のある徴収方法を検討することが適当だと考えており、排除措置命令の必要性についても正しい判断を求めること
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.jasrac.or.jp/release/09/04_2.html
公正取引委員会:審査審判手続
http://www.jftc.go.jp/dk/sinsa.html
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( 三柳英樹 )
2009/04/28 16:01
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