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熊本地震など、地下の断層モデルや震源分布を3D表示~国土地理院のウェブ地図サービス改良
2017年4月13日 06:00
国土地理院が提供しているウェブ地図サービス「地理院地図」において今春、新たな地図の公開や機能強化・改良がいくつか行われた。今回はその中から、3D表示が可能になった「地下の断層モデル」と、土地の成り立ちと自然災害リスクを確認できる「地形分類」を紹介する。
地図の地下に、断層モデルや震源分布データを3D表示する「地下の断層モデル」
地理院地図は従来、3D表示は地表のみ可能だったが、これに加えて地下や空中の情報も3D表示が可能となった。これにより、地下の断層モデルの形状や大きさを立体的に表示したり、震源分布を可視化したりすることができる。
利用方法は、メニューの中から「地下の断層モデル」を選択する。「平成28年茨城県北部の地震の震源断層モデル」「平成28年鳥取県中部の地震の震源断層モデル」「平成28年熊本地震の震源断層モデル」「平成28年熊本地震の震源分布データ」「平成27年桜島の火山活動に伴う地殻変動」の5つが収録されており、いずれかを選ぶと地図上に断層モデルや震源分布データが表示される。これらが表示された状態で、右上の「機能」の中から「3D」を選択すると、断層モデルや震源分布データが地下に3D表示される。また、UAVの飛行航路など空中の情報を3D表示することもできる。
このほか、これまで試験公開していた、3D表示した情報をシームレスに閲覧できる「地理院地図Globe」についても、より簡単に操作できるように改良を行い、正式公開となった。
土地の成り立ちと自然災害リスクを確認できる「地形分類」、提供エリアが拡大
国土地理院は、2016年3月から、身の回りの土地の成り立ちと、その土地が本来持つ自然災害リスクを確認できる「地形分類図」を地理院地図にて提供開始した。これまでは「土地条件図」のデータを公開していたが、このたび新たに「地水地形分類図」も追加し、全国各地の主要な河川の周辺を中心に閲覧できるエリアが拡大した。
また、従来は、その土地が本来どのようにできた地形かを示す「自然地形」と、人工的な改変工事後の「人工地形」を1つのデータにまとめていたが、これを別のレイヤーに分けてそれぞれ表示・非表示を切り替えられるようになった。これまでは、2つの地形が重複する部分では説明のポップアップが片方しか表示されなかったが、今回の改良により、表示するレイヤーを切り替えることで両方のポップアップを閲覧可能となった。
利用方法は、メニューの中から「ベクトルタイル提供実験」を選択し、下部の「地形分類(自然地形)」または「地形分類(人工地形)」のいずれかをクリックするとレイヤーが表示される。レイヤーが表示された状態で地図上の気になる地点をクリックするとポップアップウィンドウが開く。ウィンドウ内の説明を見ると、「土地の成り立ち」と「自然災害リスク」について説明が分かりやすく書かれており、そこがどのような土地なのかを手軽に調べられる。住宅地・店舗用地の選定や災害対策など、幅広い用途に利用可能だ。