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趣味のインターネット地図ウォッチ

第117回:自転車専用ナビアプリ「自転車NAVITIME」を使ってみました


自転車用クレードルにiPhone 4を取り付けた状態

 iPhone用のナビアプリは現在数多くリリースされているが、そのほとんどはカーナビ用で、自転車で使えるものは少ない。そんな中、サイクリング専用のナビゲーションアプリとして登場したのが株式会社ナビタイムジャパンの「自転車NAVITIME」だ。価格は350円で、App Storeからダウンロードできる。自転車に特化したさまざまな機能を搭載したこのアプリについてレビューをお送りしよう。

自転車向けの5種類のルート検索

 「自転車NAVITIME」は地図データをネットワークから入手するため、オフラインでは地図を表示できない。その分、アプリは軽量でインストールもすぐに終了する。起動すると地図画面となり、左下の現在地表示ボタンを押すと、GPSで測位した現在地が表示される。

 地図データはナビタイムジャパンの乗換案内アプリ「NAVITIME for iPhone」の地図とよく似ているが、道路に一方通行の矢印が入っている点などが少し異なる。詳細地図では建物の形状も描かれており、コンビニや銀行などのアイコンなども掲載されていて情報量はなかなか充実している。

起動画面 上野駅周辺 参考:「NAVITIME for iPhone」の上野駅周辺地図
東京駅八重洲口 銀座四丁目交差点 新宿都庁
縮尺を小さくすると国道の号数表記が大きく表示される 山岳地では等高線を表記

 まずはこのアプリの基本となるナビゲーション機能をチェックしてみよう。上部の検索ボックスに施設名などのキーワードを入力すると候補一覧が表示されるので、該当する地名や施設をタッチすると地図上にピンが降ってくる。もちろん地図上で直接、目的地を指定することも可能で、その場合は画面を長押しするとピンが降ってくる。

 ピンから開いたウィンドウで「ここに行く」を選択すると「現在地から行く」「出発地をさがす」という選択画面が表示される。ここで「現在地から行く」を選ぶとルート検索が行われる。

 ルート検索の種類は「距離が短い」「坂道が少ない」「坂道が多い」「大通り優先」「裏通り優先」の5種類から選択できる。「坂道が少ない」だけでなく「坂道が多い」が用意されているのは面白く、トレーニング目的の人などを想定しているのだろう。

施設名での検索結果 画面上を長押しするとピンが降ってくる ルート検索の選択画面

 ルート検索時はこの5種類の検索をすべて行い、結果表示を切り替えながらルートを比較できる。結果表示では、走行時間と走行距離だけでなく、「グラフを見る」をタッチすると高低差グラフも見られるので、起伏の状況がひと目でわかる。

ルート検索結果(距離が短い) ルート検索結果(坂道が少ない) ルート検索結果(坂道が多い)
ルート検索結果(大通り優先) ルート検索結果(裏通り優先)

高低差グラフ(距離が短い) 高低差グラフ(坂道が少ない) 高低差グラフ(坂道が多い)
高低差グラフ(大通り優先) 高低差グラフ(裏通り優先)

 ルート検索の内容については、「大通り優先」などでは無難なルートを示すが、「裏通り優先」では道路に信号や横断歩道のない個所を横断するルートを示す場合があった。これではルート通り進むことができない。

 また、東京都台東区から千葉県の木更津や鴨川、館山などへのルート検索をすると、なぜか「ルート検索を行うことができません」と表示されてしまう。このアプリは目的地が200km以上離れているとルート検索を行うことができず、その旨のメッセージが表示されるのだが、それとは違うエラーのようだ。

【追記 2011/8/22】
 ナビタイムジャパンによると、この事例のように“湾”を回り込むようなルートで検索に失敗する場合があり、改善に向けて早急に対応していくとしている。

信号のない個所を横断するよう指示された場所 なぜか検索エラーになってしまう場合があった

 なお、「坂道が少ない」「坂道が多い」といった検索方法を選ぶと大幅に迂回したルートを示す場合があるので、検索結果に表示される走行時間や走行距離などをしっかり確認した上でルートを選んだ方がいい。ちなみに走行時間の算出は時速13kmで設定されており、この値を変えることはできない。

カーナビのように音声でナビゲーション

 ルート検索結果から好きなルートを選んで「案内開始」をタッチするとルート案内が開始される。ナビゲーションはカーナビのように進行方向を矢印で表示して、「120m先右方向」といった案内表示が上部に表示される。走行中はカーナビと同じく音声による案内も行われる。

 今回はiPhone用の自転車クレードル「iCrew」に付けて実際に走行してみた。外では音声案内の声が聴き取りづらいかと思い、iPhoneの音声を最大にしておいたのだが、それでも交通量の激しい道路だとやや聴き取りづらかった。

 ルート案内が行われていないときはGPSで測位した地点をそのまま示すが、ルート案内が始まるとマップマッチング(地図上の道路の位置に合わせて自車位置を修正する機能)が行われて、自転車のアイコンは道路中央に修正表示される。ルートから大きく外れるとマップマッチングが解除される。なお、ルートから外れた場合はしばらく経つと自動的にリルートが行われる。

ナビゲーション中の画面 ゴール付近 ナビゲーション時以外はマップマッチングが解除される

 走行中にスピードメーター表示が出るのも便利だ。自分の移動速度がリアルタイムでアナログメーター風に表示されるので、自転車の速さを直感的に把握できる。ただし経過時間などは表示されないので、サイクルコンピューターとして使うには物足りない。

 地図の左上に表示されるコンパスをタッチすると、ノースアップとヘディングアップを切り替えられる。カーナビのように昼夜で画面が切り替わる機能はない。

 なお、このアプリは走行中はタッチ操作を一切受け付けない仕様になっている。iPhoneは画面が大きいので地図の拡大・縮小などを思わずやってしまいたくなるが、iPhoneが移動している間はロックされてしまうので走行中に操作することができず安全だ。

ドーナツサーチやおすすめスポット紹介なども搭載

 このほかカーナビアプリにはないユニークな機能として「ドーナツサーチ」という機能が搭載されている。これは「5km〜10kmまで」と距離の範囲を指定すると、そのエリア内に存在するスポットを検索できる機能だ。もちろんキーワードを指定して検索することも可能である。

 ドーナツサーチは最低どれくらい走るかを決めて目的地を探したいときに便利だ。キーワードを入力欄に入れて、地図上でドーナツの円を狭めたり広げたりすると該当する施設のピンが自動的に降ってくるので、軽快な操作で施設を検索できる。また、一般的なナビアプリのように周辺検索機能も搭載されている。

 これとは別に「おすすめスポット」という機能もあり、地図画面の下部にあるアイコンをタッチすると現在地から行けるおすすめスポットのリストが表示される。各スポットにはスポット検索数をもとに独自に算出したおすすめ指数が5点満点で掲載されており、サイクリングのプランを練るときの参考になる。

ドーナツサーチ 周辺検索 おすすめスポット

 また、このアプリには「ポケットモード」という機能もあり、これを使うと近接センサーを利用してポケットの中に端末を入れているときはディスプレイが自動的にオフになる。音声案内は継続されるので、ポケットに入れたままナビを利用可能となり、電力も節約できる。

 確かにこれはこれで便利だが、サイクルマウントに取り付けた状態ではこの機能は使えないので、近接センサーによる自動オフ機能とは別に、ワンタッチでディスプレイを一時的にオフにできる機能を搭載してほしかった。iPhoneはGPSを使うと電池の消耗が激しくなるので、この点についてはアップデートでの対応を求めたい。

 実際に使用した感想としては、前述したようなルート検索でのエラーもあり、完成度は今ひとつといったところ。特に惜しいのはサイクリングロードを重視したルート検索ができないことだ。これは6月に発売されたソニーのPND「nav-u NV-U37」に搭載されていた機能で、遠回りにはなるが河川敷のサイクリングロードを通って目的地に行きたい場合などに便利だ。スポーツサイクルを楽しんでいる人はサイクリングロードを通るプランを好むので、ぜひ搭載してもらいたい(※ナビタイムジャパンによれば、時期は未定だが、今後アップデートによりサイクリングロードの情報も反映させる予定)。

 このような不満もあるが、サイクリング専用のナビアプリというのはほかにはあまり見当たらないし、価格も買い切りで350円ということで、それほど高くはない。新たなジャンルを開拓したという意味で応援したいし、これからの進化に期待したいアプリである。


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2011/8/18 06:00


片岡 義明
 地図に関することならインターネットの地図サイトから紙メディア、カーナビ、ハンディGPS、地球儀まで、どんなジャンルにも首を突っ込む無類の地図好きライター。地図とコンパスとGPSを片手に街や山を徘徊する日々を送る一方で、地図関連の最新情報の収集にも余念がない。書籍「パソ鉄の旅−デジタル地図に残す自分だけの鉄道記−」がインプレスジャパンから発売中。