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速報レビュー:「新しいiPad」地図好きから見たその魅力とは?


 iPadの第3世代モデルとして3月16日に発売された「新しいiPad」(以下、第3世代iPad)。その最大の目玉はなんと言っても2048×1536ピクセルという高解像度のディスプレイだ。地図好きにとって気になるのは「この新しいRetinaディスプレイによって、地図の見やすさがどれくらい変わるのか?」という点だろう。そこで今回、初代iPadと画面やキャプチャー画像を比較してみた。

新しいiPad

地図表示にも恩恵をもたらすRetinaディスプレイ

 第3世代iPadのディスプレイサイズは従来通り9.7インチだが、解像度は初代iPadやiPad 2の1024×768ピクセル(132ppi)に比べて、2048×1536ピクセル(264ppi)と、縦横ともに従来の2倍となる高解像度化を実現した。その美しさは実物を見ると一目瞭然だ。精細で、ざらつきをほとんど感じさせない滑らかな画面を見ると、従来のiPadとは別物だと感じる。

 このRetinaディスプレイの高解像度が発揮されるのはなんといっても写真や動画の再生だが、地図表示においても同様に恩恵を受けられる。Google マップなどの地図アプリの場合、拡大・縮小に応じて地図上のフォントも柔軟にサイズが切り替わるので、従来のディスプレイでもさほど不便を感じることはないが、それでも細かな文字の表示が高精細になると印象がかなり違う。

 実際にGoogle マップのキャプチャー画像を見てみよう。最初は新宿駅周辺の地図で、それぞれほぼ同じ縮尺にした状態でキャプチャーした。解像度が高くなったせいで、第3世代iPadのキャプチャー画像の方がサイズが大きいが、実際には初代iPad/iPad 2と同サイズのディスプレイで閲覧するため、遠目からはあまり差はないと感じるかもしれない。ただ、細部の文字を見るとやはり違いはある。従来モデルは「中央本線」の「線」など画数の多い漢字は細部がつぶれてしまって読みにくいが、第3世代iPadは実に読みやすい。

Google マップ-新宿駅(初代iPad)Google マップ-新宿駅(第3世代iPad)

Google マップ-新宿駅・拡大図(初代iPad)Google マップ-新宿駅・拡大図(第3世代iPad)

 今度はもう少し小さい縮尺の東京都心の地図を見てみよう。こちらも細部での文字の読みやすさに差が見られた。

Google マップ-東京都心(初代iPad)Google マップ-東京都心(第3世代iPad)

Google マップ-東京都心・拡大図(初代iPad)Google マップ-東京都心・拡大図(第3世代iPad)

 なお、Google マップについては最も拡大した状態の見え方が初代iPadと新しいiPadでは異なる部分があった。例えば、東京駅周辺の交差点の地図を見ると、初代では「京葉線」や「山手線」などの路線名や国道の号数表示が複数表示される不具合が見られるが、新型では正常に表示される。

Google マップ-東京駅周辺の交差点(初代iPad)Google マップ-東京駅周辺の交差点(第3世代iPad)

 次に「OpenStreetMap」の地図を見られる「OpenMaps」というアプリで比べてみよう。こちらでもGoogle マップと同じように、細部での文字の読みやすさに違いが見られた。ちなみにOpenMapsは、第3世代iPadのリリース直後にすばやくRetina対応のアップデートが行われたが、残念ながら地図データそのものはまだ高解像度のものが提供されていない。今後の対応に期待しよう。

OpenMaps-サンフランシスコ(初代iPad)OpenMaps-サンフランシスコ(第3世代iPad)

OpenMaps-サンフランシスコ・拡大図(初代iPad)OpenMaps-サンフランシスコ・拡大図(第3世代iPad)

 もう1つ、地図好きの人にお勧めの「Barefoot World Atlas」というアプリで比較してみたい。このアプリはRetinaディスプレイに最適化したアプリとして、第3世代iPadの発売に合わせてリリースされたアプリだ。3Dの地球画像の上にさまざまな国々の名所や名物などが表示される。中には3Dアニメーション表示されるものもあり、Retinaディスプレイなら細かいアニメーションの動きなどもよくわかる。

Barefoot World Atlas-ヨーロッパ(初代iPad)Barefoot World Atlas-ヨーロッパ(第3世代iPad)

Barefoot World Atlas-ヨーロッパ・拡大図(初代iPad)Barefoot World Atlas-ヨーロッパ・拡大図(第3世代iPad)

Barefoot World Atlas-全体図(初代iPad)Barefoot World Atlas-全体図(第3世代iPad)

 Google マップやOpenMapsの地図を見ると、細かい部分での文字の読みやすさの違いがはっきりと確認できた。施設名に画数の多い漢字が使われていても文字が潰れないので読みやすく、いちいちズームして確認したりする必要がなくストレスが少ない。

 この便利さは地図を見る頻度の高い人ほどじわじわと実感できるだろう。地図のスクロールについても、ディスプレイが高解像度化したことによる動作の遅さは感じなかった。現状ではRetina対応のアプリはまだ少ないが、今後、Barefoot World AtlasのようなRetinaを生かしたアプリの充実を期待したい。

GPSは「GLONASS」非対応

 最後に、第3世代iPadのGPS性能についても触れておきたい。参考までに第3世代iPad(Wi-Fi+4Gモデル)で測定したGPSログを紹介しよう。比較に使ったのは初代iPadと、GARMINのハンディGPS「eTrex20J」。自転車の大きめの前かごに両iPadを設置して、eTrexはハンドルバーにマウントして計測した。記録に使用したアプリは「GPS-Trk」で、計測間隔は5秒とした。eTrex20Jの記録にあたっては「GLONASS」(ロシアの衛星測位システム)をオンにした。ログの赤線が第3世代iPad、黄色が初代iPad、水色がeTrex20Jである。

自転車での走行軌跡

 ログを見ると、初代iPadに比べるとけっこう良好な結果が出たが、eTrex20Jには及ばなかった。

【お詫びと訂正 2012/9/18 20:30】
 記事初出時、第3世代iPadの測位システムについて「iPhone 4Sの時にはカタログに記載されていたGLONASSの記述がなく、残念ながらAssisted GPS(A-GPS)だけだ」と記述しておりましたが、これは誤りでした。現在、第3世代iPadのスペックページには「Assisted GPSおよびGLONASS」と記載されています。お詫びして訂正いたします。


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2012/3/19 15:00


片岡 義明
 地図に関することならインターネットの地図サイトから紙メディア、カーナビ、ハンディGPS、地球儀まで、どんなジャンルにも首を突っ込む無類の地図好きライター。地図とコンパスとGPSを片手に街や山を徘徊する日々を送る一方で、地図関連の最新情報の収集にも余念がない。書籍「パソ鉄の旅-デジタル地図に残す自分だけの鉄道記-」がインプレスジャパンから発売中。