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総務省、統計GISに新機能「jSTAT MAP」追加、Androidアプリ「マップDe統計」も公開

 総務省は、政府統計の総合窓口「e-Stat」において、統計GIS機能の新機能「jSTAT MAP」を追加した。小地域ごとに地図と統計データを重ねて表示し、ユーザーが保有するデータを取り込んで分析できる。指定したエリア内の統計データをレポート出力することも可能だ。

「jSTAT MAP」トップページ

 jSTAT MAPを利用するにはユーザーIDの取得が必要となる。ウェブサイトのフォームで必要事項を記入して送信し、送られてきたメールに従って手続きをすると登録が完了する。ユーザーIDを使ってログインすることにより、異なるPCからアクセスした時でも以前のデータを引き継いで使える。

 利用申し込み前にお試しでGISを利用することも可能。お試し版では、ログアウトすると作成したデータが削除されるほか、ジオコーディングのインポート/エクスポートやリッチレポートの作成など、一部機能が使用不可となる。

 jSTAT MAPはGIS機能として、地図上に位置情報を持ったポイントデータを登録できる「プロット機能」や、面データを登録できる「エリア機能」、ユーザーデータや統計データを使ってグラフを作成する「グラフ機能」、統計データとグラフを使ったレポートを作成できる「レポート機能」などを搭載している。各機能はそれぞれウィザード形式でデータ登録や読み込みを行える。

 GIS機能は小地域で使うことを前提としており、例えば小縮尺の状態でグラフを作成しようとした場合は「グラフ作成範囲が広すぎます。グラフが作成できる縮尺に拡大してもよろしいですか?」とメッセージが表示され、作成可能な縮尺まで拡大する必要がある。また、エリア作成機能で車での到達圏を設定する場合も、広さは最大で、80km/hで30分圏内までとなる。

プロットウィザード
作成したプロット
エリアウィザード
作成したエリア
グラフウィザード
エリアごとに色分けが行える

 背景地図にはGoogle マップや地理院地図、色別標高図などを利用可能で、行政界を表示されることもできる。インポート機能については緯度経度付きリストやShapeファイル、GMLファイル、グラフ保存したファイルなどを地図に取り込める。

 収録している統計調査結果は、国勢調査(平成22年、17年、12年)の小地域集計や1kmメッシュ、500mメッシュ、250mメッシュ、経済センサス(平成21年)や事業所・企業統計調査(平成18年、平成13年)の小地域集計、1kmメッシュ、500mメッシュなど6調査のデータとなる。

 レポート作成はグラフと集計値を表示する「シンプルレポート」と、周辺の人口や作業に関する定型レポートを表示する「リッチレポート」を選択できる(お試し版では利用不可)。

リッチレポートの出力結果

 このほか、総務省はjSTAT MAPの新追加にあわせて、同機能をタブレットで利用するためのAndroidアプリ「マップDe統計」も提供開始した。「マップDe統計」はAndroidタブレット上でPC用jSTAT MAPの機能をほぼそのまま利用することが可能。jSTAT MAPと同じIDを使って利用できる。リッチレポートを作成する場合、jSTAT MAPはExcel形式で作成されるのに対して、マップDe統計ではHTMLで作成されるといった細かい違いはあるが、jSTAT MAPで登録したプロットやエリア、グラフなどをタブレット上で引き継いで見られるのは便利だ。

マップDe統計
グラフ作成
リッチレポート

 デスクトップ版のjSTAT MAPと、Android版のマップDe統計はいずれも無料で利用可能。GISに不慣れな人にも分かりやすい操作性を実現しており、ビジネスの資料作成や研究などさまざまな用途に使用できるだろう。

片岡 義明

IT・家電・街歩きなどの分野で活動中のライター。特に地図や位置情報に関す ることを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから法 人向け地図ソリューション、紙地図、測位システム、ナビゲーションデバイス、 オープンデータなど幅広い地図関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「位置情報ビッグデータ」(共著)が発売中。