清水理史の「イニシャルB」

お父さんの威厳にも厳重注意! 子供のアプリ購入を承認できるiOS 8のファミリー共有

 iPhone 6/6 PlusなどのiOS 8端末に新たに搭載された「ファミリー共有」。家族でアプリや音楽、写真、スケジュール、位置情報などを共有できる新しいしくみだ。制限と共有をうまく融合させたこの機能だが、うかつに設定すると、保護者が痛い目を見ることもある。その実態を探ってみた。

13歳以下でもApple IDを取得可能に

 頭ごなしに禁止するのではなく、「承認」を求める形で子供の自主性を尊重したり、家族が購入したアプリも追加課金なしで使えるようにする特典を用意するあたりは、素直に「うまいなぁ」と感心させられる。

 iOS 8に新たに搭載された「ファミリー共有」は、家族間での各種情報共有を目的とした機能だが、子供がアプリをダウンロードする際に保護者へ「承認」を求めるしくみをうまく取り入れており、一種のペアレンタルコントロール的な側面も備えた機能だ。

ファミリー共有を使うと、子供のアプリ購入を保護者が承認できるようになる

 子供にiPhoneを持たせている親の中には、現状、アプリの購入をどう制限するかに頭を悩ませている人も少なくない。これまでは、完全に禁止したり、ほしいアプリがあるときに親がApple IDのパスワードを入力してダウンロードしたり、子供の自主性に任せて特に制限しなかったりと、さまざまな方法が採られてきた。

 筆者宅で採用していたのは、前述の真ん中の方法だ。子供のiPhoneで子供用のApple IDを取得し、そこにクレジットカード情報も登録してあるものの、パスワードは保護者である筆者が管理。ほしいアプリがあると子供に言われたときに、内容をチェックして、その場でパスワードを入力してダウンロードする、という方法で管理してきた。

 iPhoneを与えた当時、13歳以下だった娘のApple IDは、名前こそ娘のものであるものの、生年月日は筆者のもので、登録されているクレジットカードももちろん筆者のものであった。厳密に言えば、13歳以下は取得できなかった当時の規定に反しているうえ、正しくない情報でアカウントを取得していることになり、問題のある使い方をしていたことになる。

 しかし、これからは、そんな使い方で後ろめたい思いをする必要はない。今回のファミリー共有の導入を機に、Appleは正式に13歳以下でもApple IDを取得できるように変更したうえ、子供のApple IDに対して、保護者のApple IDをひもづけし、保護者のクレジットカード情報を子供のApple IDからも利用可能にした。

 もちろん、そのままでは、子供がクレジットカード情報を使って買い物し放題になってしまうので、冒頭でも触れたように、アプリの購入に承認制を導入。子供が、無料・有料問わず、アプリをダウンロードする際は、保護者に承認要請を送信、保護者が自分のiPhoneでこれを許可すればダウンロードできるしくみにした。

 これまでのわけのわからない管理が、すっきりと整理された印象だ。

アメとムチをうまく融合

 この方法がうまくできている点は、親の傘下に入るという子供の行為に、デメリットだけでなく、メリットも用意されている点だ。

 冒頭でも触れたとおり、「ファミリー共有」は、基本的に家族(6人まで)でコンテンツを共有するための機能だ。具体的には、以下のような情報共有が可能になっている。

アプリ、音楽、動画、書籍の家族間共有

 App Storeのアプリ、iTunes Storeでの音楽や動画、iBooksでの電子書籍など、家族が購入したコンテンツを追加料金なしでダウンロードできる。

表示されている名前のユーザーが過去にダウンロードしたアプリや音楽、動画、書籍を家族もダウンロードできる

「Family」アルバムでの写真の家族間共有

 「写真」アプリに作成された「Family」アルバムに写真を投稿することで家族みんなが写真を参照できる。

「Family」アルバムに写真を投稿すると家族で共有できる

「Family」カレンダーでの予定の家族間共有

 イベントの追加時に「Family」カレンダーを指定すると、家族みんながその予定を参照できる。

家族のカレンダーに追加したイベントは全員が見られる

「友達を探す」などでの位置情報の共有

 「友達を探す」、「iPhoneを探す」などのアプリに、家族の現在地が自動的に表示されるようになる。

位置情報を共有すると、地図上で家族の居場所を確認できる

 注目は、最初のアプリの共有だ。後述する方法でファミリー共有を有効にすると、子供がApp Storeの「アップデート」から「購入済み」をタップしたときに、「家族が購入したApp」という項目が表示され、それぞれの家族がダウンロードしたアプリを一覧表示できるようになる。

 この項目に登録されているアプリは、家族として登録されているユーザーであれば、有料アプリであっても、追加で課金することなく、そのまま同じアプリをダウンロードすることができるようになっている。このため、子供は、これまでお父さんやお母さんのiPhoneにしかインストールされていなかったようなゲームも、自分の端末で楽しめるようになるわけだ。

家族が共有したAppで、家族の名前をタップすると、そのユーザーがダウンロード済みのアプリを追加課金なしで家族もダウンロードできる

 子供にしてみれば、自分の端末に有料アプリが増えることは、ちょっとしたご褒美なので、AppStoreからの新規ダウンロードで「承認」が必要になる「ムチ」の代償としては、悪くない「アメ」というわけだ。

 ただし、いくつか注意点がある。もしも、家族に見られたくないアプリ、音楽、映画、書籍を、あくまでも「ついうっかり」ダウンロードしてしまった経験があるお父さんは、ファミリー共有の設定で「購入アイテムを共有」を「オフ」にしておくか、iTunesなどを使って、事前に該当アプリを必ず非表示にしておくことを強くお勧めする。

 1つ2つなら「お父さんたら……」と、見て見ぬふりをしてくれそうだが、ズラリと並ぶと、家族でもドン引き間違いなし。家庭内での立場が非常に危うくなる。過去のアプリもすべてリストアップされるので、タカが獲物を狙うかのような目で、アプリの一覧を注意深く眺めて非表示にしてほしい。

 また、共有されたアプリに関しては、子供の端末にインストールする際に、保護者の承認が必要ない仕様となっている。このため、もしも、ダウンロードさせたくないアプリがあるのであれば、これも事前にiTunesなどから非表示にしておく必要がある。

 もちろん、この機能のそもそもの方向性が「共有」なのだから、文句はないのだが、「子供に使わせられないようなアプリを保護者がインストールしているはずがない」という、あまりにもまっとうすぎる思考には、ちょっとクラクラとさせられる。

ファミリー共有を設定する

 少々、お父さんとしての思いがあふれ出てしまったが、そろそろ実際にファミリー共有を設定する方法を見ていくことにしよう。

 ファミリー共有の設定自体はとても簡単で、以下のように設定すればいい。

1.ファミリー共有をオンにする
 保護者の端末で、「設定」の「iCloud」をタップし、「ファミリー共有を設定」をタップする。

2.管理者アカウントを設定
 家族を追加したり各種設定を変更する管理者アカウントを設定。通常は、現在、設定されている自分のアカウントが表示される。

3.各種設定
 ウィザード形式で各種設定を進める。購入アイテムを共有するかどうか、支払い方法として登録されたカードを使って家族がコンテンツを購入することに同意するかどうか、位置情報を共有するかどうかを設定する。

4.家族を追加
 ファミリー共有の設定が完了したら、続けて家族のApple IDを登録する。「家族を追加」をタップして、メールアドレスを指定(本人確認のためにクレジットカードのCVS入力が必要な場合もある)。追加アカウントのパスワードがわかる場合は直接追加、知らない場合はメールで登録案内を送信する。

5.家族が参加を承認
 メールで送信した場合は、家族のiPhoneあてにメールが届くので、内容を確認後、「登録」するをタップして参加する。

 基本的には、これでファミリー共有が有効になるのだが、筆者の場合、1つ落とし穴があった。

 冒頭でも触れたとおり、筆者宅では子供のApple IDを作成するときに筆者の生年月日を登録していたため、追加したアカウントが「成人」として登録されていまったのだ。

 ファミリー共有では、アカウントの生年月日から判断して、成人である場合、コンテンツの購入時に承認を求めるようにする設定はできず、代わりに保護者として家族からの「承認」要求を処理するための設定が表示されてしまう。

登録した家族の生年月日によっては「成人」と判断される

 このため、筆者と同様に、子供のApple IDの生年月日が成年になっている場合は、生年月日の修正が必要となる。筆者の記憶では、これまでApple IDの生年月日は修正できなったはずだが、今回のファミリー共有の導入をきっかけに、これが可能となっている。

 iOS 8以上を搭載したiPhoneであれば、「設定」-「iCloud」をタップして、自分のアカウントを選択し、「パスワードとセキュリティ」をタップすることで、生年月日を修正できる。ここで、本来の値を入力すれば、子供のアカウントとして正しく機能するようになる。

 この状態で、保護者側の端末から、登録された子供のアカウントをタップし、「承認と購入のリクエスト」をオンにしておば、アプリの購入時に承認が必須となる。

子供の端末上で「パスワードとセキュリティ」をタップすれば、生年月日を修正できる
未成年の年齢に設定すれば、「承認と購入のリクエスト」がオン/オフ可能になる

 ちなみに、筆者の例のように、登録時に成年の生年月日を指定して取得したApple IDは、同様の手法で、いつでもiPhone上で生年月日を修正できる。このため、子供が勝手に自分の年齢を上げることもできるが、その場合でも、事前に「承認と購入のリクエスト」をオンにしておけば、承認は必須のままとなる。

 また、ファミリー共有の「家族」画面で、画面下に表示されている「お子様用のApple IDを作成します」をタップして作成したApple IDでは、子供が自分で生年月日を変更できないように制限される。

 正しい手順としては、保護者がファミリー共有を有効にし、それと同時に保護者の端末上で子供のApple IDを作成するという順番になるだろう。

画面下のリンクを使って、子供用のアカウントをはじめから作成するのが正しい手順

ワークフロー的で少しさみしい

 以上、iOS 8に搭載された「ファミリー共有」の機能を見てみた。基本的には家族でコンテンツを共有するしくみだが、子供のアプリ購入を「承認」という形で、うまく制限できる機能と言えそうだ。

 今回はあまり触れなかったが、位置情報の共有も、人によってはいろいろな家族問題をあぶりだす可能性もあるため、保護者として、細心、かつ厳密、かつ幾重もの注意が必要だが、「制限」する機能ではなく、「共有」機能であることを忘れなければ、それなりに便利に使える機能となる。

 個人的には、娘から「このアプリダウンロードしてよ。お願い!」なんて言われる今の生活が、承認メールで置き換わるのは、なんともワークフロー的でさみしい気もするが、「それも時代なのかなぁ」と考えている。

 最後に、とても大きな問題として、この機能はiPhone同士でないと意味がないことだ。コンテンツの共有はできないまでも、承認の可否くらいは、Android端末でもできるようにしてくれれば、実際に使おうと考える家族も増えるのではないだろうか。その点は、とても残念だ。

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ