イベントレポート

第2回ウェアラブルEXPO

スマートグラスが咲き乱れ、衣服のIoT化を加速させる導電技術も

 東京ビッグサイト(東京都江東区)で1月13~15日に開催中の「第2回ウェアラブルEXPO」では、ウェアラブルソリューション、IoT、AR/VR、デバイスなどに関する210社が集結。本記事では、各社の出展ブースの様子を紹介する。

東芝が13日に発表したメガネ型ウェアラブルディスプレイ「Wearvue TG-1」

 会場では、メガネ型やヘッドマウントタイプなど、ウェアラブルディスプレイに関する展示が多く見られた。株式会社メガネスーパーの「b.g.」(1月13日付記事『メガネスーパーのメガネ型ウェアラブル端末「b.g.」、プロトタイプ展示中』参照)のほか、株式会社東芝が13日に発表した視界を遮らないメガネ型デバイス「Wearvue」、ブラザー工業株式会社のヘッドマウントディスプレイ「AiRScouter(エアスカウター)」のタフネスモデル、シャープ株式会社のLCOSパネルを採用したヘッドマウントディスプレイ、ウエストユニティス株式会社の医療用ヘッドマウントディスプレイなどだ。

株式会社メガネスーパーの両眼タイプのウェアラブルディスプレイ「b.g.」
シャープ株式会社の「LCOSパネル」を使用したヘッドマウントディスプレイの試作機
ブラザー工業株式会社の業務用ヘッドマウントディスプレイ「AiRScouter」のタフネスモデル(試作機)
タフネスモデルのベースとなった「AiRScouter」。ディスプレイ部と映像ユニットに分かれている。機能を表示のみに絞っているので軽量に仕上げられたという
ウエストユニティス株式会社が試作モデルとして出品した医療用ヘッドマウントディスプレイ。電源と映像信号をHDMIケーブル1本で取得可能なのが特徴で、ノートPCなどのHDMIポートに接続して使用可能。スマートフォンでも使用できるが、動作に必要な電力が足りないため、デモではモバイルバッテリーで電源を補助していた
こちらはウエストユニティス製のヘッドマウントディスプレイ。取り扱いは菱電商事が行っている。内部にAndroidデバイスとバッテリーを内蔵しており、単体での使用が可能。操作は、サイドのタッチセンサーか、筺体下部のボタンで行う
株式会社村田製作所が福井県鯖江市と共同で試作したスマートグラスのコンセプトモデル「Cool Design Smart Glass」。マイクロポジションセンサーを搭載し、ARディスプレイやスマートフォンなどの接続機器を操作可能。ディスプレイ面は、単色で簡易的な情報を表示できる

 また、導電性の繊維素材や、さまざまな素材に導電性を付与する硬化素材など、衣服や身の回りのものに機能性を持たせるための展示も多く見られた。グンゼ株式会社の導電性繊維を活用した生体情報を取得できるインナー(1月15日付記事『グンゼ、導電性素材でウェアラブル肌着や発熱ニット、牛用の「ウシブル」も』参照)や、ヤマハ株式会社の衣服に編み込める「ストレッチャブルファイバーセンサー」、セメダイン株式会社の導電性接着剤「SX-ECAシリーズ」、東洋紡株式会社のフィルム状導電素材「COCOMI(心美)」、旭化成せんい株式会社の収縮電線「ROBODEN」など、さまざまな高機能素材が展示されている。

グンゼ株式会社と日本電気株式会社が共同で試作した生体情報を計測できる衣料型ウェアラブルシステム
旭化成繊維株式会社の伸縮電線「ROBODEN」
巻き込んだり伸ばしたりしても、PCに接続したネットワークカメラの映像が映し出されている
ロボットなど無線化が困難な電力供給線や制御信号線として接続するためのもの
セメダイン株式会社の導電性接着剤「SX-ECAシリーズ」
衣服の上に定着させることで、柔らかい素材でも導電性を付与できる
折り曲げ耐性も強く、「U字折り返し」「はぜ折り」などでも抵抗値は変化しない。写真ではフィルム上に定着させたものに折り目を付けているが、それでも導電するという
布やフィルムなどに導電性を付与する硬化素材は、これまで高温での定着が一般的だったが、「SX-ECAシリーズ」では、熱に弱い物への定着も可能になる
ヤマハ株式会社の繊維状センサー。グローブに貼り付けることで、指の関節の動きを抵抗値で把握することができる
皮膚に直接貼るタイプのものもある。黒い部分がセンサー
VRシステムと組み合わせることで、VR空間上で「握る」「つかむ」といった動作を再現できる
ピアノ奏者がどのような指使いをしているか計測することも可能
参考展示していた「ストレッチャブルファイバーセンサー」。サイズは0.1mm程度と細く、布などに編み込むことができる
布に編みこみ、伸び縮みさせることで抵抗値が変化する
東洋紡株式会社のフィルム上電動素材「COCOMI(心美)」。厚さ0.3mmと薄く柔らかいため、伸縮性に優れ、体の動きに追従できる。電極と配線を一体化させることで、接続部や段差が生じないという

 そのほかには、オムロン株式会社の高低差プラスマイナス5cmを正確に検知する超小型気圧センサー「絶対圧センサー」や、シャープのフォーカスフリーな「レーザーMEMSプロジェクター」、スター精機株式会社の電池レスビーコン、東芝のウェアラブル生体センサーやリストバンド型活動量計、Anicallの犬や猫の首輪に着けるバンド型ウェアラブル端末「しらせるアム」などが展示されている。

オムロン株式会社が12日に発表した、プラスマイナス5cmの高低差における気圧の変化を正確に検知する「絶対圧センサー」。大きさは、2.0×2.5×0.85mm(縦×横×厚さ)
気圧センサーから腕の動きを計測するデモとして、映像に映し出された太極拳と同じ動きができるか点数化するゲームを展示していた
気圧を利用し、建物内の何階にいるかを測定する屋内測位のデモ
血圧計と絶対圧センサーを組み合わせ、正しい腕の位置で血圧を計測するようアシストするデモ
シャープのブースでは、同社の持つウェアコン、光触媒、運動量センサー、蓄冷剤、レーザーMEMSプロジェクターといったテクノロジーを、セキュリティ面で応用した用途例を展示
株式会社アドバンストメディアでは音声認識・音声対話用ウェアラブルデバイスを展示。2015年の初頭に開発発表されたものだが、現在では製品化され、複数の企業で導入されているという
スター精機株式会社の電池レスビーコン。カートを押すとタイヤ内に埋め込まれた発電機を利用してビーコンの信号を送信する。蛍光灯に埋め込まれたビーコン受信機から、カートの現在地を測定可能
東芝のブースでは、ハンディタイプの生体センサーは、リストバンド型活動量計などを展示していた

(山川 晶之)