インタビュー
「個人のLINEで仕事」は危険アリ、ビジネス向けのチャットとボットは「現場仕事」をどう効率化するのか?
「電車で日報」「チャットしてたらFAQがデータ化」「チャットで打刻」……
2017年6月1日 06:02
新時代の業務効率改善ツールとして、今まさに注目を集めている「ビジネスチャット」。とはいえ、ITに詳しい人ほど「Skypeがあるし、ウチはいいや」「興味あるけど、結局コストがかかるし……」そんな後ろ向きな印象をお持ちかもしれない。
だが、どうやらそれだけでは話は終わらないようだ。世間では、人手不足や残業抑制を背景とした「働き方改革」の議論が急速に進展。「果たして今の働き方のままでいいのか?」会社の規模にかかわらず、すべての社会人が考えなければならない時代となりつつある。
株式会社L is B(エルイズビー)が手がけるビジネスチャット「direct」は、電話やメールが主体だったビジネスコミュニケーションを補完しつつ、さらに独自の「ボット」を組み合わせることで、総合的な意味での業務改善を目指すツールという。どんな経緯で開発され、どこに強みがあるのか? L is Bの代表取締役社長である横井 太輔氏、執行役員営業部長の渡辺 龍二氏にお話を伺った。
【目次】
▼「個人のLINEアカウントで仕事」はなぜ危険なのか?
▼「direct」の真髄は「現場と社内をつなぐ」こと
▼「Skypeがあるのに」directを導入した会社がある理由
▼業務改善のカギはボットにあり?
「電車で日報」「チャットしてたらFAQがデータ化」「チャットで打刻」……
▼独特なゲストモード
「住宅メーカーが見ているところでだけ、職人と施主がチャットできる」
▼ビジネスチャットはメールの置き換えではない?!
▼チャットがUI、チャットボットが「ミドルウェア」となり、既存システムと連携していく
▼ビジネスチャットとチャットボットで「働き方改革」のお手伝いをしたい
「個人のLINEアカウントで仕事」はなぜ危険なのか?ビジネスチャットが普通のチャットと違う「キホン」
――本日はよろしくお願いします。まず最初に、L is Bがどんな会社か、教えていただけますか?
横井氏:
弊社は2010年9月に創業しました。皆さんご記憶かと思いますが、その年の1月には初代iPadが発表されまして、「これは世の中大きく変わるぞ」と。そのときはまだ私も渡辺もジャストシステムに勤務して、PCソフトの製品企画やマーケティングに従事していました。
ソフトウェアは、ハードウェアの進化にあわせて発展していきます。過去にもWorkPad、ソニーのクリエなど、モバイル端末はありましたが、果たして業務にどこまで組み込めていたか。少なくとも「PCを置き換える存在」ではありませんでした。それがiPad、つまりタブレットの登場で変わるのではないか。そんな考えからジャストシステムを卒業し、L is Bを創業しました。
――創業当初はどんなビジネスを? directがテスト版サービスを開始したのは2013年とのことですが。
横井氏:
一番最初の製品は「Feel on!」というTwitterクライアントですね。2011年4月リリースしたもので、ツイートを感情解析し、タイムラインをコミック風のイラストで表示する、というものです。
このサービスは、おかげさまでヒットしました。世界で50万ダウンロードを超え、App Storeのアプリランキングでも一位を獲得しましたし、2012年にリリースした英語版はインドネシア等の東南アジアやスペイン、フランス等でも大きく支持されました。ただ、その年の夏にTwitterがサードパーティ製クライアントアプリを排除する方向となり、サービス継続が困難になってしまいました。
それまでのエコシステムが一気に崩れ、各社撤退をし、弊社も撤退せざるを得ませんでした。我々も途方に暮れるのですが、立ち止まってるくらいなら、前と上を向いて汗を流そうと、それまでやったことが無かった受託開発の道を進みました。
よくITベンチャーの中では「受託」をバカにする風潮があるのですが、受託も出来ないベンチャーに自社サービスを成功させることが出来るのか?と真剣に取り組みました。受託開発にも我々なりのこだわりを持って臨みました。それは、「攻める受託」です。
「攻める受託」とは、お客様の言うとおりに作るだけではなく、お客様のしたいことの本質を探って提案していくことです。我々は開発も出来ますが、UI/UXデザインや、キャラデザイン等、絵も描けます。コードもイラストも両方書けるので、とても重宝していただき、今でも同じお客様から継続してお付き合いさせて頂いております。
――directはどんな経緯で誕生したのでしょうか? また、一般コンシューマーが使えるチャット(LINEやSkypeなど)とdirectはどこが違うのか、ズバリお聞かせください。
横井氏:
directは、受託でお世話になっているお客様からのご要望がヒントとなっています。
2013年当時、企業においてもスマートデバイスの導入が進んできました。ところが、現場の人達はメールと電話とパズドラ(当時)しかしてない(笑)。せっかく高いお金を使って、スマートデバイスを導入したのに現場の人は使いこなせていないと。
何故かというと、企業のICTはPCを中心に発展してきたからでした。「PC向けに作られたシステムやソフトウェア」をスマートデバイスで使うから、スマートデバイス向けにあるべき設計思想とは全く異なってしまい、使いにくくて仕方なかったのです。
一方、現場からは「スマートフォンで幅広く使われ始めていた“LINE”を仕事で使いたい」というニーズが大きくなっており、お客様の情報システム部門では頭を抱えていました。そして我々に、「LINEのように誰もが使えて、セキュリティがしっかりしたモノを作って欲しい」という相談があり、開発を始めました。
最初は売れるかどうかわからなかったので、2013年11月「トライアルリリース」として、受託開発でお世話になっている会社を中心に無償でご提供し、不足している機能やご要望を沢山いただきました。その間にお客様がビジネスチャットツールに求めている本質を学ぶことが出来、約1年後の2014年10月に満を持して正式リリース致しました。
ですから、directは「お客様の声を元に誕生した唯一のビジネスチャットツール」と胸をはって言えます。
「direct」の真髄は「現場と社内をつなぐ」こと「“地下鉄の待ち時間に営業日報が書ける”といった現場感覚を大事にしたい」
――directを開発する上で、最も心がけているのはどんなところでしょう?
横井氏:
ソフトウェア開発にあたっては、「コンセプトに従って進化させていく」ことが最も重要だと感じています。例えばワープロソフトの一太郎なら「日本語のハンドリング」であり、縦書きやト書きなど、日本語特有の文化に最適化しています。英文だけを書くなら、英文タイプから進化したWordの方が恐らく得意でしょう。
directのコンセプトは「現場と社内をつなぐ」です。さまざまなかかたちで「現場」を持つ企業様のために、機能を進化させていく。そのニーズがないお客様にとっては、directはむしろ不向きで、他の会社のビジネスチャットの方が合っているかもしれません。
「現場と社内をつなぐ」をコンセプトに置いていますから、directは当然モバイルファーストで作り込んでいて、どちからといえばPC向きの機能追加は後回しです。つまり「メールを置き換える」のがdirectの目的ではなく、たとえて言えば「ビジネスの現場でモバイルをフル活用する」といったイメージです。PCを使わなくてもできる仕事はたくさんあります。
例えば営業日報です。わざわざ会社に戻って来て書くくらいだったら、地下鉄を待っている間にdirectのボット機能を使って、チャットする感覚で書けるようにすればいい。これが「働き方改革」ですし、こういった現場感覚を大事にしたいと考えています。中小企業も大企業も関係なく、こういった機能を本当に必要としているかどうか。お客様にはdirect導入前にしっかりとご説明しています。
――正式リリース後もやはり「お客様の声」を重視する姿勢は変わっていませんか?
横井氏:
はい。directは「6週間ルール」という決まりがあります。これは、お客様からいただいたご要望を6週間サイクルで次々に改善を進めていくルールです。(連休や年末年始等は少しずれます)
もちろん、開発難度の高いもの等は、間に合わないこともあります。その場合は、次の6週間、さらにその次の6週間と定期的なアップデート時に逐次反映させています。directはお客様の声で成長しているサービスです。我々のDNAであるジャストシステムのバージョンアップ手法を継承しています。
お客様の声を丸々受けることもあれば、受けないこともあります。directそのものに加えるべきモノ、そのお客様特有の使い方や機能等、取捨選択しながらサービスを成長させています。お客様の環境でしか使わないものは、チャットボットによるカスタマイズを推奨しています。そういう意味ではdirectは、導入しておしまい、ではなく導入いただいてから自社の課題解決に併せて進化していくサービスです。
――ビジネスチャットは製品の種類が多く、市場競争も激しいです。現状をどう分析していますか?
横井氏:
お客様からも「他のビジネスチャットとdirectはどこが違うの?」という質問が多いです。そこでソフトウェアメーカーは、恐らくサービス別の機能比較表を作って、この機能があって、あの機能がない……○×の比較表を作ってるかと思います。
ただ私どもは「競合比較ではなく、お客様を見て、バージョンアップを進めている」のが他社との一番の違いだと考えています。
○×の比較表はどうしてもメーカー側の都合で作られている部分があり、他社はそれをひっくり返すためにバージョンアップしたりする。結果、どのメーカーも同じような製品になってしまう。
directでは新機能を追加する際、「どのお客さんがどんな用途で求めているか」、それが納得できない限り、(○×比較に頓着することなく)実際には追加しない方針で開発しています。お客様はツールを買いたいのではなく、仕事の課題解決をしたいわけですから。
もう1つ、100%国内開発をしている点もアピールしておきたいです。本社は東京で、開発拠点は徳島にあります。私と渡辺はほぼ毎日出張で、とにかくお客様の元に足を運ぶようにしています。この前カレンダーを見たら、1月から3月まで全13週ありますが、15回出張してました(笑)。大企業はもちろん、小さな企業様にもお邪魔しています。売上のため……というより、開発のためにお客様の声をいただくのが目的です。
「Skypeがあるのに」directを導入した会社がある理由
――directを導入しているのは個人企業から大企業までさまざまあると思いますが、一番大きいクラスだとどれくらいになるでしょう?
横井氏:
ドンキホーテ様や竹中工務店様、JR西日本様等、現場力を大切にしているお客様です。
竹中工務店様の例で、詳しくヒアリングさせていただいたのが、大阪の「中之島フェスティバルタワー・ウエスト」(4月17日オープン)建設現場での活用例です。こちらは、最盛期には1300名近くが働く現場だったそうですが、竹中工務店様の社員は100名ほどで、どうやって(会社の垣根なく)コミュニケーションするかが大きな課題になっていました。
全社的にOffice 365を導入する企業が増えていて、その中にはSkypeメッセンジャーが含まれています。それなのに、現場を持つお客様はdirectを導入していただけます。
「なぜか?」というと、やはり、SkypeはActive Directoryの中のコミュニケーションにはいいんですが、その外と繋がるのが非常に大変なんです。セキュリティ上、協力会社の方をむやみやたらにActiveDirectoryの中へ入れるわけにもいきませんし。
directには「ゲストモード」機能がありまして、社外の方とも秘匿性の高いまま安全にやりとりして頂けます。
ちょっと細かいですが、未読/既読機能もdirectならではの改良がありまして。いわゆる普通の未読/既読判別は、「自分が送ったメッセージ」が読まれたかどうか分かるものです。対してdirectは「別のユーザーがグループに対して送ったメッセージ」の未読も分かるようになっています。上司が部下10名に対して一斉にメッセージを送ったとして、送られた部下の1人が、その他の部下9人間でメッセージが行き渡ったか、分かるんです。
渡辺氏:
単なる○×の機能一覧表だと、この差が伝わりません。非常に細かいところですが……。ご利用いただいているお客様からは、この違いが大きいと言っていただいています。
業務改善のカギはボットにあり?APIも他社に先駆けて公開「電車で日報」「チャットしてたらFAQがデータ化」「チャットで打刻」……
――チャットボットに大変力を入れているとお伺いしましたが、いつから取り組んでいますか?
横井氏:
法人向けには2014年12月から実戦投入しています。マイクロソフトやFacebook、LINEがチャットボット関連のAPIを公開したのが2016年の3~4月ですから、弊社は1年5カ月ほど先行しています。もちろん、いっぱい失敗しましたが(苦笑)、その分のノウハウは十分蓄積してきたつもりです。
失敗というのは「作ってはみたものの、現場では使ってくれなかった」というものが多いです。会社の情報システム部門が、現場仕事用のチャットボットを作っても、使われないですとか。やはり部門が異なると課題認識が異なりますし、ちょっとしたズレがあるだけで上手くいかなかったりします。
そういう事例をいくつも経験した中で発見もありまして、「新しいことをやるのではなく、今ある業務を置き換える」「しかも簡単にやれるようにする」がボット開発成功のポイントですね。
比較的小規模な清掃会社さんですと、位置情報送信するためのスタンプ機能を便利に使っていただいた例があります。いろいろな店舗を巡回してゴミを回収するそうなんですが、どの店舗をどんな順番で回ったか確認したい。そこでチャットボットに対してスタンプを送信すると、カンタンに記録できる。
建設会社さんの例もありますね。その会社さんでは、職人さんの出退勤が問題だったそうです。じゃあタイムカード入れればいいかというと、吹きさらしの建設現場に打刻機を置けませんよね。そこで勤怠管理のボットを導入しました。これにメッセージを送ると、次に位置情報を求められて、タイムカードを押したことになる。退社時も同じ仕組みですね。それが最終的に集計され、Excelデータにするところまでやってくれます。
もう少し複雑なものだと、社内FAQもボットで実現できます。新人の営業がお客様からの質問に知識不足で答えられなかった。上司や同僚に聞くのも限界があるからFAQを使おうとしても、そもそも明快な答がデータベースにないとか、内容がすでに古くなっていたりして、なかなか使われません。
ただ、答がなかった場合は「この分野について詳しいのは○○さんです」という具合に、担当者をアサインしておき、directですぐグループトークできるようにしておくんです。そうすれば回答は見つかるはずで、そしてここが肝なのですが――やりとりの履歴はそのままデータベースに登録する。そうすれば、今まで口頭レベルでしかできなかった知識の蓄積が、きちんとデジタル化されます。担当者が何度も同じ質問を受ける回数が減るので、業務効率アップするメリットもあります。
今はAIが話題になっていますが、AI自体はある意味「単なる箱」に過ぎず、重要なのはデータですよね。データがなければAIは動きようがない。本格的なAI時代を見据えて、今のうちからデータを蓄える意味でも、ボットは有効だと考えています。
独特な「ゲストモード」はビジネスチャットならでは「住宅メーカーが見ているところでだけ、職人と施主がチャットできる」
――directの「ゲストモード」について、もう少し詳しく教えてください。これもやはり「お客様の声」から生まれたものですか?
横井氏:
はい。ある住宅メーカー様から「施主(注文主)と繋がりたい」という声が挙がりまして、それが直接のきっかけです。
家の建設は3~4カ月ほどの建設期間中、設計、施行、足場業者など70くらいの業者がバケツリレー式にさまざまな作業を進めていきます。施主のご意向を、この業者間ともきっちり共有しておかないと、最終的に住宅メーカーと施主の間でトラブルになりかねない。
ですので、その住宅メーカー様がまずdirectを導入します。その上で、施主様にゲストモードのアカウントをお渡しする(費用は住宅メーカーが負担する)。これで、住宅メーカーと施主の間で、(電話やメールとはまた違った円滑な)コミュニケーションができるようになります。施主の方は、それこそお友達の家に遊びに行って「あ、この階段の手すりがいいな」と思ったら写真に撮り、それを建設中の自宅でも取り付けられるか、directでメーカーに聞けるわけです。建設中なら「今日現場にいらっしゃいますか?」「はい」「じゃあよろしく」といった挨拶なんかもできます。
さらにもう1つ、住宅メーカー様は、現場の職人さんをまたゲストモードで呼んで、今度は施主と職人が直接チャットするためのトークルームを作ることもできます。このトークルームを作れるのは、住宅メーカー側だけ。「住宅メーカーが見ているところでだけ、職人と施主がチャットしてね」ということができるんです。
――なるほど。毎月の利用料金の払い元が違うというだけの仕組みではないんですね。
横井氏:
そうです。それと家の建設が終わった後でも、住宅メーカーと施主の間ではdirectを使い続けます。メールとは違うもっと気軽なコミュニケーションですから、施主がまた別の施主を紹介するのも気軽に行えますし。
ビジネスチャットはメールの置き換えではない?!
――実際のところdirectを導入するとなると、これまで使っていた電話やメールとはどう使い分ければいいのでしょうか? 「この案件はメールで」「別の案件はdirectで」という使い分けを考えること自体が、そもそもハードルが高そうな気もしますが。
横井氏:
L is Bでもさすがに「社外」との連絡のためにメールは使い続けています。その上で「社内」のコミュニケーションについて考えてみると、「ストック」「フロー」の2種類があります。「ストック」は会社にずっと保存しておくべき情報です。
対して「フロー」ですが、その瞬間は重要だけれど翌日には意味がなくなってくるタイプの情報です。遅刻の連絡はまさにそうですよね。その日の待ち合わせには重要ですが、翌日には全く不要な情報です。
この「フロー」情報を多くの日本企業がメールでやりとりしている状態です。directの(POPメールを手動受信するのとは違う)リアルタイムコミュニケーションで「フロー」情報をやりとりするようになれば、時間効率は上がります。2種類のコミュケーションがあるということをまず認識していただくところから、始めてみてはどうでしょうか。「これはメールで」「こっちはメールするまでもない」という具合ですね。
――「その判断がもう面倒だよ」というお声とか、ありません?
渡辺氏:
そのようなお話は聞いておりません。ある人材派遣会社様では、社内の情報共有をメールとグループウェアで行っておりました。しかしメーリングリストを多用した結果、メールの受信数が膨大になってしまった。大事なメールを見逃すわけにもいかず、朝出社したらメールのチェックにかなりの時間を割いていたそうです。そこで社内ルールを整備し、「ストック」と「フロー」を意識してメールとビジネスチャットを使い分けるようにしました。
そうするとメールの数が半分になり、その分早く営業に出かけられる。1日あたりの訪問件数も伸び、売上の達成速度も上がったと聞きました。
チャットはインターフェイス、チャットボットが「ミドルウェア」となり既存システムと繋ぎこんでいく
――お客様にはどのプランが選ばれていますか?
横井氏:
30日間無料で10名まで使える「トライアル」プランをまずご用意しています。機能制限はありません。その先の傾向ですが、最近はスモールスタートの風潮もあるとはいえ、まず情報システム部門だけが利用するために20~50名程度のプランを選択なさるケースが多いようです。
ただ、directにはオンプレミス版もありまして、大企業の場合、こちらを活用して閉域網で利用される場合もあります。
チャットボットはトライアル中でもご利用いただけます。また、現在は9種類のボットを無料で提供していますが、毎月新しいものを追加していきます。
――directでチャット機能・ボット機能を提供する一方で、directを既存の業務システムと連携させるためのソリューションも別途提供しているそうですね?
横井氏:
はい。チャットボットを「ミドルウェア」と考えていただけば良いと思います。ビジネスの現場ではマイクロソフト、グーグル、セールスフォースなどさまざまなツールが使われており、お客さまによっては「ハングアウトとOffice 365を組み合わせて使いたい」というケースもあります。でも実際には連携していない。
そこを繋ぐミドルウェアとしての役割を、directとチャットボットが担えるんです。あるお客様は、商品名をチャットすると、データベースを調べて在庫状況を回答してくれるボットをお作りになってます。これだともう、自社専用の在庫確認アプリを作る必要もなくなります。
渡辺氏:
iPadを大量に導入している企業では、新しい業務用アプリを追加するたびに、膨大な検証作業が発生しているそうです。アプリ間の連携チェックなどもありますから、情報システム部門にかかる負荷も大きいですよね。その点、directであれば、連携するボットをユーザーとして招待するだけのため、検証負荷を軽減できるというメリットがあります。
ビジネスチャットとチャットボットで「働き方改革」のお手伝いをしたい
――大きな企業になってくると、ビジネスチャットを導入したくても、情報システム部門が1つの壁になるケースもあるかと思います。彼ら・彼女らをどのように説得すればいいでしょうか?
横井氏:
「働き方改革」この一言に尽きます。働き方改革とは時間の改革です。長時間労働をなくすためには、ダラダラと働くのではなく、「限られた時間で成果をあげる」工夫が求められています。
例えば、directを導入いただいた企業様では、導入前と導入後で一人25分/日もの時間が捻出出来たと言われています。たった25分間と思うかも知れませんが、1000名の企業では、25000分となり、時間に直すと416時間を超えます。1日8時間働くとすると52日分の節約になります。1日で52日分の時間が捻出出来るのです。
働き方改革を推進するためdirectは、お客様が業務で使うチャットボットが作れるよう、2014年からSDKを公開し、「攻める受託=コンサル」を伴った業務改善提案を数多く行ってきました。
「お客様はツールを買いに来ているのではなく、課題を解決しに来ている」。課題解決の為に業務で活用出来るチャットボットを提案しています。
directで情報システム部門にアピールできることは、セキュリティ認証の取得です。L is BではISO 27001と27017を自力で取得しました。
特にアピールしたいのが、「コンサルを使わなかったこと」で、一時期、社内では「ISMS的に大丈夫?(笑)」というのが流行したくらい全員で努力して取得しています。竹中工務店様、JR西日本様をはじめ日本を代表する大企業の業務の一部を担うわけですから、責任感を持って臨んでいます。
――今後の目標についてお聞かせください。
横井氏:
L is Bという社名は「Life is Beautiful」の略です。
我々の製品やサービスが、お客様やパートナー様など、関わった全ての人々の人生をちょっとでも豊かにすることができたらどんなに嬉しいか」という想いで命名しました。
サービスを続ける中で「directがないと仕事にならないよ」という、大変有り難い言葉をいただきました。それが我々の最大の喜びであり、糧でもあります。今後もお客様の課題解決のお手伝いが出来るよう、お客様と真剣に向き合いサービスを発展させていきたいと思います。
(協力:株式会社L is B)