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“読み方”広がる! 電子書籍・コミックの世界
アップルの「iPad」、Amazonの「Kindle」をきっかけに、電子書籍に再び注目が集まっている。ディスプレイ上で直接本を読むというスタイルが消費者に受け容れられるか、いま改めて注目されている。一方、日本では、無料・有料の電子コミックが一定の普及をみるなど、独自の発展を遂げた。2010年の国内電子書籍事情を、各社の具体的なサービスから俯瞰してみよう。
●なにはともあれ無料で読もう!
青空文庫 http://www.aozora.gr.jp/ |
電子書籍は課金の前提がある分野。そのため、完全無料で楽しめる作品は著作権消滅作品やお試し版など、ごく一部に限られている。単行本の宣伝や、会員登録の特典など何らかの付帯サービス的に無料公開される機会を上手に利用したい。一方、電子コミックの世界は、期間限定無料公開から有料化(単行本化)という流れが確立されつつあるようだ。
◆青空文庫
http://www.aozora.gr.jp/
著作権消滅作品などを無料公開するWebサイトとしておなじみ。芥川龍之介、夏目漱石ら文豪の作品をはじめ、9000タイトル以上を揃える。一般的なテキストファイル、もしくは専用ソフトに読み込んで縦書き表示などを行うためのXHTML版が、ほとんどの作品に用意されている。
◆Google ブックス
http://books.google.co.jp/
Googleが展開中の書籍検索サービス。日本語書籍の多くは、表紙や目次、序章部のみを収録した「限定表示」だが、収録作品自体は豊富。例えば、日本のアニメ関連書などもある。言語や限定・全文表示などを条件に詳細な検索ができるので、いろいろ試してみるといいだろう。
◆親鸞〈上巻〉無料公開
http://shin-ran.jp/
五木寛之著のベストセラー作品「親鸞」。2009年12月に発刊されて間もないその上巻の電子版を、5月12日から6月11日までの期間限定で無料公開している。こういった取り組みは少しずつ増えているが、電子書籍の普及にも影響を与えそうだ。なお、閲覧にはWebブラウザ用プラグイン「T-Time Crochet」をインストールする必要がある。
◆国立国会図書館 電子図書館
http://www.ndl.go.jp/jp/data/endl.html
国会議事堂そばにある、日本唯一の国立図書館。収蔵資料の電子化も積極的に行っており、公式サイトでは、明治・大正期に発行された書籍の画像データベース「近代デジタルライブラリー」などを公開している。
◆Flib
http://www.flib.jp/
イーブック・システムズが運営する電子書籍サイト。「FlipBook」形式に対応したコンテンツおよびビューアーを無料公開している。著作権消滅作品や、有料作品の冒頭部分のみを収録した立ち読み版が多い。
◆モッテコ書店
http://motteco.com/
「無料読み放題」を謳う電子書籍サイト。比較的短時間で読める、文章量少なめのオリジナル書籍が豊富。芸能人のグラビアなど、ビジュアルを重視した作品も多い。
◆DOS/V POWER REPORT
http://www.dosv.jp/
インプレスジャパン発行のPC自作情報誌。厳密な意味での電子書籍とは異なるが、バックナンバーの一部記事をWebサイトの体裁で無料閲覧できる。
◆クラブサンデー
http://club.shogakukan.co.jp/
小学館の無料コミックサイト。オリジナル作品に加え、「サンデー」本誌収録作品の中から週2タイトルほどをピックアップし、1話丸ごとWebサイト上で再掲載している。「名探偵コナン」「MAJOR」なども閲覧可能。
◆VOMIC
http://vomic.shueisha.co.jp/
集英社から発刊されるコミックを、複数の声優陣が朗読してくれるという一風変わったサービス。現在は、アニメ映画も制作された「銀魂」などが公開中だ。その他作品もバックナンバーが保存されている。
◆ガンガンONLINE
http://www.square-enix.com/jp/magazine/ganganonline/
スクウェア・エニックスが公開中の無料Webマガジン。オリジナルの連載コミックを中心に、小説やイラストを定期的に公開・更新している。Flashが使えるWebブラウザであれば、特にソフトを追加することなく閲覧できる。
◆コミックハイ! WEBコミック
http://comichigh.jp/webcomic.html
こちらは双葉社が発行する漫画雑誌のホームページ。Web向けのオリジナル作品も公開しており、毎月10・20・30日に更新される。なおWeb掲載作品は単行本化の際、一部バックナンバーの公開を終了する。
◆ファミ通 コミッククリア
http://www.famitsu.com/comic_clear/
エンターブレイン刊のゲーム情報誌「ファミ通」と連動した無料コミックサイト。連載タイトルもゲームやアニメ関連が豊富だ。
◆livedoor デイリー4コマ
http://4koma.livedoor.com/
ポータルサイト「livedoor」で毎日更新されている無料の4コマ漫画サイト。この中で竹書房による「まんがライフWIN」、芳文社の「まんがタイムWAVE」がそれぞれ公開中。
●電子書籍を探そう、買おう!
日本における電子書籍販売は、iPadやKindleの登場を待つまでもなく、PCや携帯電話向けの分野で非常に盛んに行われている。出版社、販売専門サイトを合わせると、参入企業が極めて多いため、目当ての本を探すのはなかなか難しい。キーワード検索を積極的に活用するのが重要だ。
◆ビットウェイブックス
http://books.bitway.ne.jp/
電子コンテンツの流通・販売を手がける「ビットウェイ」の電子書籍ストア。小説やノンフィクションなどを販売する「書籍」、アイドル写真集などをラインアップする「写真集」の2つから構成される。なお文書フォーマットは作品によって異なるが、ドットブック(.book)、XMDFなどがおもに採用されている。
◆電子書店パピレス
http://www.papy.co.jp/
.book、XMDFなど複数のフォーマットの電子書籍を販売。作品のジャンルも和書、洋書、委託同人誌など幅広い。なお万一のダウンロードの失敗に備えて、購入から1週間は再ダウンロード件を保障しているという。
◆理想書店
http://www.dotbook.jp/store/
ボイジャーが運営する電子書籍ストア。角川書店、講談社など複数の出版社の作品をドットブック形式でラインアップする。PCで書籍を閲覧するには「T-Timeビューア」、コミックおよび雑誌の閲覧には「T-Time Crochet」を利用。またiPhoneでも「理想BookViewer」を使うことで閲覧できる。
◆Space Townブックス
http://books.spacetown.ne.jp/sst/
シャープが運営する電子書籍ストア。おもにXMDF形式の作品を販売しており、その専用リーダー「ブンコビューア」はPC、携帯電話などに対応する。
◆ebook Japan
http://www.ebookjapan.jp/ebj/
コミックのラインアップが豊富なebook Japan。作品を読むには「ebi.BookReader」を別途インストールする必要がある。一部の書籍はiPhoneから購入・閲覧が可能。なお「トランクルーム」というシステムを用意しており、一度購入した電子書籍を50冊までなら無料でサーバーに“蔵書”しておくことができる。
◆DMM.com 電子書籍
http://www.dmm.com/digital/book/
動画配信、オンラインDVDレンタルなどを手がけるDMM.comでも、電子書籍を販売。「DMM電子書籍ビューア」に対応するdmmb形式を筆頭に、PDFやXMDF対応作品をラインアップ。閲覧ソフト不要の「dmm_ebook形式」もある。
◆小学館 電子書籍・アプリ
http://www.shogakukan.co.jp/digital/genre/_id_1
大手出版社の小学館では、複数のPC向け電子書籍サービスを展開中。コミック配信サイトの「ソク読み小学館」、小説などが中心の「小学館eBOOKS」のほか、実用書などをiPhoneアプリの形で直接配信する取り組みも。
◆電子文庫パブリ
http://www.paburi.com/paburi/
新潮社、集英社など出版21社の電子書籍を販売する。作品の種類によって、ドットブック、XMDFなど複数のフォーマットが用意されている。なお4月2日付で運営元が電子文庫出版社会から日本電子書籍出版社協会へと変更された。
◆文春ウェブ文庫
http://www.bunshunplaza.com/
文藝春秋発行の電子書籍を紹介するWebサイト。オンライン販売は直接行わず、前述の「ビットウェイブックス」や「電子文庫パブリ」など、外部の販売専門サイトを紹介するにとどまっている。
◆Yahoo! コミック
http://comics.yahoo.co.jp/
ポータルサイト「Yahoo! JAPAN」のコミック配信専門ストア。全販売作品に無料サンプルを用意している。閲覧には、Flashで動作する「DOR」を利用する。
◆Webコミック GENZO
http://www.gentosha-comics.net/genzo/
幻冬舎コミックスの配信ショップ。現在は、1号あたり210円のWebコミック誌「Webスピカ」を毎月28日に販売する。一度購入すれば、180日間は制限なく閲覧できる。
◆NTTソルマーレ コミックシーモア
http://www.nttsolmare.com/service/comic_cmoa/flash_content.php
NTT西日本グループのNTTソルマーレが運営する携帯電話向けのコミック配信サービス。具体的な購入方法の紹介とともに、ケータイコミックの作成手順を解説。コマの動きなどを確認できる無料体験コーナーも用意している。
◆hon.jp
出版各社が発行する電子書籍を横断的に検索できるサービス。キーワードを入力すると、該当タイトルの販売サイトをリストアップしてくれる。携帯電話向けコンテンツの場合は、販売サイトをQRコードでも表示してくれる。
●これからどうなる? 電子書籍
電子書籍がどのように発展していくか。興味は尽きないところだが、使いやすい専用端末のの登場や、魅力的な作品をリリースしやすくするための権利処理・利益分配の具体論を整備する必要があるのは間違いないだろう。関係団体や端末メーカーの動向にも注目しよう。
◆日本電子書籍出版社協会
http://www.ebpaj.jp/
今年3月に設立された一般社団法人。任意団体であった「電子文庫出版社会」を前身とす
る。講談社の野間省伸氏を代表理事を務めるほか、小学館、新潮社、光文社、角川書店から常任理事が選ばれている。電子出版に関する調査研究などを行っていくという。
◆日本電子出版協会
http://www.jepa.or.jp/
1986年設立の一般社団法人。毎年「電子出版アワード」を開催するほか、電子書籍に関する継続的な調査研究を実施している。国際的な書籍フォーマットとして注目を集める「EPUB」についての資料も公開中だ。
◆NetWalkerポータル
http://www.sharp.co.jp/netwalker/
シャープが販売中のモバイル機器。5月下旬発売の新モデル「PC-T1」はタッチパネル機能付きの5型ワイド液晶を搭載。「NetWalkerライブラリー」で購入した電子書籍の閲覧が可能だ。
◆PlayStation Store コミックコンテンツ
http://www.jp.playstation.com/psn/store/comics/index_00.html
携帯ゲーム機「PSP」向けに展開しているコミック配信サービス。端末上で閲覧するには専用リーダーを別途インストールする必要がある。Webサイトでは、配信中の作品一覧が確認できる。
◆Kindle(Amazon.com)
http://www.amazon.com/dp/B0015T963C
日本国内で電子書籍が再び注目されるきっかけにもなった、ポータブル電子書籍リーダー。基本的には米国向け製品。日本語での正式サービスが開始するのかどうか、注目の的だ。なおiPhoneアプリとしてのKindleもすでに公開されている。
◆iPad
http://www.apple.com/jp/ipad/
いよいよ日本でも5月28日に発売。米国では電子書籍配信サービス「iBooks」もスタートしているが、日本では提供されるかどうかも含めて未知数だ。ただし電子書籍ビューアをiPad追加アプリとしてリリースする予定の国内企業が、すでに登場している。
◆NTTプライム・スクウェア
http://www.nttps.co.jp/
NTTグループと角川グループの合弁企業。文章や画像、音声などを組み合わせた“ハイブリッドコンテンツ”の配信プラットフォーム「Fan+」を構築・運用する。電子書籍的なコンテンツが、スマートフォンで楽しめる予定だ。
(2010/5/21)
[森田 秀一]