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“3ストライク法”検討すべき、Share一斉摘発で権利者団体が主張


今回の一斉摘発の経緯

 権利者団体などで構成する「不正商品対策協議会(ACA)」は15日、記者会見を開催し、今後は著作権侵害対策の一環として、“3ストライク法”の導入も検討すべきなどと訴えた。

 今回の会見は、ファイル共有ソフト「Share」を通じたゲームや映画、音楽、アニメなどの著作権侵害行為に対して、全国で一斉取り締まりが行われたことを受けて行われたもの。

 警視庁や京都府警、北海道警などは11月30日、Shareを使って音楽や映画、ゲームソフトなどを権利者に無断でインターネット上にアップロードしていた著作権法違反の容疑で、10都道府県で一斉摘発を実施。これまでに、ゲームソフト「ドラゴンクエストIX星空の守り人」を違法にアップロードした男性など合計11人を同容疑で逮捕している。

 ACAによれば、今回の一斉摘発は8月下旬に警視庁がACAに協力を要請したことがきっかけ。これに対してACAは、「効果的な取り締まりは従来から熱望していた」として協力。ACAに加盟する日本音楽著作権協会(JASRAC)、日本レコード協会(RIAJ)、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)などが警察と連携し、一斉摘発に至った。

犯罪者の人権もあるが、“3ストライク法”の議論は必要

ACAの著作権侵害対策プロジェクト
JASRACの菅原瑞夫常務理事

 著作権侵害対策の一環としてACAは今後、プロバイダー責任制限法のガイドラインの見直しを含む法制度の改善を政府などに要請する考え。ガイドラインの見直しについては、違法アップロードなどを行うユーザーの情報をISPが開示しやすくさせる狙いがある。

 また、JASRACの菅原瑞穂常務理事は、「フランスでは3ストライク法が出てきているが、日本でも導入を検討すべき」と主張。3ストライク法とは、映画やゲーム、音楽などを違法ダウンロードするユーザーに対して、2度目までは警告を行うが、その後も違法ダウンロードが続く場合は、ISPが該当ユーザーの通信回線を遮断するというものだ。

 3ストライク法の導入を検討したフランスなどでは、「表現や通信の自由を侵害する」といった批判もあった。この点について菅原氏は、「犯罪者の人権と被害者の人権を議論することも必要だと思う」と語った。

 このほかACAでは、権利者団体やISP事業者団体などで構成される「ファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害対策協議会(CCIF)」とも連携し、ファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害を行うユーザーに対してメールで注意喚起を図るとともに、“ダウンロード違法化”を盛り込んだ改正著作権法の啓発活動も強化するという。

 ダウンロード違法化とは、違法にアップロードされている音楽と映像を、違法と知りながらダウンロードする行為を違法とするもの。2010年1月1日に施行される改正著作権法に盛り込まれている。ただし、罰則は設けられていない。今後、違法ダウンロード行為が減少しなかった場合の対応について菅原氏は、「今のところは未定」と前置きした上で、「基本的なところに問題があれば、罰則の設定を求めることになる」と話した。

「違法アップロードするユーザーは英雄ではない」

 ACCS、RIAJ、日本国際映画著作権協会(JIMCA)の3団体が実施した調査によれば、インターネット利用者のうちファイル共有ソフトを使っているという人は、2007年度で9.6%、2008年度で10.3%、2009年度で9.1%。

 この結果についてACAの後藤健郎事務局長は「高い数字で推移している」と述べるとともに、Shareに関しては、「他のファイル共有ソフトと比べると大容量ファイルを送受信できる特性があることから、アニメや映画、ゲームソフトが大量に流通している」と危ぐする。

 ACCSの調査によれば、ファイル共有ソフトで流通する「ニンテンドーDS」のゲームソフトは約90万本に上り、これを定価で換算すると約38億7000万円相当のゲームソフトが流通していることになるという。

 なお、ネットエージェントは12月4日、今回の一斉摘発が行われて以降、Shareの利用者が1万〜2万人ほど減少したという調査結果を発表している。この点について後藤氏は、「今回の取り締まりのインパクトがいかに大きかったかということ」として、今回の一斉摘発を評価した。

 RIAJの石坂敬一会長は、2008年における正規の音楽配信の市場規模が約905億円だったのに対して、違法な音楽配信による損失額が約2170億円に上ると指摘し、「違法市場を懲らしめるべき」と語気を強めた。菅原氏も、「一部では、コンテンツを違法にアップロードする人が英雄であるかのように言われるが、犯罪者であることをわかってもらいたい」と呼びかけた。

 ACAの高井英幸代表幹事は、「2010年1月からは、違法にアップロードされた著作物を違法と知りながらダウンロードする行為も違法になる。著作権団体としては、今後も警視庁をはじめ、全国の都道府県警との連携を図っていく」と述べ、ファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害対策を強化する姿勢を示した。


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(増田 覚)

2009/12/15 21:11

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