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“リッピング違法化”は著作権法の保護範囲を大きく逸脱、MIAUが反対声明


 文化審議会著作権分科会法制問題小委員会がとりまとめた報告書に関して、一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)が27日、緊急声明を発表した。リッピングソフトやマジコンの規制を著作権法改正で盛り込むべきとした報告書の考えに反対の意を表明している。

 現行の著作権法では、コンテンツの違法複製を防止・抑止するための「コピーコントロール技術」については、「技術的保護手段」として保護対象となっており、これを回避して複製を行える装置・プログラムを製造・販売・輸入することは禁止されている。また、これらの装置・プログラムを利用してコンテンツを複製することも、私的使用のための複製の範囲外とされており、家庭内であっても違法(複製権の侵害)になる。

 一方、DVDに採用されている暗号化技術「CSS」や、ニンテンドーDSで海賊版ソフトの起動を防止する技術は、正規の購入者以外の視聴・使用を制限するための「アクセスコントロール技術」にあたり、著作権法上の技術的保護手段には含まれない。従って、CSSを回避するリッピングソフトや、ニンテンドーDSで海賊版ソフトを使えるようにするマジコンについては、著作権法では規制されていなかった(ただし、不正競争防止法ではアクセスコントロール技術も保護対象となっている)。

 これに対して今回の報告書では、CSSなどの暗号化技術やゲーム機・ゲームソフト用の保護技術についても、技術的保護手段の対象とする規定の見直しが必要だと指摘している。

 具体的には、リッピングソフトやマジコンなどについても、1)公衆への譲渡・貸与、2)公衆譲渡等目的の製造・輸入・所持、3)公衆供与、公衆送信、送信可能化――を禁止。違反者には、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、もしくはその両方を課す。また、刑事罰の対象外ではあるが、アクセスコントロールが施された市販のDVDをリッピングソフトで複製する行為も、私的使用のための複製の範囲外となり、違法とされる見込みだ。

 しかしMIAUでは、現在問題となっているのは「コンテンツの違法流通であって、ユーザーによるアクセス行為でもなければ、ユーザーの家庭内におけるコピー行為でもない」と指摘。また、「侵害コンテンツの流通防止は、アクセスコントロールではなくアップロードコントロールにてなされるべき」とし、著作権法の公衆送信化権で十分対応できるとしている。また、マジコンについても、不正競争防止法で十分対応できるとしている。

 さらに、「著作権法は、ソフトウェアやコンテンツの保護と利用のバランスを図り、文化の発展に資するために、その管理・流通をコントロールすることを目的とした法律」と説明した上で、「アクセスコントロール技術を著作権法の保護対象にまで拡張することは、この伝統的な保護の範囲を大きく逸脱し、特定のハードウェアやプラットフォームの法律による保護を意味する」と指摘。「ハードウェアやプラットフォームの保護につながる規定は公正な市場競争を阻害する」と批判している。

 このほか、正規に入手したコンテンツであってもプラットフォームに依存することになるため、そのプラットフォームの使用をやめた時など、正規ユーザーであってもコンテンツにアクセスできなくなる点も挙げ、「安易なアクセスコントロール回避規制は国民の正当なコンテンツ利用およびわが国のICT技術の発展を不当に妨げる」として、著作権法にアクセスコントロール回避規制を盛り込むことに反対している。


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(永沢 茂)

2011/1/28 06:00