JASRAC排除措置命令、公取委が取り消しへ


 テレビ局やラジオ局などの放送事業者との間で締結する包括契約の内容が独占禁止法違反にあたるとして、公正取引委員会から排除措置命令を受けていた日本音楽著作権協会(JASRAC)は2日、公正取引委員会の審判官から「排除措置命令を取り消す」とする審決案が送られてきたと発表した。

 排除措置命令を取り消す理由は、「他の管理事業者の事業活動を排除する効果を有することを認める証拠はない」というもの。この審決案についてJASRACは、「審判における当協会の主張立証に沿って適正な判断をしていただいた」とコメント。最終的に審決が出た時点で改めて見解を発表するという。

 公正取引委員会が独禁法違反にあたると指摘していたのは、JASRACが放送事業者との間で締結する包括契約の算定方法などが、他の著作権管理事業者の参入を阻害しているという点。「放送事業者が使用料の追加負担を避けるために、新規参入した管理事業者の管理楽曲の利用を回避した」という事実認定に基づくとしていた。

 この事実認定についてJASRACは、排除措置命令の妥当性をめぐる審判において、新規参入した事業者が放送の管理を開始した2006年10月1日以降、「実際には当該事業者の管理楽曲が繰り返し放送されていた事実がある」と指摘。その上で、この事実の裏付けとなる証拠を提出していた。


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(増田 覚)

2012/2/3 11:41