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クラウド会計「freee」が10万ユーザー突破、経営者の時間を60年削減

 freee株式会社は、同社が提供するクラウド会計ソフト「freee」のユーザーが7月6日時点で10万事業所を突破したと発表した。

クラウド会計ソフト「freee」

 freeeは、自動で帳簿が付けられるクラウドサービス。銀行やクレジットカードのウェブ口座を登録しておくおとで、それらの明細を取り込んでテキスト解析し、自動的に勘定科目を付けてくれる。手動で勘定科目を修正する場合も、分かりやすい説明が付いたメニューから選択してくだけでいいため、経理・簿記の知識不要で青色申告や決算書まで作成できるという。青色申告対応の決算書を作成できる月額980円(税込)の「個人事業主プラン」、会社法に準拠した決算書を作成できる月額1980円(税込)の「法人プラン」のほか、1カ月だけデータを保持できる「無料プラン」もある。

 2013年3月にサービスをローンチした後、請求書機能の追加、交通系ICカードからのデータ取り込み、対応金融機関の拡大(現在までに1600以上の機関)、e-Taxへの対応、消費税8%への対応、iPhoneアプリ(決算以外のほぼすべての機能をモバイルから使用可能)、チャットによるサポートなど、クラウドならではの強みを生かして機能やサービスの拡充を図ってきた。2014年に入って確定申告を控えた時期にユーザー事業所が大きく増加し、その後も増加率が衰えていないという。

 freeeが7月に行ったユーザー事業所へのアンケート調査(1284事業所が回答)からは、入出金1件にかかる時間が平均で5分48秒減ったとの結果が得られたという。7月6日現在、freeeに登録された取引の総数は542万件に上り、これを掛け合わせるとfreeeによって削減された時間は合計3143万分、すなわち約60年ということになる。スモールビジネスでは経理を経営者自ら担当している場合が多く、実際、このアンケートでも82%が経営者が経理を担当していると回答した。freeeでは、こうした経営者の価値ある時間を経理作業から解放することで、スモールビジネスの経営者が創造的な活動に集中できるとしている。

 アンケート調査では、freeeを使うことで事業に起きた変化(複数回答)についても聞いているが、最も多かったのは「会計・経理業務の負担が減った」の41%だが、次いで「会社の経営状況をfreeeでチェックするようになった」の25%だった。これまでの会計ソフトでは入力作業に労力が費やされるため、決算書や申告書を完成させるのが目的になってしまい、経理データの活用にまで至らなかったのではないかという。freeeでは入力の負担が減った分、経理データから経営状況を把握するといった活用が行われるようになったとしている。

 freeeのユーザー増加の理由として、同社代表取締役の佐々木大輔氏はまず、プロダクトの簡単さを挙げる。アンケート調査では、freeeを導入した理由(複数回答)として最も多かったのは「簡単で分かりやすい会計ソフトを探していた」というもので、52%と半数を超えた。半年前の調査では「クラウドの会計ソフトを探していた」がトップだったが、今回調査では47%で2位。当初は会計ソフトもクラウド型にしたいというニーズから選ばれていたfreeeだが、最近ではこれに加えて、分かりやすさを求めるユーザーに評価されていると分析している。

 実際、ユーザーは会計ソフトの初心者が多いという。確定申告または決算の回数について「まだ決算・申告をしたことがない」というユーザーが36%を占め、次いで1回が20%、2〜3回が14%と続く。

 また、freeeの導入前に使用していた会計ソフトについては、「他の会計ソフトを使っていた」が32%を占めるが、これを上回るのが「事業を始めたばかりなので、freeeが初めての会計ソフト」という回答の39%。また、「会計ソフトを使わず、Excelなどで代用していた」が14%、「会計ソフトは使っていない(税理士にお願いしていたなど)」が13%おり、合計66%が初めて導入する会計ソフトがfreeeだったことも判明。今まで会計ソフトを使用したことがなかった層でも使えるということで導入が進んだとしている。

 ユーザーの年齢層も広がってきているという。会計ソフト分野では新規参入で、しかもクラウドベースのプロダクトということで、当初はやはり若いユーザーに受け入れられたようで、2013年11月の調査では、20代が13%、30代が43%、40代が26%、50代が14%、60代以上が4%となっており、30代以下で半数を占めていた。これが今回の調査では、20代が10%、30代が39%、40代が34%、50代が13%、60代以上が4%だった。特に40代の比率が上がったことで、逆に40代以上で過半数を占めるようになった。

クラウド会計ソフトへのニーズ、「はてブ」で実感!? 今後は法人向けも注力

 佐々木氏はかつてGoogleでアジア太平洋地域のスモールビジネス向け事業を担当していた際、日本のスモールビジネスにおけるクラウド・ITの活用の立ち後れを実感。その経験から、クラウドによって日本のスモールビジネスを支援するプロダクトとして、クラウド会計ソフトというジャンルに進出しようと思い至った。

 しかし、クラウド会計ソフトという事業プランを知人に話しても、期待はあまり高くなかったという。佐々木氏は元Googleということで、もちろん周囲はクラウドやITのメリットについてはよく理解している人ばかりだ。スモールビジネス向けにはすでにメジャーな会計ソフトが存在する日本市場では新規参入の壁も考えられ、「誰にも成功するとは思われていなかった。心折れる瞬間があった」という。

 ところが、実際にサービス開始を発表すると、クラウド会計ソフトに市場から大きなニーズがあることを確認した。2013年3月に行った記者発表会(当時の社名は株式会社CFO)の模様を伝えるウェブニュースの記事にたくさんの「はてブ」が付いたのを見て勇気付けられたと振り返る(2013年3月19日付関連記事『簿記を知らなくても使える会計ソフト「freee」、グーグル卒業生が開発』参照)。

freee株式会社代表取締役の佐々木大輔氏

 そして今回、サービス開始から1年4カ月弱で10万ユーザーに到達。次なるマイルストーンは、ローンチから2年となる2015年3月までに、25万ユーザーという数字を掲げている。また、全体のユーザー数だけでなく、今後は法人ユーザーの獲得にも注力する考えだ。

 現時点でのユーザーは、個人事業主が74%、法人が26%の割合。従業員も「1人」が64%を占めている。これに対して最近では5人以上の法人での利用も増えているとし、今後はこうした法人ユーザーの業務を効率化する新機能も提供していく。

 例えば、5月にベータ版としてリリースした給与計算機能は2カ月間で7000事業所で利用されているという(2014年5月19日付関連記事『freee、「クラウド給与計算ソフト freee」β版を無償提供開始』参照)。今夏以降に正式提供を開始する予定となっており、今後は、法人ユーザーにまず給与計算ソフトとしてfreeeを導入してもらい、その後、会計ソフトもあわせて利用してもらうパターンもあるのではないかとしている。

給与計算では、従業員のアカウントを作成し、従業員自身が勤怠情報を入力すれば、自動で給与額の計算から給与明細の発行・配布、社会保険や年金などの支払いに関する書類などを 1クリックで作成できるとしている

※INTERNET Watchでは、freeeの基本的な使い方や導入についてのレビュー記事も掲載しているので、興味のある個人事業主・法人の方は以下の関連記事を参照してほしい。

(永沢 茂)