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ニフティ、ウイルス対策を施せないIoT機器もまるごと保護する「常時安全セキュリティ24プラス」

 ニフティ株式会社は3日、ネットワークサービス「Smart Serve」とセキュリティサービス「常時安全セキュリティ24」を組み合わせたサービス「常時安全セキュリティ24プラス」を提供開始した。

「常時安全セキュリティ24プラス」の特徴。セキュリティソフトをインストールできない機器も保護できる

 PC、スマートフォン、タブレット端末、スマート家電などをウイルスやフィッシングサイトといったインターネットの脅威から保護するセキュリティサービス。Smart ServeによるVPN接続を通すことで、サービスアダプターの配下に接続された機器を保護する「スマートサーブセキュリティ機能」により、これまでセキュリティソフトをインストールできなかったスマート家電やゲーム機器などの通信も保護する。

 Smart Serveを通した通信は「@nifty セキュリティセンター」に接続される。センターでは、シマンテックのウイルススキャンエンジン「Symantec Protection Engine」と、新種の脅威などに関する情報を提供する「DeepSight Datafeed」を活用。オンラインウイルススキャン(HTTP/SMTP/POP通信が対象)を提供するほか、2月25日からは「安全評価機能」を実装し、サービスアダプターの配下にある機器が詐欺サイトやフィッシングサイトなどへ接続するのを防ぐ。

家庭からのインターネット通信すべてに対してVPN接続でクラウドサーバーを経由させる「Smart Serve」
「常時安全セキュリティ24プラス」では、サービスアダプター配下のデバイスは、VPN通信により「@nifty セキュリティセンター」を経由する。アダプター外の通信は保護されない
ウイルスを仕込んだ仮想のサイトに通常のインターネット回線で接続した場合と、「常時安全セキュリティ24プラス」経由の場合の比較。セキュリティ24プラスを経由したアクセスでは、ウイルスをスキャンし接続をブロックした
ゲーム機などのウイルス対策を施せないデバイスでもウイルスから保護できる

 また、ホームネットワーク以外でのインターネット接続に対しては、クライアント向けセキュリティソフト(カスペルスキー製)も提供する。対応OSは、Windows、Mac、Androidスマートフォン/タブレット。最大3台まで利用できる。また、それ以上の台数を利用したいユーザー向けのプランも検討中とのこと。

 今後は、前述の安全評価機能のほか、外出先からでもスマートサーブセキュリティ機能が利用可能になるという。また、家庭のネットワークに新たに機器が接続された場合に通知する「接続機器通知機能」、子供の不適切なインターネット利用を防止するペアレンタルコントロール機能、インターネットコンテンツのレベルを機器ごとに設定するデバイス別のコンテンツ制御を提供予定。

 料金(税別)は、新規加入の場合、月額利用料が500円、初期費用が5000円。Smart Serveユーザーであれば、月額利用料が200円、初期費用は無料。またキャンペーンとして、3月31日までに常時安全セキュリティ24プラスに加入したユーザーは初期費用が無料となる。

 新規加入ユーザーは、Smart Serveのサービスアダプターが提供される。サービスアダプターは、IEEE 802.11b/g/n(2.4GHz帯のみ)対応のWi-Fiを内蔵しており、アダプター単体で複数のクライアントと@nifty セキュリティセンターを結ぶことができる。

 なお、Smart Serveの実行速度については、ADSLレベル(サービスアダプターの理論値は60Mbps、平均レートで20Mbps程度)とのこと。レスポンスは良く、クラウドストレージを頻繁に利用する場合でない限り、動画の視聴など通常の使用では特に違和感なく利用できるという。今後は、サービスアダプターの改修なども含め、高速化を進めたいとしている。

「常時安全セキュリティ24プラス」サービス仕様
Wi-Fi接続に対応するサービスアダプターを持つ、ニフティスマートプラットフォーム事業部スマートプラットフォームサービス部部長の佐藤淳之氏

IoTの普及を阻害するのは、セキュリティの脅威や開発・導入コスト

 ニフティが都内で開催した説明会で、「スマートプラットフォーム」について同社スマートプラットフォーム事業部事業部長竹内勝之氏が説明した。

 スマートプラットフォームは、家庭とクラウドを結ぶネットワークを体現したもので、Smart Serveや同社のVPN接続サービス「シンプルVPN」、それらを活用した室内監視サービス「おへやプラス」などを展開している。また、ネットワークを結ぶISPサービスや、モバイルサービス「NifMo」「ニフティクラウド」といったインフラ回りも自社で有する。

ニフティスマートプラットフォーム事業部事業部長の竹内勝之氏
「スマートプラットフォーム」は、インターネットと分断されているホームネットワークをクラウドまで延長し、家庭内サービスとクラウドを一体化する

 2020年には500億のデバイスがインターネットに接続すると言われている中、家庭内のデバイスを外からアクセスさせるには、詳しいネットワークの知識が必要で、ネットワークカメラで室内の様子がネット上で筒抜けになるといったセキュリティの脅威に晒される可能性もあるという。また、デバイスにネットワーク接続機能以外にセキュリティ機能や外部アクセス機能などを盛り込むと開発コストがかさむ上、スマート家電の制御に専用のデバイスが必要になるなど、導入コストの面で普及を阻害する要因が多いという。

 これに対して、スマートプラットフォームを活用することで、セキュリティや外部接続機能をクラウド側で負担させ、開発コストを低減できるという。また、ホームネットワーク内の設定も、サービスアダプターをルーターに接続するだけで、外部からもアクセス可能で安全な通信を確保できるとしている。ニフティでは、スマートプラットフォームをOEMで提供する「スマートサーブプラットフォーム」を2014年9月より開始。サービス事業者とのパートナー連携を図っているという。

 現在提供しているおへやプラスでは、遠隔地からでも室内の様子が分かるため、介護業界からの問い合わせも多いという。竹内氏は、プラットフォームの活用により、今後は、家電のメンテナンスやデバイスのサポートをクラウド上で行えるといった新しいビジネスも生まれるのではと期待を寄せる。

(山川 晶之)