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“インターネット要らず”の電子書籍端末「BookLive!Reader Lideo」発売

 株式会社BookLiveは10日、6インチ電子ペーパーディスプレイを搭載した電子書籍端末「BookLive!Reader Lideo」を発売した。価格は8480円。全国約30店の三省堂書店の店頭とBookLive!の直販サイトで販売する。

(向かって左から)株式会社BookLiveの淡野正代表取締役社長、お笑い芸人・ピースの又吉直樹さん、同じく綾部祐二さん、株式会社三省堂書店の亀井崇雄専務取締役

 UQ WiMAXの通信機能を内蔵しており、ユーザーは回線契約や通信料金の支払い不要で電子書籍ストア「BookLive!」に接続し、約9万5000冊の電子書籍を購入・利用できるのが特徴。利用を開始するにあたってBookLive!のウェブサービスのアカウントなどは不要で、Lideoの電源投入後に誕生日、性別、パスワードを設定するだけで初期設定が完了する。メールアドレスさえも登録する必要がない。

 これは、各端末が固有IDを持っているためで、PCと接続してのアクティベーションやセットアップなどの作業も不要だ。「箱から出してすぐ使えること」を重視したとしており、極端な話、インターネットサービスを一切利用していないようなユーザーであっても、LideoだけでBookLive!に接続して電子書籍を楽しめる(もちろん、UQ WiMAXのサービスエリアであることが前提)。

 Lideo本体の大きさは110×165×9.4mm(幅×高さ×厚さ)、重さが約170g。ディスプレイはE-Inkの16階調グレースケール6インチ電子ペーパーで、解像度は600×800ドット。操作は、タッチパネルディプレイによるページめくりなどに加えて、「本棚」「書店」「メニュー」などのよく利用する機能については専用ハードウェアボタンを備えた。

 電子書籍の対応フォーマットは.book、XMDF、EPUB。内蔵メモリは4GB(使用可能容量3GB)で、小説を約3000冊(1冊1MB換算)、マンガを約75冊(1冊40MB換算)格納できるとしている。なお、LideoはあくまでもBookLive!サービスの専用端末となっており、利用できるのはBookLive!で配信している電子書籍タイトルのみとなる。そのため、ユーザーが作成したファイルなどを読み込むための外部メモリスロットやUSBポートは搭載していない。

 通信機能は、UQ WiMAXのほか、IEEE 802.11b/g/nの無線LANにも対応する。UQ WiMAXのエリア外や自宅などでは、既存のインターネット環境を介してBookLive!を利用できる。

 UQ WiMAXは最大通信速度が下り40Mbps/上り15.4Mbpsとなっており、コミックや写真集などデータ容量の大きい電子書籍コンテンツも快適にダウンロードできるとしている。だたし、このUQ WiMAXの通信機能もBookLive!への接続専用となっており、ウェブブラウザーなどの通常のインターネット接続機能はLideoには搭載していない。端末の機能をBookLive!専用とシンプルにするとともに、UQ WiMAXの通信先をBookLive!サーバーに限定することで、通信料のユーザー負担不要で8480円という価格を実現した。

 なお、Lideoは連絡先などを入力しての会員登録不要で使い始められることは先に述べたが、別途取得してあるBookLive!のアカウントでログインしてLideoを連携させることも可能だ。これにより、購入した電子書籍を、Lideoだけでなく、スマートフォンやPCなどの複数端末で共有・同期できるようになる。BookLive!のアカウントはPCなどのウェブブラウザーから無料で登録可能だが、三省堂書店での店頭でもBookLive!の入会受付サービスを提供している。

三省堂書店がBookLive!の電子書籍を販売、店頭で現金で買える

 電子書籍タイトル購入時の決済はクレジットカードなどに対応。また、三省堂書店の店頭では専用の「BookLive!プリペイドカード」(1000円/3000円/5000円の3種類)も販売する。これを購入し、カード裏面に記載されている番号をLideoから入力することで、その金額がチャージされて決済に利用できる。

 さらに、三省堂書店の店頭にある書籍検索端末がBookLive!の電子書籍タイトルにも対応。検索した書籍の電子書籍版の有無も表示されるようになった。購入したい電子書籍タイトルのバーコードがプリントアウトできるため、それを店頭のレジに持って行って代金を支払うことで、購入コード番号が記載されたレシートが発行される。LideoからBookLive!にアクセスして購入コード番号を入力すれば、そのタイトルをダウンロードできるようになる。このように、電子書籍ストアとリアル書店が連携して、現金決済の仕組みも用意しているのが特徴だ。

 三省堂書店神保町本店の1階には、Lideo専用の販売カウンターを設けるとともに、BookLive!で購入可能な書籍の一部について、その紙版の書籍を見本として陳列したコーナーも設置した。各書籍の帯に電子書籍購入用のバーコードが添付されており、これをそのままレジに持って行き、代金を支払えば購入コード番号を記載したレシートが発行される。

 専用カウンターの近くには、購入したLideoをその場で初期設定してくれるコーナーも用意している。

三省堂書店で発売記念イベント、お笑い芸人・ピースの二人が登場

 10日午前には、三省堂書店神保町本店(東京都千代田区)において、Lideoの発売記念イベントを実施。株式会社BookLive代表取締役社長の淡野正氏が、「海外勢も日本に参入し、これから本格的な競争が始まる」とした上で、「今日は、飛ぶ鳥を落とす勢いのピースのお二人の協力を得て、本の魅力を伝えたい」としてトークセッションを行った。

株式会社BookLive代表取締役社長の淡野正氏
ピースの又吉直樹さん(左)、綾部祐二さん(右)

 紙の書籍を3000冊収納した本棚を持ち歩くことは不可能なのに対して、Lideoであれば電子書籍約3000冊を持ち歩けるという。本好き芸人として有名なピースの又吉直樹さんは、「こんな便利なことはない。たいへんなんですよ、本をいっぱい持ち歩くのは……」とコメント。また、約170gのLideoがどのぐらい軽いか、「鎖骨3本分くらい」と表現した。さらに、BookLive!の取り扱い電子書籍が約9万5000冊に上る点について「もう本屋ですもんね。(手の中に)本屋がある」として、本好きにとってLideoが魅力的であることをアピールした。

 一方、熟女好きとして知られるピースの綾部祐二さんは、小説などのテキストベースの電子書籍だけでなく、写真集の電子書籍もLideoで利用できることから、「すっごいお色気のある熟女の写真集も見られるんですよ。やっぱり見ちゃいました。画像もきれいでお勧めでございます。(書店だと手に取りづらいという人もいるが)これなら誰にも見つからずにこっそり見ることができる」とした。

 これを受けて淡野社長は、他社の電子書籍端末ではダウンロードできる電子書籍をテキストベースのものに限定しているところもあるが、Lideoではコミックや写真集といったデータ容量の大きいコンテンツも通信料無料でダウンロードできるとアピールした。

株式会社三省堂書店専務取締役の亀井崇雄氏
三省堂書店神保町本店・店長の副田陸児氏

 株式会社三省堂書店専務取締役の亀井崇雄氏もあいさつし、「紙の書籍の販売をなりわいとしている人間にとって、Lideoは、本好きのお客様に自信を持ってお勧めできる端末。Lideoに触れば電子書籍がより身近になり、より濃密な読書体験が提供できる」とコメント。「デジタルとアナログはお互い相いれない関係と思われがちだが、Lideoを販売することで、紙の書籍はもちろん、電子書籍を含めて相互的な読書体験を提案するためにBookLiveと強力なタッグを組みながら新しいことにチャレンジしていきたい。これからも三省堂書店の店頭に注目いただければ」とした。

 発売記念イベントではこのほか、三省堂書店神保町本店で最初のLideo購入予約者だという26歳の男性に、ピースの二人からLideoが手渡された。

ピースの本棚

 Lideoの発売に合わせて、BookLive!で提供している電子書籍の中から、ピースの二人と三省堂書店の店員、BookLive!のスタッフがお勧めするタイトルを書評とともに紹介するウェブサイト「ピースの本棚」を開設した。公開期間は2013年3月末までの予定で、全100冊の書評を店頭POP風に掲載していく。

 現在、又吉さんは京極夏彦の小説「姑獲鳥の夏」や歌人・穂村弘のエッセイ「もうおうちへかえりましょう」、綾部さんがコミックや杉本彩写真集「快楽至上主義」などを紹介している。

ピースの二人が書いた書評の例

(永沢 茂)