特別企画
“日本のブログ元年”から14年、SNSに負けじと進化した新旧ブログサービス4選
2017年2月24日 10:00
自分の体験・知識をシェアする場として、現在最もポピュラーなのがSNS。今この瞬間も、仕事中のちょっとした気付き、仲間と語らえる喜び、あるいは愚痴などがやりとりされていることでしょう。
一方で、SNSならではの限界はあります。「もうちょっと長い文章を書きたい」「写真をたくさん使いたい」――そんな時こそブログの出番です。新旧4事業者のサービスを通じて、2017年のブログ事情を探ってみましょう。
2003年、ブログ創世記を彩ったサービスは……
日本でブログが注目を集めたのは2000年代前半のこと。それまで個人がホームページを作成するには、HTMLやFTPに関する知識がどうしても必要でしたが、ブログはそれを過去のものにしました。指定のサイトからログインして、フォームに本文を入力するだけですぐページが公開されるのは、当時極めて画期的でした。
さて、「日本における“ブログ元年”はいつ?」かと聞かれると、その答は意外と難しいところ。ただ、本稿ではあえて「2003年」と断言します。というのも、国内事業者によるサービスが相次いだ年だったから。その代表格がこちらです。
ライブドアブログ
http://blog.livedoor.com/
2003年12月に正式版がスタート。当時のINTERNET Watchの記事(2003年12月19日付記事『エッジ、Blogサービス「livedoor Blog」を正式に開始』)を振り返ってみると、無料プランの保存容量はなんと30MB(少ない!)。また、運営会社が「エッジ株式会社」なのが懐かしいです。
2003年末は、ライブドアブログ以外にも「ココログ」や「Seesaa ブログ」の運営が始まりました。こういった経緯から、本稿では2003年を“日本のブログ元年”、そして2017年を“日本のブログサービス誕生から14周年”とさせていただきました(異論歓迎)。
ライブドアブログはリリース15年目を迎えてなお元気に運営中。最近の大きなトピックは「完全無料化」。もともとは機能に応じて複数の料金プランを用意していましたが、これを無料に一本化。広告をPC向けには非表示(スマホ閲覧時は表示)、保存容量を無制限とするなど、機能面でもがんばっています。
意外と早かったSNSの台頭
10年以上の歴史を誇るブログサービスはこのほかにもあり、例えば「アメーバブログ」は2004年9月、「FC2ブログ」は同年10月にベータ版がオープンしています。
ただ、ブログの興隆に影響を与えたのはSNS、とりわけ日本では「mixi」であったでしょう。今回調べてみてビックリしたのですが、mixiが招待制でサービスを開始したのは2004年前半のこと。国内主要ブログサービスのスタート時期とそれほど変わらないのです。
SNSとしてのmixiの躍進(と収れん)は、ご記憶の方も多いでしょう。2006年には新語・流行語大賞のトップテンに「ミクシィ」が入っています。また、Twitterが米国で産声を上げたのは2006年ですが、2008年4月に日本語版も始まりました。そして2011年3月11日の東日本大震災を経て、SNSが“社会インフラ”として捉えられるケースも増えました。
この時点ですでに“ネットサービスの主役”としての座は、ブログではなく、SNSにありました。とはいえ、「はてなブログ」のような新サービスも登場しています。
はてなブログ
http://hatenablog.com/
2011年11月に招待制ベータ版が公開され、2013年1月に正式版へと移行。運営元のはてなは2003年初頭から「はてなダイアリー」というブログ風サービスを運営していましたが、それとは別物で、現在も併存しています。
2010年代になってから再設計されたプラットフォームということもあり、ユーザーインターフェースやサイトデザインは「はてなブログ」のほうが全体的に洗練されています。スマホ向けの記事投稿アプリの存在、画像に関する制限など、機能面でも有利。写真アップロード容量が月3GBまでに拡張される「はてなブログPro」は月額1008円(税込)から。
“SNS中心時代”のブログも誕生
2012年のロンドンオリンピック・パラリンピックに際しては“ソーシャリンピック”という言葉も生まれました。SNSの存在感が極めて高い時代性を物語っています。
そのSNSも常に変革を繰り返しています。Twitterは当初、外部サービスを利用しなければ画像をアップロードできませんでした。それが今やInstagramを筆頭に、画像はおろか動画投稿も当たり前。その変遷には改めて驚かされます。
そういった具合で、ブログもまた“圧倒的存在としてのSNS”を踏まえつつ、進化しています。2016年には国内で少なくとも2つの新サービスが誕生しています。
g.o.a.t(ゴート)
https://goat.at/
KDDIウェブコミュニケーションズ運営。写真SNS「Instagram」に代表されるビジュアル志向を反映して、画像にこだわったブログを作成できるのが特徴。各ブログの記事一覧ページでは、画像をブラウザーの幅一杯に表示され、なかなか鮮烈な印象を受けます。
“SNS全盛期のブログサービス”を感じさせるのが、やはりフォロー/フォロワーの概念があること。PV(ページビュー)数とはまた別のモチベーションを得るのに効果的かも?
LINE BLOG
http://www.lineblog.me/landing/
2016年にスタートした、もう1つの国内新規サービス。芸能人・著名人限定のブログとして発足しましたが、同年11月に大幅リニューアル。一般ユーザーでも利用できるようになりました。なお、前述のライブドアブログは現在、LINE株式会社の元で運営されており、LINE BLOGとは実質的に姉妹サービスと言えます。
非常に割り切った仕様となっており、現状ではブログ開設・記事更新に専用のスマホアプリが必須。つまり、PCからは一切編集できません(PCからの閲覧は可能)。ただ、それだけにすぐブログを始められるとも言えます。恐らくは「長文じゃなくていいし、気軽に投稿できるよ!」というのが、開発者の願いなのでしょう。
時代に合わせてブログも変化し続ける――かつて作った「休眠ブログ」も有効利用しよう
以上、日本におけるブログサービスの歴史を振り返ってみました。一口にブログといっても、その誕生時期や開発哲学によって、機能や性質には大きな違いがあります。ブログ誕生初期には「トラックバック」「RSS」などの機能が欠かせませんでしたが、近年はむしろスマートフォンやSNSとの親和性が重要になっています。
とはいえ、ブログの魅力として一貫しているのが、自由度の高さ。ブログにはTwitterのような140字制限はないので、どんな長文でも原則OK。サイトそのもののデザインも比較的自由にカスタマイズできます。
今回紹介した4つのブログサービスはどれも個性的で一長一短ありますが、一度試してみてほしいのはLINE BLOGでしょうか。「ブログって自由度が高すぎて何から始めていいか分からない」「作っても結局更新しなくなっちゃう」という声に、真っ向から対峙してきた印象で、一度使えばよい意味で驚かされると思います。
また、何年も前に作って放っておいたブログがある方は、再ログインしてみるのもオススメです。記事の入力・編集画面がパワーアップしている可能性が高く、新鮮な気持ちで向かい合えるでしょう。
特に最近は、スマホで撮影した画像を自動でクラウドに保存する「Google フォト」のようなサービスがあるので、写真付き記事をPCから書くのが劇的にラクになりました。それこそスマホアプリも増えるなど、ブログを取り巻く状況は一変しています。これを機に“休眠ブログの棚卸し”をしてみては?