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いま最強の無線LANルーターは? 〜450Mbps対応の無線LANルーター3製品の実力を比較する


 新製品の発売や対応子機の追加などで、各メーカーのラインナップが充実してきた450Mbps対応の無線LANルーター。無線LANの導入や買い換えを検討しているユーザーにとっては気になる存在だ。大手3メーカーの製品を取り上げて、その実力を比較してみた。

あらゆる機器を快適につなぐために

 今やPCだけでなく、テレビやレコーダー、ゲーム機などの家電製品、スマートフォンやタブレットなどの情報端末など、幅広い機器を接続するために欠かせない無線LANルーター。スマートフォンで利用するために新規導入を検討していたり、テレビとレコーダーを連携させるために、より高速な無線LANルーターへの買い換えを検討している人も少なくないことだろう。

 無線LAN接続機能を備えたAV機器が普及しつつある中、注目度が高くなってきたのが、今年に入って製品化された、450Mbpsという高速な通信に対応した無線LANルーターだ。

今回検証した、450Mbpsの通信に対応したNECアクセステクニカの「AtermWR9500N」、バッファローの「WZR-HP-G450H」、ロジテックの「LAN-WH450N/GR」

 無線LANでは、同一空間上で、同一周波数の電波を複数同時に伝送することができる「MIMO(マイモ:Multi Imput Multi Output)」と呼ばれる技術を採用することで通信速度の向上が図られてきたが、450Mbps対応製品では、このMIMOによる同時通信をこれまでの2ストリーム(300Mbps)から3ストリームへと増やすことで高速化を実現している(通信幅を40MHz使うデュアルチャネルや倍速と呼ばれる技術も併用)。

 もちろん、これまでの300Mbps対応製品でも、映像配信サービスや家電の連携機能を楽しむには十分な速度を実現できたのだが、450Mbps対応製品を利用すれば、より高品質の映像を楽しめたり、より遠い場所でも従来より速度低下を抑えられるというわけだ。

 では、実際にどのような製品を購入すればいいのだろうか? そこで、今回は、NECアクセステクニカの「AtermWR9500N」、バッファローの「WZR-HP-G450H」、ロジテックの「LAN-WH450N/GR」という家電量販店の店頭でもよく見かける450Mbps対応の3製品を揃えて、スペックや実際の通信速度を比較してみた。

 

3製品をスペックで比較する

 最初に各製品のスペックから見ていこう。以下に、各製品の実売価格と基本機能を表にまとめてみた。

各製品の実売価格と基本機能
  NECアクセステクニカ
AtermWR9500N
バッファロー
WZR-HP-G450H
ロジテック
LAN-WH450N/GR
実売価格 1万4400円 1万1090円 9880円
映像再生モード
省電力機能
簡易NAS
メディアサーバー
Webカメラ
デバイスサーバー
USBデータカード
リモートアクセス
Wake On LAN
PPTP VPN
スマートフォン対応
(簡易NAS/Webカメラアプリあり)

(接続アプリあり)
ウェブフィルタリング
BitTorrent
※価格は11月17日時点のヨドバシ.comサイトの価格

 まず、注目したいのは、やはり価格だ。今回の3製品の中では、バッファローのWZR-HP-G450HとロジテックのLAN-WH450N/GRが実売1万円前後となっているが、NECアクセステクニカのAtermWR9500Nは、これらに比べて数千円高い価格になっている。

 この差は、対応する規格と後述する付加機能の違いと考えればいいだろう。AtermWR9500Nは、2.4GHz帯のIEEE802.11n/b/gと5GHz帯のIEEE802.11n/aの同時通信に対応しているが、バッファローのWZR-HP-G450Hは、2.4GHz帯のIEEE802.11n/b/gのみの対応となっている。

 一方、ロジテックのLAN-WH450N/GRは、対応する規格はAtermWR9500Nと同じIEEE802.11n/a/b/g同時通信対応だが、付加機能がほとんどないシンプルな構成の製品となっている。

 3製品の中で、もっとも付加機能が豊富なのはバッファローのWZR-HP-G450Hで、簡易NAS機能やメディアサーバー機能に加え、USBプリンターやスキャナなどを無線LAN経由で利用できるデバイスサーバー機能、外出先からVPNアクセスするためのPPTPサーバー機能などまでも搭載している。

 NECアクセステクニカのAtermWR9500Nも、ここまで多機能ではないものの、NASの代わりとして使ったり、スマートフォンなどで外出先からアクセスするための機能などもしっかりと搭載されているが、ロジテックのLAN-WH450N/GRは、省電力機能が搭載される程度、あくまでも通信機器としての役割しか持たない。

 つまり、この差が価格に現れているわけだ。実際に購入するときは、単純に価格だけを見るのではなく、対応する規格や機能をしっかりと確認することが大切と言える。無線LANルーターとしてだけ使えれば十分なのか、付加機能が必要なのかを事前に検討しておこう。

 

アンテナは内蔵か、外部アンテナか

 続いて、外観をチェックしていこう。サイズについては、前掲したスペック表にも記載されているが、バッファローのWZR-HP-G450HとロジテックのLAN-WH450N/GRはほぼ同等だが、若干、LAN-WH450N/GRが小さい印象。NECアクセステクニカのAtermWR9500Nが、これより一回り小さいサイズとなっている。

 ただし、実際に並べて見ると、アンテナによって、それぞれの製品でスペック以上の違いがあることがわかる。

NECアクセステクニカのAtermWR9500Nと付属の子機(同じAtermWR9500N)。アンテナ内蔵でスッキリした外観
バッファローのWZR-HP-G450Hと対応子機(WLI-UC-G450)。本体は長めの3本のアンテナが両端と中央に配置されている
ロジテックのLAN-WH450N/GRと対応子機(LAN-W450AN/U2)。折りたたみ式のアンテナを搭載

 NECアクセステクニカのAtermWR9500Nは、アンテナが本体に内蔵されているため、外部に出っ張りがほとんどないが、WZR-HP-G450HとLAN-WH450N/GRは、巨大なアンテナが強く存在感を主張する。

 これは、少しでも電波の受信感度を高めるための工夫であり、たとえば3階建ての住宅などで上方向の感度を高くしたいなどといったときなどにアンテナの向きを変えられるというメリットがある。

 もちろん、アンテナ内蔵のAtermWR9500Nも内部のアンテナの配置やチューニングによって、内蔵でも高い無線LANの受信状況が得られるように工夫されている。また、後述する速度テストでも内蔵による明確なデメリットは見受けられない。

 よって、見た目を重視するなら内蔵タイプのAtermWR9500N、受信方向の調整などをしたいというのであれば外付けアンテナのWZR-HP-G450HとLAN-WH450N/GRという選択になるだろうもちろん、見た目で外付けアンテナを選んでもかまわないのだが、居間にあるテレビやゲーム機の脇に設置するのであれば、内蔵の方がすっきり収まるだろう。設置場所もあらかじめ決めてから選びたいところだ。

 なお、3製品とも付属の台座を利用することで、縦置きに加えて、壁掛けでの利用も可能になっているので、さまざまな場所に設置可能だ。それに加えて、アンテナを内蔵したAtermWR9500Nでは、横置きも可能となっている。

 

パフォーマンスをチェック

 最後に、パフォーマンスについて見ていこう。なお、パフォーマンスについては、筆者宅(木造3階建て住宅)という限られたケースでの計測になるため、あくまでも参考程度に考えて欲しい。特に2.4GHzの無線LANに関しては、周辺の無線LAN利用状況が値に大きく影響するため、環境によって結果が異なる場合があることをあらかじめお断りしておく。

 まずは、有線のパフォーマンスから見ていこう。無線LANルーターのWANポートにサーバー、LANポートにPCを接続して、FTPによる計測をしたのが以下のグラフだ。


有線スループットの比較(Mbps)
  NECアクセステクニカ
AtermWR9500N
バッファロー
WZR-HP-G450H
ロジテック
LAN-WH450N/GR
Down 917.74 653.27 308.55
Up 815.77 630.02 316.57
※サーバー:Core i7 860/RAM8GB/HDD2TB
※クライアント:ThinkPad X1
(Intel Core i3-2310M 2.1GHz/RAM2GB/HDD320GB/Ultimate-N 6300/Windows7 Professional 64bit)
※WAN側にサーバーを接続し、LAN側のクライアントから1GBのファイルをFTPで転送して計測

 結果を見ると、AtermWR9500Nがかなり優秀だ。200Mbpsまでの光ファイバーで利用するのであれば、いずれの製品も問題ないスループットを実現できているが、1Gbpsの回線で利用する場合は、より高速な製品を選んでおくことをおすすめしたい。

 続いて、無線LANのパフォーマンスを計測した。筆者宅の1階に無線LANルーターを設置し、FTPサーバーのみを有線LANで接続。1〜3階の各フロアで無線LANのクライアントからFTPによる計測を実施した。

 なお、各製品とも基本的に標準設定のまま利用することを前提にしているが、バッファローのWZR-HP-G450Hに関しては、40MHz幅を利用する倍速モードが標準で無効になっているため、これを有効に設定した。

 また、NECアクセステクニカのAtermWR9500Nは、利用する無線LANのチャネルを自動的に設定するモードが標準で有効になっているが、筆者宅の環境では、オートモードのままではどうしても2.4GHz側でデュアルチャネルを確保することができなかったため、2.4GHzのみ手動でチャネルを設定した。

 このほか、いずれの製品も、公開されている場合は、最新のファームウェアを適用してから計測した。また、クライアントに関しては、無線LANモジュールの相性などもあるため、同一メーカー製の対応子機に加え、ThinkPad X1(Intelチップ)、MacBook Pro(Broadcomチップ)の3製品で計測してある。

 大きくて見にくいグラフで申し訳ないが、以下がその結果だ。


FTPによるファイル転送の比較(Mbps)
製品名 子機 帯域 Up/Down 1F
(Mbps)
2F
(Mbps)
3F
(Mbps)
NEC
AtermWR9500N
MacBook Pro 2.4GHz Down 95.46 91.77 71.30
Up 81.12 61.40 55.36
5GHz Down 232.87 101.25 65.26
Up 133.71 72.65 49.16
ThinkPad X1 2.4GHz Down 94.36 80.51 64.40
Up 81.75 67.86 54.38
5GHz Down 101.97 87.19 63.51
Up 101.70 81.40 53.43
対応子機
(AtermWR9500N)
5GHz Down 172.30 117.66 111.57
Up 153.61 114.72 105.80
バッファロー
WZR-HP-G450H
MacBook Pro 2.4GHz Down 105.36 103.85 81.54
Up 96.80 87.66 64.59
ThinkPad X1 2.4GHz Down 92.23 91.32 83.06
Up 78.61 76.33 71.00
対応子機
(WLI-UC-G450)
2.4GHz Down 113.65 83.81 51.05
Up 96.6 78.61 50.50
ロジテック
WZR-HP-G450H
MacBook Pro 2.4GHz Down 61.91 45.72 32.38
Up 70.88 40.27 28.19
5GHz Down 141.18 68.53 12.42
Up 103.68 57.46 24.24
ThinkPad X1 2.4GHz Down 90.20 75.69 46.29
Up 94.61 62.53 41.72
5GHz Down 92.23 82.68 53.91
Up 89.31 69.40 35.88
対応子機
(LAN-W450AN/U2)
5GHz Down 123.57 86.92 62.31
Up 127.25 72.95 51.99
※サーバー:Core i7 860/RAM8GB/HDD2TB
※クライアント:ThinkPad X1
(Intel Core i3-2310M 2.1GHz/RAM2GB/HDD320GB/Ultimate-N 6300/Windows7 Professional 64bit)
※クライアント:MacBookPro 2011
(Intel Core i5 2.3GHz/RAM8GB/HDD320GB/Broadcom BCM43xx/Mac OS X Lion)
※サーバー上に作成した4GBのRAMDISK上に100MBのテキストファイルを保存し、FTPでファイル転送した際の速度を計測

 結果を見ていこう。まず、全体的に100Mbpsを超える値が計測できており、場合によっては150Mbps以上、200Mbpsを超える値が見える点に注目したい。このあたりの性能の高さは、さすが450Mbps対応製品といったところだ。

 中でも注目したいのは、AtermWR9500Nの結果だろう。MacBook Proを利用した際の5GHz帯の値は232.87Mbpsと断トツの値で、実際にテストをしていても100MBのファイルがあっという間に転送される印象だ。

 また、同じく、AtermWR9500Nで、対応子機(コンバーターモードのAtermWR9500N)を使った結果も圧巻だ。最高速度こそ170Mbps前後とトップは譲ったものの、2階だけでなく、3階でも100Mbpsオーバーの通信ができている。

 確かに、5GHz帯は、2.4GHz帯と違って、そもそも利用できる帯域が広いうえ、現状、周辺にまったくと言って良いほどアクセスポイントが存在しない”ガラガラ”に空いている環境だが、それにしてもここまでパフォーマンスが出ることは驚きだ。今回の製品の中では、この組み合わせが、もっとも安定して高いパフォーマンスを実現することができた。

 一方、混雑している2.4GHzの影響を受けたのがバッファローのWZR-HP-G450Hだ。結果としては、100Mbpsオーバーも計測できているうえ、3階でも50Mbps以上、クライアントによっては70〜80Mbpsの通信ができているので、結果としては優秀なのだが、いかんせん混雑している2.4GHz帯では実力を出し切れていない印象だ。

 ロジテックのLAN-WH450N/GRに関しては、対応子機を使った値は最大で120Mbps超、2階、3階の結果も80Mbps、60Mbps前後と優秀だが、他のクライアントを使った結果がふるわかなった。特にMacBook Proとの相性があまり良くないのか、近距離では高いパフォーマンスが出るものの3階に移動すると極端に速度が低下し、場所によっては通信が安定しない状況も見られた。

 また、LAN-WH450N/GRは、アンテナの調整によって結果が大きく異なる状況も見られた。今回は近くでパフォーマンスが最も高くなるように調整したことが結果に出ている可能性もある。外部アンテナの場合、どこにある端末に向けて向きや角度を調整するのかが、実は非常に難しい。実際に製品を購入する場合は、後で調整する手間を惜しまないことが大切だ。

LAN-WH450N/GRでアンテナを広げた様子。開き方やクライアントの場所によって速度差が出やすい

 ちなみに、相性によると思われる影響は、他の機種でも見られた。AtermWR9500NはIntelチップのThinkPad X1の性能が押さえられ気味な一方、WZR-HP-G450HではThinPad X1の結果が安定して高いなどの結果も見られた。

 基本的には、同一メーカーの対応子機を使うのがもっともパフォーマンスが出るので、どうしても速度が必要な場合は、多少、価格が高くなっても対応子機を手に入れておくのが幸せだ。

 特に、AtermWR9500Nはのようなコンバータータイプの子機は、リビングなどに設置したテレビ、レコーダー、ゲーム機となどの複数台の機器を安定して、高速に接続することができるため、利便性を考しても良い組み合わせだと言える。

 

パフォーマンスと機能のバランスを考慮して選ぼう

 以上、450Mbps対応の無線LANルーター3製品を実際に検証してみたが、まとめると価格ではロジテックLAN-WH450N/GR、デザインでは好みはあるもののNECアクセステクニカAtermWR9500N、付加機能ではバッファローWZR-HP-G450H、パフォーマンスではAtermWR9500Nが有利という印象だ。このため、どの部分を重視するかで製品を選ぶことが大切と言える。

 とは言え、価格のみで選ぶなら、割り切って安い300Mbps対応の製品を選ぶ手もあるため、やはり450Mbpsのメリットを考えると、AtermWR9500NかWZR-HP-G450Hのいずれかが有力な候補となる。

 周辺の2.4GHz帯の利用状況が悪くないなら付加機能が豊富なWZR-HP-G450Hが面白いが、将来を考えるとやはり5GHz帯で高いパフォーマンスが出せるAtermWR9500Nを選ぶメリットが高そうだ。

 いずれにせよ、450Mbps対応無線LANルーターは、今後のスタンダードとなることは間違いないので、自分のニーズをよく考えて製品を選ぶようにしたいところだ。




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(清水 理史 )

2011/11/18 00:00