本連載では、中国のネット関連ニュース(+α)からいくつかピックアップして、中国在住の筆者が“中国に行ったことのない方にもわかりやすく”をモットーにレポートしていきます。
■中国政府「健全なネットカフェ構築を目指した計画」実施へ【10月28日】
中国文化部が「ネットカフェはかくあるべき」を明示した計画「ネットカフェ産業デジタルコンテンツ昇格B計画」が開始された。この計画はネットカフェの各PC端末で見ることができるコンテンツについての海賊版対策のルールで、中国文化部の推薦するコンテンツベンダーの正規コンテンツをネットカフェで提供すべしというもの。これを守っていないことが発覚した場合、最悪そのネットカフェは閉鎖となる。
B計画というくらいだからA計画もある。B計画がソフト面ならば、A計画はハード面のルールだ。A計画(ネットカフェ産業デジタルコンテンツ昇格A計画)は、ネットカフェで利用されるPC端末はかくあるべきという計画で、様々な条件を満たすレノボなど著名PCメーカーのネットカフェ専用PCの利用を推奨するというもの。ネットカフェPCの条件に合わないPCをネットカフェで導入していることが発覚すると、処罰の対象となる。しかし、実際にはネットカフェでは非メーカーPCを利用していることが多く、ルールを守るならば、多くのネットカフェでPC端末の交換が必要になる。
ちなみにC計画、D計画、E計画というものもある。C計画はネットカフェのデジタルコンテンツ整合計画、D計画はネットカフェスタッフの資質向上、E計画は貧困地域のネットカフェのサービス向上というもの。
■中国政府、ネット上の海賊版コンテンツとcnドメイン名にメス【10月30日】
映画コンテンツ、ソフトウェア、音楽コンテンツ、教科書など海賊版コンテンツを公開しているサイトは数え切れないほどあるが、10月30日に海賊版コンテンツをアップロードする悪質な業者を取り締まるべく、国家版権局、情報産業部、商務部の連携で北京、上海、浙江省など19の地区で取締りが一斉に行なわれた。
また、中国情報産業部は11月15日からの半年間、法にそぐわない名前のドメインや、悪意のある名前のドメインを整理すると発表した。11月7日から12月1日まで、ドメインを管理する組織自身がチェックする期間で、12月中旬よりドメイン代理取得業者と、ドメイン名自身をチェックする。ちなみに、ここでいう“悪意の有る名前のドメイン”とは、後に転売するために取得したドメインを指している。
■大人気のメッセンジャーソフト「QQ」のバーチャルマネーで論争【11月6日】
中国では、パソコン普及を促進したといっていいほどの人気があるインスタントメッ
センジャーソフト「QQ」。このQQで使用されるバーチャルマネー「Q幣」を巡って論
争となっている。QQの登録ユーザー数は5億7,230万人と非常に多いため、バーチャル
マネーとはいえ、Q幣の利用者も膨大な数になる。「Q幣が出回ることで、流通量をコ
ントロールしているリアルマネーの人民元に影響を与えかねない」という専門家の発
言が論争のきっかけとなり、各ニュースサイトが各々の意見を述べている。実際、す
でにオークションサイトでは人民元とQ幣のトレードが頻繁に行なわれている。
■中国電信の地方Webサイトでネット賭博サービス【11月14日】
賭博サイトは中国ではアダルトサイト、政治関連のサイトと並んでご法度だ。ところが、日本で言えばNTTにあたる中国電信の地方サイト、広東省の「広東電信」サイトがネット賭博のサービスを行なっていたことが明らかになった。この賭博サービスは「中国遊戯中心」という名で、麻雀や中国将棋など数種のゲームを提供。ゲーム内のバーチャルマネーを掛け、ゲーム終了後、掛けた額の2~10%をシステムが徴収する仕組みだった。
■中国最大のポータル「新浪網」、動画コンテンツに注力【11月15日】
中国3大ポータルサイト(新浪網、捜狐、網易)の2つが著作権のある動画コンテンツ配信に注力した。動画コンテンツではNBAやワールドカップのオンライン配信権を持つ捜狐が一足先に進んでいたが、この土俵に3大ポータルサイトのトップである新浪も踏み込んだ。新浪は11月15日に、中国のオンライン動画コンテンツベンダーの東方衛視と提携を結び、東方衛視の映像ニュースなどのコンテンツを新浪で配信することが決まった。
中国3大ポータルの2つが動画コンテンツに移行したことで、網易や他の大手ポータルサイトをはじめ、地域に特化したポータルサイトも動画コンテンツに力を入れ、ひいては中国インターネット全体のトレンドが動画コンテンツ配信に移行していく可能性を指摘する声もある。
■中国最大の検索サイト「百度」が海外市場進出【11月16日】
中国のIT系ニュースサイト「天極網(ChinaByte)」によると、百度は中国だけにとどまらず、近々海外にも進出するのだそうだ。まずは香港、台湾、それに華僑の多い東南アジアをターゲットに繁体字版百度を出すという。この海外進出第一弾が成功した場合、さらに韓国や日本への進出も考えているそうだ。
(12月5日追記)原稿執筆時点ではまだ発表されていなかったが、この原稿が掲載される前日、12月5日に百度の日本進出が正式発表された。2007年にサービス開始予定だ。詳しくは、12月5日付けのニュース記事を参照していただきたい。
■アダルトサイト管理人に無期懲役の判決【11月23日】
本連載の8月と9月の回でも紹介した、中国一のアダルトサイト管理人の裁判で判決が下りた。山西省太原市中級人民法院は、アダルトサイト管理人であった被告に、無期懲役と罰金10万元(150万円強)と終身の政治権利の剥奪という、日本の感覚からすれば非常に厳しい判決だ。また、同サイトに関わった他の8人についても、懲役1年~1年1カ月の刑が申し渡された。
■YouTube似サイトの大量の立ち上げに警鐘【11月27日】
中国のリサーチ企業iReaserchは、2006年の中国オンライン動画市場規模は5億元(75億円強)に達し、2010年には34億元に達するだろうという調査結果を発表した。
中国でオンライン動画というと、動画配信サイトも若干はあるが、牽引役は動画共有サイトだろう。現在、デザインから機能までYouTubeに似た中国語の動画共有サイトが雨後の竹の子のように出てきている。いくつかの中国のニュースサイトは、動画共有サイトが競争が激しい中で生き残るために客集めに必死で、海賊版のアダルトな動画や、中国のタレントのスキャンダル動画など非道徳的なコンテンツを配信しており、好ましくない状態になっていると警鐘を鳴らす。
■北京で全てのネットカフェに監視カメラを設置へ【11月28日】
北京市が発表した第11次五カ年計画情報化工作計画の中で、ネットカフェのオーナーがネットカフェを有効的に運営するために、北京の全てのネットカフェに監視カメラを設置し、リアルタイムにネットカフェ内をチェックすることが明らかになった。
中国3大ポータルサイトのひとつ「捜狐( http://www.sohu.com/ )」は、この発表を受け、同サイト上で読者を対象にアンケートを行なった。「北京のネットカフェの監視を支持する?」という質問では「支持する」「わからない」が4割弱を占め、「支持しない」との回答した人数を上回った。
また、「監視カメラの設置は有効か」という質問では「わからない」が4割強と最も多く、「有効」「有効でない」の回答はそれぞれ3割弱だった。「ネットカフェ管理に最も良い方法は?」という質問では、「利用時に実名で登録する」が最も多く4割弱で、今回話題となった「監視カメラなどによる管理」は1割強に留まっている。
■人気ソフトのニセモノ最新版が出回る【11月29日】
日本では、セキュリティソフトや、オフィスソフトで知られるキングソフトの中国本社「金山軟件」がリリースする人気の辞書ソフト「金山詞覇」のニセモノの最新版が、ダウンロード専門サイトにアップされた。金山軟件はダウンロードしないように注意を促しているが、既に100回以上のダウンロードが確認されている。
金山軟件がリリース予定の「金山詞覇2007」は12月上旬にリリース予定。既にネットでアップされたニセモノの「金山詞覇2007」の中身は旧バージョンにトロイの木馬が仕込まれたものだという。
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山谷剛史の海外レポート
http://internet.watch.impress.co.jp/static/others/travel/060126/index.htm
中国のネット人口は1億2,300万人、回線はADSLが主流に
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/07/21/12742.html
ワールドカップで盛り上がった中国インターネット
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/special/2006/07/19/12688.html
(2006/12/06)
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山谷剛史(やまや・たけし)
海外専門のITライター。カバー範囲は中国・北欧・インド・東南アジア。さらなるエリア拡大を目指して日々精進中。現在中国滞在中。
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