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山谷剛史のマンスリー・チャイナネット事件簿
2008年9月

 本連載では、中国のネット関連ニュース(+α)からいくつかピックアップして、中国在住の筆者が“中国に行ったことのない方にもわかりやすく”をモットーに、中国のインターネットにまつわる政府が絡む堅いニュースから三面ニュースまで、それに中国インターネットのトレンドなどをレポートしていきます。


リーマンブラザーズ経営破たんで中国IT企業にも影響

 リーマンブラザーズは中国のIT企業の株を持っていたため、リーマンブラザーズの経営破たんの影響は、中国のIT企業にも波及しつつある。

 同社は百度の発行株のうち1.7%にあたる約60万株を所有、またオンライン旅行予約サービス最大手の携程旅行網の発行株のうち3.46%にあたる約230万株を所有していた。また前者ほど割合は大きくないが、レノボ、キングソフト、通信キャリアの中国電信や中国移動などの株を所有していたとされる。

 中国の外資のベンチャーキャピタルやプライベートエクイティ(非公開株式投資グループ)も中国のハイテク企業に投資しているが、中国メディアの分析では、ハイテク企業の影響は軽微で、むしろ不動産や株価に大きな影響が出るだろうとしている。


毒粉ミルク事件はインターネットでも大きな話題に

 三鹿集団のメラミンが混入した毒粉ミルク事件はインターネット上でも大きな話題となった。

 事件発覚後、三鹿集団のWebサイトに対するハッカーの攻撃は絶えることがなく、「三鹿集団」のページが「メラミン集団」というページに書き換えられたこともあった。

 また、事件が起きてから、三鹿集団が百度に対して、三鹿集団のネガティブなニュースを表示しないよう懇願したことが漏れ、火に油を注ぐ形になった。300万元(約4700万円)を投じて百度に検索結果を操作してもらおうという、三鹿集団の内部文書が漏れ、三鹿集団と百度の双方に多くのメディアが真実の確認を迫った。百度は三鹿集団から2度にわたって依頼があったことを認めたが、依頼を拒絶したことを明らかにした。

 一方淘宝網では、事件発覚後も三鹿集団の粉ミルクを扱う店(ほとんどは個人)が800店もあることを受け、淘宝網はすべての三鹿集団の商品を強制的に撤去したと発表、安全性を重視していることをアピールした。


百度vs淘宝網の対決を想像してし勝手に盛り上がる

 検索最大手の百度とオンラインショッピング最大手(C2C:ヤフーオークションのような個人対個人取引)の淘宝網が、泥沼の対決劇をしているという作り話が中国のインターネットを駆けめぐり、メディアやユーザーたちは下馬評で盛り上がった。両社とも知名度が非常に高い企業で、かつ中国では企業同士の中傷合戦がたびたび起こることから、インターネット界の巨人同士がぶつかっているとして、多くのメディアがこれを取り上げた。だが、実際それは作り話でしかなかった。

 きっかけは、百度で適当な商品名をキーに検索しても、淘宝網で扱われている商品が検索結果で出てこないことだった。先に種明かしをしてしまうと、これは、淘宝網が百度の検索アルゴリズムや検索広告を悪用した悪質な業者への対策のため、淘宝網サイトのソースコードに、baiduspiderを受け付けないようなrobots.txtを設置していたのが原因だった。

 しかし、淘宝網が業界1位となっているオンラインショッピング市場に、百度が淘宝網と同じC2Cに参入する予定で、さらに百度の第三者支払いサービス「百付宝」も発表したため、ゴシップ好きな一部のインターネット利用者の間で、百度vs淘宝網の噂が駆け巡ったというわけだ。

 「百度が淘宝網に勝つために嫌がらせをした」「淘宝網が百度とライバル関係となるから、baiduspiderを受け付けないよう対処した」などなど、さまざまな憶測が飛び、ついには多くのインターネットメディアが両社の対決を煽るまでに至った。

 実際には、淘宝網のbaiduspiderを受け付けない対処に対しても、百度は「問題ない」とコメント、また百度のC2C参入に対しても淘宝網はウェルカムだとしており、両社の関係はとくに悪化した事実はなかった。

 結果的にまったく現実とはかけ離れた噂で無駄に盛り上がってしまったことになるが、騒ぎになったのは、傍観者の野次馬根性だけが原因ではない。多くのインターネット利用者が淘宝網でモノを転売するビジネスをしており、出品者として、自分の出品が百度の検索結果に出ないことに不満を持ったことも話をややこしくしている。

 ちなみに9月には、大手ポータルサイトの捜狐も、同社のブログサービスのみ、「Googlebotとbaiduspiderを受け付けない」とする方針を発表。担当者は、「捜狐のブログサービス利用者は、SNSのように使っていることから、検索サービスは不要」と判断したとのコメントを発表した。


AOL、2度目の中国での事業を開始

 AOLが9月9日に中国サイトをスタートさせた。AOLの中国進出は2度目となる。1度目は中国のインターネット利用者が現在(2億5000万人:6月末現在)の10分の1程度である2千万人台だった2001年のこと。2億ドルを投じて、中国企業とサイトを共同運営したが、2年後中国市場から撤退した。

 2度目のチャレンジとなる今回のAOL中国サイトでは、ニュースがコンテンツの中心となっている。中国では、ニュースサイトどこも他社サイトのニュース記事を多数転載しているのだが、AOL中国の場合は、オリジナルの記事が多いのが特徴だ。


中秋の名月に月餅の転売が急増

 旧暦8月15日にあたる9月14日は、中秋の名月こと中秋節。中国では、月餅をお世話になった人に贈りあう習慣がある。中秋節の前にはステータスの高い家であればあるほど、家庭内に月餅が詰められた箱が山積みとなり、有名ホテルやレストランでの月餅券の束が溜まる。

 食べきれない月餅や月餅券は、中秋節を前にオンラインショッピングサイトで大量に売り出された。贈らなくてはならない人がいる一方で、大量に送られてくる家庭では月餅に飽き飽きしており、転売に走る若きインターネット利用者が多数いるようだ。


百度、中国で初の産学提携

 百度と天津の名門大学である南開大学は提携を発表、共同で実験室を構えることを明らかにした。実験室では、百度が特許を持つ検索技術やネットワークストレージ技術を共同で研究する。百度の計画では、今後1年程度で、中国国内の大学4~5校と提携を結ぶ予定だという。

 なお、中国国内との提携に先立って、百度は今年4月に早稲田大学と共同で検索技術を研究すると発表している。


ポルノ動画ダウンロードで日本円にして約3万円の罰金

 河南省南陽市で、同市在住の28歳男性が、ポルノ動画1ファイルをダウンロードしたことでサイバーポリスから1900元(約3万円)の罰金チケットを渡され、それを不服として市に抗議したことで話題となった。男性は「未婚だし、アップロードしているわけではないし、他人に見せているわけでもないし、罰金は高すぎる。500元(8000円弱)ならまだ納得がいく」とコメントした。

 今回の事件に関する法律「計算機信息網絡国際聯網安全保護管理方法」によれば、「いかなる個人も団体も、ポルノ、賭博、迷信、恐怖、犯罪に絡むコンテンツを作ることも閲覧することも伝播することも許されない」。これによる違法収入がなければ公安機関による警告を受け、これによる違法収入があれば、個人であれば5000元(8万円弱)以下の罰金、団体であれば15000元(24万円弱)以下の罰金を課すとされている。


ネットショップを未許可で開店したとして、2億8000万円もの罰金疑惑

 今夏より北京など中国の一部地域において、個人でもオンラインショップ運営には許可証が必要になった。そのため、許可証なくC2Cサイト淘宝網で販売すると罰せられるようになった。

 9月に広東省肇慶市のインターネット利用者が、オンラインショップを許可なく運営しているとして、肇慶市工商局から処罰についての通知を受け取った。通知には、「違法所得12500元(約19万円)に、罰金17500“万”元(約2億8000万円!)、合わせて3万元(約47万円)を支払うこと」と書かれていた。

 この公文書を受け取った人物は、その後掲示板上で、この公文書をスキャンした画像データをアップロードして公開した。公文書で誤植があること、また、広東省ではまだオンラインショップの運営が許可制になっていないことから、公文書がそもそも本物かどうかで話題となり、いくつかのメディアが肇慶市工商局に確認する記事を掲載するまでに発展した。ちなみにメディアが取材を試みた結果は「担当者は不在」とレポートされていた。


動画共有サイト「酷6網」、北京五輪を機にYOUKUを超えトップに

 中国の動画共有サイト「酷6網(KU6)」は、北京五輪で唯一の公式インターネット動画配信企業となったことから、北京五輪期間中には1日のページビューがピーク時で3億を突破。平均でも2億5000万を記録し、中国でもっとも人気の動画共有サイトとなったと宣言。

 ただし、9月に中国のリサーチ会社「大度咨詢」が発表した「動画共有サイトにおけるユーザビリティ研究報告(視頻網站用戸使用体験研究報告)」では、レスポンスなどがもっとも優れているYOUKU(優酷網)がユーザビリティでもっとも優れた動画共有サイトだとレポートしている。


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(2008/10/15)


  山谷剛史(やまや・たけし)
海外専門のITライター。カバー範囲は中国・北欧・インド・東南アジア。さらなるエリア拡大を目指して日々精進中。現在中国滞在中。

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