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山谷剛史のマンスリー・チャイナネット事件簿
2006年12月

 本連載では、中国のネット関連ニュース(+α)からいくつかピックアップして、中国在住の筆者が“中国に行ったことのない方にもわかりやすく”をモットーに政府が絡む堅いニュースから三面ニュースまでレポートしていきます。


中国政府、ブログと掲示板の書き込みに実名制を検討【12月5日】

 中国政府がブログと掲示板の書き込みに実名制を検討していることが明らかとなった。11月末の時点で、掲示板やブログについて「読むだけなら匿名で可能だが、書き込む場合には身分証明書などを提示する」という半実名制の方法を、中国インターネット協会の上層部が検討しているのだそうだ。

 大手ポータルサイトの捜狐が行なった「書き込み実名制についてどう思うか」というアンケートに対して、7割以上の回答が反対票を投じた。反対理由の中には、匿名そのものの良し悪しもあるが、「思いつきで書こうと思っても、本人認証作業に時間を割かれるだろうから、認証に時間がかかっては、書こうとしたときの熱い思いがなくなって冷めてしまうのではないか」「同一トピックにおけるスピーディーな書き込みのやりとりがなくなってしまう」といった認証時間にまつわる問題を指摘する意見も多かった。



中国政府、海賊版対策がためネットワーク音楽配信を規制へ【12月12日】

 中国政府文化部は、中国国内でネットワークを通して配布される音楽コンテンツの配信ルールについての取り決めを記した、インターネット上でネットカフェ内で氾濫する海賊版コンテンツの撲滅を狙いとする「文化部のネットワーク音楽発展と管理についての意見」を公布した。

 公布では、音楽コンテンツをネットワーク経由で配信できる企業はレーベル企業など権利を所有する企業のみとし、音楽コンテンツの権利を所有しない企業は配信してはならない。また、音楽コンテンツを配信する前に、配信企業は中国政府文化部の審査を受ける必要があるとした。


中国初のP2Pソフト著作権法違反裁判で判決。レーベル会社の勝訴【12月20日】

 レーベル企業であるEMIの中国代理店となっている上海歩昇音楽文化伝播公司(以下「歩昇公司」)は、中国で人気のP2Pソフト「kuro」において海賊版コンテンツが流通しているとして、Kuroを運営する御北京飛行網音楽軟件開発有限公司(以下「飛行網」)を著作権法違反で提訴していた件で、判決が下された。判決は、「被告である飛行網が原告の歩昇公司に賠償額20万元に訴訟費用1万元を加えた21万元を支払え」とする、原告の勝訴となった(原告の賠償請求額は38万元)。

 ちなみに、Kuroは台湾でオリジナルが作られたP2Pソフトだ。2006年に台湾でも裁判沙汰となった結果、2006年12月から、正規版コンテンツのみを扱うサービスとして再スタートした。中国のkuroは230万という膨大な数の会員を抱えている。また、中国においては、Kuroのほか、Kuroと同等ないしそれ以上に著名なP2Pソフトは数多くある。この裁判の判決は、今後のP2PソフトやP2Pサービスの提供のあり方について一石を投じたと中国メディアは分析している。


Googleの英中翻訳に文句をつけたネチズン、別のネチズンに返り討ち【12月21日】

 Googleの提供する英中翻訳サービスが不完全だとして、ネチズンA氏が中国の著名掲示板上に、誤った翻訳の例を挙げた上で「Google翻訳サービス不利用運動」を訴えた。問題の翻訳は、原文の英文ではChinaと書いていないにも関わらず、翻訳後には中国と表記されるもので、例えば「これは恥だと思う」という内容の英語を入力すると「これは中国の恥だと思う」と翻訳される。Googleは中国のネチズンの多くの修正依頼に対し修正を行なった。

 これで話は終わりではなかった。最初に掲示板に書き込んだネチズンA氏について、中国検索エンジン市場ではGoogleのライバル企業である百度の刺客ではないかという噂が広まったのだ。このためネチズンらによるA氏叩きがネット上で展開され、A氏が「私は百度とは関係ない」と各所で釈明するまでの騒ぎとなった。百度は検索エンジンでは中国一のシェアを誇るが、実はあまり支持されていないのではと感じる出来事であった。


ネット実名制施行も抜け穴あり。身分証明書番号生成ソフトが人気に【12月25日】

 中国ではインターネットを利用する場合、プロバイダーと契約するときはもちろんのこと、そうでない場合、例えばインターネットカフェを利用するにも、大学内の構内ネットワークを利用する際も、身分証明書の提出が必要となる。ネットゲームを利用するのにも、身分証明書の番号の提示が必要だ。2006年にはその他にも、「携帯電話実名制」「ブログ実名制」が論議され、実施までまもなくという声も聞こえる。「ブログや掲示板の書き込み実名制」については前述の通りだ。

 ネットワーク利用におけるさまざまなケースで、実名制が次々に検討・施行されていく中、それをあざ笑うかのようなソフトウェアが何者かによりリリースされた。当該ソフトウェアは、身分証明書番号の法則から例えば「北京出身の25歳男性」などの条件を入力することで、身分証明書番号を生成するというもの。さすがに身分証明書を見せなければいけないところでは利用できないが、オンラインで番号を提示するだけの場合はほとんどこれで問題なく利用できるようで、未成年者を中心に話題となっている。偽ID生成ソフトのおかげで、「実名制」と謳っていても、実際には各サイトのチェックが甘いという実態も浮き彫りとなったかたちだ。


中国初の電子地図著作権侵害裁判が結審【12月26日】

 上海の電子地図の著作権を巡る中国初の電子地図に関する裁判が結審した。1999年、原告の上海市測絵院は、被告の城市通公司に2000分の1の上海電子地図製作を依頼し完成させたが、その3年後に城市通公司が権利を譲ったはずの電子地図を使い、電信企業などと提携を結んだことが訴訟の経緯。裁判所は被告の城市通公司に対し100万元(約1,550万円)の損害賠償の支払いを命じた。

 電子地図データに関する裁判は初めてだが、電子地図データの盗用は中国では日常茶飯事的に行なわれており、企業ではGPSと盗用したデータを利用した地図システムの販売が深刻となっているという。また個人においても、紙で販売される地図をスキャンし、インターネット上にアップする人々は絶えない。


台湾南部地震で海底ケーブル断線。中国からはMSN関連に被害が続出の声【12月27日】

 本誌でも報じたとおり、12月27日に起きた台湾南部地震による主要海底ケーブル切断で国際回線の一部に障害が起きたことは、日本だけでなく、中国でも大きなニュースとなった。ニュースで最も話題となったトピックは、MSN SpaceやMSN MessengerなどMSNのサービスが軒並み利用できなくなったというもの。MSNの利用者数は、中国においては、インスタントメッセンジャーサービスでは中国産のQQに、フリーメールサービスでも中国ポータルサイトの網易に大きく引き離されている。しかし、人口の多い中国ではそれでも1,500万人以上のMSN利用者がいて、大きな話題となったのだ。地震直後、中国からは日本など海外サーバーへのアクセスが困難であったが、あまり大きなニュースにならなかったというのは、海外サーバーへアクセスする人の割合はそれほど多くないということだろうか。

 MSNのサービスが利用できないという状況の下、ヘビーユーザーを中心にプロキシサーバーを利用してMSNにアクセスするという動きが広がった。そのような動きに対応してか、MSNの個人情報を収集するプロクシサーバーを設置する、悪意のある業者も出現した。専門家は中国のメディアで安易にプロクシサーバーを利用しないよう、注意を促すコメントを流している。

 マイクロソフトは、12月28日北京でメディア向けXBOX360の発表会を行なったが、不運にもこの地震のためXbox Liveが接続できず、来場した記者らに対して遺憾の意を表明している。


ストレス発散サイトが人気に【12月29日】

 中国では、硬いものにぶつけるとゼリーのようになるボール「ストレス発散ボール」というのが先月流行リ出したが、その人気に乗ったのか、ストレス発散サイトというのが人気を博している。中国人は何かとストレスをためているようだ。

 ストレス発散サイトは、掲示板形式のページに愚痴を書き込むことだけを目的としたサイトで、中国語でストレス発散サイト相応の単語で検索すると、2万以上のサイトが結果一覧に表示される。「こんな会社辞めてやる!」「家を買いたいのに家族は同意してくれない!」「パパママ最低!!」などなど、さまざまな鬱憤晴らしの書き込みが、延々とこれらサイトに書き込まれている。有名なサイトの中には書き込みにお金が必要なところもあるが、それでも好評だ。

 ちなみにストレス発散ボールの販売元では、人気が出てから日に100個近くの注文をインターネットで受けるに至ったと報じられた。インターネット人口の多い中国だが、オンラインショッピングについては、100個の注文でもニュースとなるのが現状だ。もっとも、オンラインショッピングはこれから本格的に普及すると見られており、おそらく数年後には、ニュースで報じるオンライン販売の数は、文字通り桁違いとなっているだろう。


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  山谷剛史の海外レポート
  http://internet.watch.impress.co.jp/static/others/travel/060126/index.htm
  中国のネット人口は1億2,300万人、回線はADSLが主流に
  http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/07/21/12742.html
  ワールドカップで盛り上がった中国インターネット
  http://internet.watch.impress.co.jp/cda/special/2006/07/19/12688.html

(2007/01/12)


  山谷剛史(やまや・たけし)
海外専門のITライター。カバー範囲は中国・北欧・インド・東南アジア。さらなるエリア拡大を目指して日々精進中。現在中国滞在中。

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