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山谷剛史のマンスリー・チャイナネット事件簿
2008年1月

 本連載では、中国のネット関連ニュース(+α)を毎月ピックアップ。中国在住の筆者が“中国に行ったことのない方にもわかりやすく”をモットーに、政府が絡む堅いニュースから三面ニュースまで、幅広い話題をレポートしていきます。


中国のインターネット利用者、2億人を突破

 中国ネットワークインフォメーションセンター(CNNIC)の17日の発表によれば、2007年末時点での中国におけるインターネットの利用者は、2億1,000万人に達した(ニュース記事はこちら)。CNNICの調査結果で、特に農村部の利用者の増加が中国全体の増加数を牽引したという結果に、多くの中国メディアは注目していた。

 なお、中国インターネットデータセンター(DCCI)の1月初旬の発表では、1億8,200万人とされている。DCCIでは、2008年末の利用者数を2億4400万人と見積もっている。2008年中には米国を超え、世界一のインターネット利用者大国になりそうだ。



中国政府、動画コンテンツサービスベンダーに圧力

 中国政府は12月26日、動画コンテンツサービスベンダーは国有企業でないといけない――つまり、中国政府の管理下になければならない――という法律「互聯網視听節目服務管理規定」を制定した。施行日は1月31日。

 視聴数が1日1億に達したという人気の動画共有サービスYooku( http://www.youku.com/ )などの私営企業が法施行により消えてしまうのかと、中国各メディアは大きく取り上げた。また、掲示板でも利用者がこの措置に反対するコメントが見られた。

 加えて1月8日には、“正規版動画コンテンツを普及させる”という名目の「中国正版電影網站聯盟」という企業連合が立ち上がった。この聯盟には百度などの著名サイトのほか、中国政府関連機関も加盟しており、中国政府にとって好ましくないコンテンツを掲載しないことが目的の1つであろうことが伺える。

 中国メディアは「人気の動画共有サイトが閉鎖されてしまうのか」と施行日の1月31日を迎えるまで、戦々恐々としていた。ところが、その1月31日を過ぎても特に著名の動画共有サイトは閉鎖されるような動きも見られず、現在までのところ従来通り運営されている。


百度、日本語サイトを本格開始。中国でも新サービスを続々投入

 百度は1月23日、日本向け検索サイト「Baidu.jp」を本格的に開始した。

 1月は日本語サイトの本格サービス開始だけでなく、本国中国でもいくつか新サービスを投入した。1月2日には、芸術作品をテーマにした特設サイト「世界芸術館在線( http://wa.baidu.com/ )」を開設。閲覧のみを許可し、画像の商用利用を禁止するとし、著作権方面にも配慮をしていることがニュースではアピールされていた。

 1月12日には芸能人やテレビ、映画などを集めたエンターテイメントチャンネル「娯楽頻道( http://yule.baidu.com/ )」を開設。百度中国は最近コンテンツチャンネル開設に熱心で、たとえば昨年11月にはフィナンシャルチャンネル「財経頻道」を開設している。

 百度が今後狙う市場のひとつが大学生市場だ。今月中旬、百度と「中国教育と科研計算機網」が提携関係を結んだことが報じられた。中国に2500万人いるといわれる大学生のほとんどがインターネット利用者であり、また消費が旺盛であることから、大学生向けに特化した専用サイトを構築すると言われている。

 サービス拡大の一方で、百度は2月4日、mp3検索サービスが著作権を侵害しているとして、大手レーベルのSony BMGら3社から訴えられている。北京オリンピックに向けて近代化・国際化を推し進める中国だが、百度は中国国内外のコンテンツホルダーから糾弾されている海賊版問題を2008年中に解決できるのだろうか。


中国各地の消費者や企業のネット関連の訴訟は絶えず

 2007年も消費者が提訴した訴訟が多数あったが、2008年も1月から、消費者による訴訟のニュースがいくつかあったので、ここでは3つの訴訟事件をお伝えしよう。

 まずは1月9日に訴状が不受理になったニュース。あるインターネットユーザーがHotmailを利用し、遠く離れた法律事務所に自身の履歴書付きのメールを送付したところ、そのメールの内容が百度で検索すると閲覧できてしまうという事象が発生したという。それを知った本人は、百度と、法律事務所が利用していたフリーメールサービスを提供する万網に対し、この状況への対処を要請。結局、百度から万網へのリンクは30日後に消されたものの、それまでの間、当該メールの内容が百度で検索できる状態が続いた。

 このため、メールが晒された状態にあった人が、万網と百度を訴えた。公開謝罪と、著作権侵害による経済損失2,628元(約4万円)と、精神的苦痛に対する慰謝料100万元(約1,500万円)、および訴訟費用を負担するよう求めていた。これに対して担当裁判所の北京市海淀区人民法院は「1)原告と万網は契約を結んでいないこと、2)万網が悪意を持って故意に個人情報を公開した証拠がないこと、3)百度は検索結果を表示しただけであり、悪意を持って故意に行なったという証拠がないこと」を理由にこの裁判を受理しなかった。原告は納得しておらず、上告する見込みだという。

 2つめは、BBSサービスの運営をめぐる、やはり個人がサービス提供企業を訴えた裁判だ。広東省東莞市の企業が無料で運営するBBSでは激しい討論が起こり、BBSの責任者は事態を収拾するため原告のハンドルネームを削除した。この原告は、BBSの責任者が原告のハンドルネームおよび言論の自由を奪ったとして、BBSを運営する企業を相手取り、公開謝罪およびハンドルネームの復旧および精神的苦痛に対する慰謝料1万元を求めて提訴した。

 3つめは、企業同士の不正競争の裁判だ。1月28日、北京黄金假日旅行社が、中国のオンライン旅行予約市場でトップシェアの携程旅行に対し、携程旅行の広告の「規模最大」「中国最先端」などの文言が不正な競争にあたるとして、裁判で争われることが報じられた。


中国当局、中国沿岸部各地でアダルトサイトを摘発

 中国当局は、上海市、浙江省、福建省などでアダルトサイトを摘発、閉鎖したことを公表した。8日に浙江省、福建省などで、性関連の治療薬や、性病関連の広告を掲載するサイトを閉鎖したことが報道された。

 後日、上海でも4,000近いアダルトサイトが閉鎖、粛清された。取り締まられた企業は137社、罰金はあわせて約60万元(約900万円)に上る。中でも特に悪質と見られる数社については、動画で有害なコンテンツを流したとして厳罰が下されたと報道された。


中国政府、オンラインでの宝くじ販売を禁止へ

 一般的に博打好きといわれる中国人に人気の宝くじ。このオンライン販売に“まった”がかかった。2007年11月より、中国の財政部・民政部・国家体育総局らが「オンラインで宝くじを販売しないように」という通達を行なったが、1月2日に宝くじの販売をより強く禁じる通達が発表された。

 中国には従来、正規の宝くじのほか、各地方で独自の宝くじを販売する賭博サイトが存在した。ネットの掲示板上では、今回の通達を受けて「こうした違法の賭博サイトを取り締まれるということは良いこと」という意見がある一方で、「ネットで売らないのなら買わない」といった意見や、「土地代が高すぎるので実店舗で宝くじを販売してもうまみがない」とした意見も多く挙がった。


偽オリンピックサイト開設の男に半年の実刑判決

 北京市海淀区法院(裁判所)は1月6日、偽の北京オリンピック公式サイトを開設した海南省の男性に、半年の実刑判決を下した。オフィシャルサイトは< http://en.beijing2008.cn/ >だが、この偽サイトは末尾の「.cn」が「.com」となっている。

 問題の偽サイトでは、1,500元の登録費を支払うと28,000元とオリンピックの開会式のペアチケットがもらえるチャンスが得られるという、偽のキャンペーンを展開していた。

 なお、普通こうした事件の報道では被害額が公表されるのだが、このニュースに関しては被害額についての文言が書かれていなかった。ひょっとしたら騙された人がいなかったのかもしれない。


中国最大のショッピングサイト、銀行と提携し貸付開始

 人気のC2C(個人対取引)サイト「淘宝網」は、ヤフーオークションと楽天を足して2で割ったような、個人が気軽に無料で商店を出せるショッピングサイトだ。

 この淘宝網で1月17日、出店者が淘宝網でのビジネスに投資する資金を最大10万元(約150万円)まで、銀行から借りられるサービスが開始された。淘宝網と兄弟会社の関係にある、第三者支払いサービスの「支付宝」と、中国建設銀行の提携で実現したものだ。

 淘宝網の出店者は、ほとんど個人が副業として行なっており、仕入れの資金は8割以上がポケットマネーから捻出している。このため、資金不足で仕入れができないケースも多々あるという。淘宝網では、今回の資金融資サービスにより、個人が出店する際のハードルが低くなり、多くのインターネット利用者が淘宝網でのショップ開店へ踏み出すのではないかと期待している。


16歳少年、ネットカフェで6日間遊んだ後に除草剤で自殺

 1月21日、広東省で16歳の少年が除草剤を大量に服用し自殺したと報じられた。

 少年は11日に勤務先にことわって休暇を取り、6日間にわたってネットカフェでゲームに興じた。金が底を尽いたところで少年はオンラインゲームにはまりすぎたことを後悔。農薬販売店で除草剤を買い、それを飲み干したという。


中国公安部、春節期間のオンラインショッピングによるトラブルを警告

 2月6日より始まる春節期間は、中国人が最も散財をする期間だ。中国公安部は1月25日、利用者が急増しているオンラインショッピングサービスだが、春節期間にはトラブルが起きやすくなると警告。各ニュースサイトもこぞって報じた。

 春節期間は中国では最大の商戦期であることから、公安部は「財布が緩みがちになる」とし、「心の隙を突かれないように」と警告。具体的に、「銀行のアカウントやパスワードを盗まれないよう最大限の注意をすること」「人気のオンラインショッピングサイト『淘宝網』の偽サイトを利用しないこと」といった具体例を挙げて注意を促している。



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  http://internet.watch.impress.co.jp/cda/special/2006/07/19/12688.html

(2008/02/07)


  山谷剛史(やまや・たけし)
海外専門のITライター。カバー範囲は中国・北欧・インド・東南アジア。さらなるエリア拡大を目指して日々精進中。現在中国滞在中。

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